Mission5-8
「うふふ……雑魚いね♪いや、私が強すぎるだけか……うふふ♪流石は、翔琉の力ね♪」
満身創痍の斬神夜弥は、まるで玉座に座る王のように、輝かしい羽と、神々しい光を纏って空中に鎮座している。
「こ……これは、天野翔琉を最強と言わさせていた最強の魔法【神魔法:光天神】。光属性の魔法すべてを隷属……つまりは、発動を可能にすることのできる超チート魔法……」
「まさか、本物の天野翔琉様の力?」
魔法世界から来た彼らにとって、神魔法と言うものは、とてつもなく強大で強力であるということが分かった。
だが、どうだろうか。
それが、この科学の世界において、どう役立つのだろうか。
例えば、こんな感じで……。
ヒュン……ズドッ。
俺が死角から放った弾丸は、確かに天野翔琉に当たった。
当たった……のだが、彼は彼女は殺せなかった。
「おやおや、ジェットくん。ひどいじゃないか、僕は私は、君の伯父さんってことになるのに♪親族であるこの僕私を殺そうとするなんて……まあ、今は到底殺せないけどね♪」
そういって、弾丸を体内から摘出すると、光がそれを押し潰した。
「うふふ。僕私は、今や……全世界最強の力を持つ天野翔琉と融合を果たしたんだ……うふふ♪とは、言っても……99.999%の天野翔琉クローンなんだけどね……今までで、最高の倍率で出来た最高傑作……」
「ふん、所詮は偽物……偽りの伯父さんに対して、媚びるつもりはないね……」
「黙れ!光の魔法:神之憤怒‼」
「それは、天野翔琉の使う最強系光属性魔法!」
それは、一瞬だった。
場を光が照らしたと思ったら、俺はやられていた。
だが、ダメージがない?
「あれ?」
「あれ?」
斬神夜弥と、俺は声を会わせていた。
あれ?っと。
それもそのはずだ。
斬神夜弥にとって、今の攻撃はお仕置き兼大ダメージを与える攻撃だったはずだ。
それなのに……彼は彼女は、なにもダメージを与えられていない。
「バカな!」
「いいえ、必然と言えるべきなのよね……」
そう、言いながらスッと扉からディルがやって来た。
そして、その後ろにはライと、俺の服と拳銃を持った白百合も。
「貴様は、ディル……天野翔琉の唯一無二の師匠……」
「どうもね。天野翔琉クローンに宿った狂人の科学者……斬神夜弥。それから、お前らは、アダムとイヴだな……」
「「俺(私)たちの名前まで!?」」
ディルは、彼らの言葉を無視して、そのまま彼らに語らう。
にこやかに……だが、怒りに満ちて。
「そもそも、君ら……天野翔琉の持つ特性と、光属性を理解していないでしょ?だから、そんな程度の力、そんな程度の効果しかでないのよ……」
「「効果?」」
「雑魚いねって言ってた割りに、お前の方が雑魚いね、斬神夜弥」
「う、うるさい!貴様なんぞに、貴様なんぞに……」
「ふぅ……やれやれ、私が好きな天野翔琉の姿を模した憐れな化け物……でも、前みたいに姿を似せられ偽だからといって、私は殺したりはしないわよ……もう、同じ過ちは繰り返さないんだから」
そう言って、ディルは懐中時計を取り出す。
その懐中時計を彼らにかざし、こう言った。
「時の魔法:逆流時間」
すると、みるみると彼らの時間が戻っていく。
「「「ウグァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」」」
断末魔に近い悲鳴の中で、彼らは時間を戻される。
死ぬ前、実験前、生まれる前、更に前……どんどん逆流されていくが、やがてそれは収まり、現代の今の姿へ今度は流れていく。
「ディルの時の魔法において、相手に精神と身体的なダメージを与える上で、逆流時間ほど、エグい魔法はない……あの魔法は、その人物を全ての始まりまで戻し、そのあと、また時間を今に戻される魔法……逆流において1度記憶もなにもかも忘れ去られて、更にそこから膨大な記憶を詰め込まれる……身体の負担はもちろん、生きているときのトラウマなどがフラッシュバックするから、悪夢を延々と人生分以上見せつけられる魔法なんだ……あー恐ろしい……」
と、ライは身震いをしていた。
そして、彼は悟っていた。
これで、ディルの勝ちだと。
だが……違った。
「甘いね、ディル……」
サクッ……そう、刃物が刺さる音がした。
その音と共に、ディルは口から血を吐いた。
そして、そのまま地面に倒れていった。
バタン……っと、勢いよく倒れた彼女の目に写ったのは、なにを隠そう、天野翔琉の姿をした夜弥だったのだ。




