Mission6-4
邪神アマギ。
彼は、話によると、人間を実験道具としか思っていないらしい。
人間が豚肉や牛肉を平気で食べれるように、家畜のように扱う。
人間が犬や猫をペットとして飼い慣らすように扱う。
人間が馬などを娯楽のために育てられる動物のように扱う。
人間が狼等のように毛皮目的で狩るように扱う。
扱う……というより、使い捨て……というのが正しい。
数億以上の被検体にして、実験体……人間は実験動物にして自分の玩具。
楽しかったら殺し、つまらなくても殺し、気まぐれでも殺す。
人間がその辺の虫を、うざいからという理由で殺すように、殺す。
殺して殺す。
だから、殺す。
「よくも、みんなを……」
「おやおや、ジェットくんったら、みんな居なくなったとたんに、泣いて泣いて……まったく可愛いな♪もう♪」
銃口をアマギに向けるが、目元が涙で濁ってしまって焦点が合わない。
こんな感情捨てたはずだったのに……なんで、なんで……。
戦場では涙を流してはいけないのが、諜報員……ひいては暗殺者としての決まりなのに。
「ジェットくん……さっき君は、太陽系ごと破壊してしまいそうなぐらい……と言っていたね♪それって、君が持っている最強の兵器【オーディン】の臨海限界の最大出力時にしかできないってやつなのかな?」
「……‼」
「それと、君が持っている兵器【レールガン】の超過速度での一撃を言っているのかな?」
「なんで……なんで、そんなことを知っているんだ‼」
忘れているつもりはなかった。
だが、改めて確信した。
そういえば、こいつ……神様だった。
なんでも知っている、神様だった。
「ジェットくん……さあて、それを上回る力を勿論見せてくれるんだよね?ねぇ……ねぇ……見せてくれんだよね?」
アマギは口調も荒げながら、次第に俺に歩み寄ってきた。
ゆっくりゆっくり……俺は……怖くなかった。
もう、戦意喪失も、恐怖も、怒りも、悲しみも、楽しさも、苦しさも、なにもかも……無意味だと悟った俺は、無になった。
無になったとたんに、俺はいつも以上に集中力が高まっていた。
呼吸から、細胞の動きや、なにもかも……見える。
「いや……アマギ。二丁拳銃でだけで十分……」
「ふーん……面白いね♪」
そうにこりと笑っているアマギに、俺は弾丸を放つ。
1発、2発、3発、4発、5発、6発、7発、8発、9発、10発……。
とんで、とんで……99発……100発……。
とんで、とんで……999発……1000発。
とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで、とんで……99999999発……100000000発。
「こ、これは……」
と、アマギは驚いていた。
放った弾丸は、全てアマギに当たらず、空中で止まっていた。
空間全てを多い尽くす、億の弾丸。
全て、とある薬品をたっぷり塗り込んである。
不死殺……。
不死者を殺せる薬品……邪神アマギが勝てなかった人間である天野翔琉博士が考えた理論から産み出したものである。
神といえど、不死である以上……この薬品は毒だ。
「ジェットくん。凄いね♪どういう技術で……」
「これで終わりだよ……」
そう言って俺はアマギに1発の弾丸を放った。
アマギはその弾丸を指で受け止めたが、その瞬間……億の弾丸は一斉に動き始め、アマギを貫くのだった。
頭や首や胸や腕や腹や腰や足を……なにもかも貫く。
人間らしい赤い血だけが、俺の方に降り注ぐ。
真っ赤で醜い……神の血。
忌々しく、穢らわしい邪神は、最期まで笑っていた。
なぜ笑っているのか……俺の感情がもしも、この時に戻っていたのならば、あんなことには発展しなかっただろう。
完全に、油断してしまっていた。
このとき、アマギはなぜ死んだのか……そして、そのメリットについて考えるべきだったのだろうな。




