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外伝-JMG [ジェット・モード・ガン] -  作者: ただっち
第1章ー暗躍者と敗北者ー
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Mission1-3

 目が覚めると、手や足には枷、そして目の前にいるのは氷のような結晶の中に閉じ込められている白衣を着た少年だった。

 その結晶の周りには、いくつものコードみたいなものが取り付けられており、結晶から何かを読み取っているようで、近くにあるモニターにはおびただしいほどの情報が流れ込んでいるようだった。


「あれは……いったい?」

「あれは天才科学者である少年さ―――――」

「誰だ‼」


 声の方を振り向くと、そこには先ほど俺を殴って気絶させた奴がいた。

 今回の任務で抹殺予定の相手――――故見永こみなが軍事長である。

 見た目は髭ずらのくそじじいだが、実際の年齢はまだ30代前半と言う、年齢詐称野郎である。


「これはこれは、故見永殿。 早く拘束を解いてくれると、俺的にはありがたいのだが……」

「いやいや、我輩を殺しに殺そうとしている相手の拘束を解く変人とか、君は馬鹿なのか?」


 まあ、確かにその通りではあるが……


「で? 俺を捕まえた理由は? 殺すならわざわざこんな事しないもんな?」

「威勢のいいガキだな。 まあ、確かにお前を生かしておくには理由がある。 この結晶の中の人物を目覚めさせるための生贄なのだがな」

「生贄……ねぇ……生贄にするならさ、もう少しさ、拘束強めとくんだったね」


 ガチャリ、っと枷は外れた。否、外した。


「そんな馬鹿な‼ あの枷はピッキングしたりできないようにしてあったはずだ‼」

「無駄口叩く暇があるなら、自分の心配したら? 武器は取り上げられてるようだけど、幸いにも手元に残っているペンくらいで、お前程度なら殺すことなんて簡単なんだよ?」

「ふん、減らず口を……そんなペンで、不死の我輩を殺せるわけがなかろうて―――――」


 ドヤ顔をしている故見永に俺は一言付け加えさせてもらうことにした。


「残念無念また来世……このペンに使われているインクには、即効性の不死殺が使われているんだぜ。 このペンがお前に突き刺さった瞬間、お前は死ぬ―――――」


 ドヤ顔が一気に老け顔になった。

 分かりやすい反応でとてもありがたい。


「さて、お前を殺す前に一言聞いておきたいことがある。 あの結晶と、その中の人物についてだ」

「ははっ、聞いてどうする? お前には関係のない人物だぞ?」

「いいや、俺の予測が正しければ、あの人物は見覚えがある。 おそらく全世界の人間が彼の事を知っているはずだ。 なぜなら彼は、数十年前に学会を騒がせたとある理論の設立者にして、不老不死の解明、薬の開発が完成した要因を作った伝説の男……行方知れずだったはずの”天野翔琉博士”だろ?」

「はっは~、やっぱり知っていたか。 ご存じ、”不死の理論者”こと天野翔琉博士だ。 と言っても、驚くべきことに、失踪当時から全くと言って身体は成長していないらしい。 恐るべき男だよ……」

「何故この人がここにいる? 話せ」

「いいや、その必要は無かろう――――」


 故見永が右手を上にあげた瞬間、部屋の中にいたと思われる”伏兵”が一斉に飛び出て、俺の周りを囲んだ。


「詰めが甘かったようだな、ジェット君。 君ならきっとその枷を外してしまうんじゃないかと思ってね、半信半疑ではあったが、計算通り君は動いてくれた。 結果として、警備に兵を隠していた我輩の考えは間違いではなかったということだな」

「―――――は……やってくれたなくそじじい。 仕方ない、また大人しく投降する……なんてことはしねえよ‼」


 俺はとっさに持っていたペンを天井にある照明にぶつけて、部屋全体を闇に包み込んだ。

 結晶のデータを読み取るモニター以外に明かりは無かった。


「くそ……早く明かりをつけろ‼」


 故見永は、周りの兵に命令を下しているが、俺から言わせてもらえば”この状況では明かりは絶対につけない”と言うことが言える。

 と、まあそんな事を注意することも無く明かりはつき、故見永と俺以外は全員地に伏せている。


「一体何が起こったというのだ?」


 そう故見永に尋ねられたのだが、答える間もなく、天井に刺さっていたペンが落下して、故見永の肩に刺さるというハプニング(本当はミラクル)が起きて、故見永は薬の作用で絶命した。

 ここで、読者の方々には、いったい何が起こっていたのかを説明しよう。

 先ほどの停電の時に俺はモニターの光の反射と故見永の声の反響によって、伏兵の位置と大まかな部屋の構造が分かった。続いて、判明した敵を徐々に声もなく気絶させていって、最終的に俺が明かりをつけた、という実に簡単な任務であった。まあ、無音暗殺術サイレントスキルの訓練は得意であったので、俺にしかできない行動だったのだが――――良い子は真似しないでね。



 さてさて、通信機と武器はどうにか取り戻したので後は脱出するだけなのだが―――――その前にこの結晶の事は、本部に連絡を入れておかないとな。


「本部、聞こえますか? こちらジェット。 Mission Complete」

[こちら本部もルートです。 あれ? いつも任務終ったあとは、安全地帯から連絡してくるはずなのに、どうしたの? まだ敵の本部じゃない]

「いや……それが、敵基地内にて重要人物を発見した」

[重要人物?]

「天野翔琉博士だ」

[天野翔琉博士ですって!?]

「そちらに映像を送る」


 イヤホン越しに、本部のみんなが、おぉ……、と声を上げているのが分かった。

 そしてすぐに、ルートから連絡が来た。


[至急、天野翔琉博士を保護し、本部へ帰投せよ]

「了解、直ちに帰還する」


 ここで通信は切れた。

 俺は潜入道具の中から、縮小光線を放つ銃を取り出して、天野翔琉博士をその中に取り込んだ。

 この縮小光線はドラえも○のスモー○ライ○とゼ○ダの伝○のあき○んを合わせたものだと思ってくれればいい。

 まあ、とにかく天野翔琉博士を保護することに成功して、俺はこれから本部へと帰還する。

 この出来事が後々大きな戦争に発展することなど、誰が想像できただろうか――――――

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