Mission1-2
下水道には様々なトラップが仕掛けられている―――――と言うことはほとんどない。
それは、敵側ももしもの際に要人を逃がすために使うからなのである。つまり、ある意味安全地帯だと言えよう。
そのため潜入するにあたっては紛争地帯を抜けるより、幾分かは安全である。
俺は下水道を駆け抜ける――――――という訳にも行かないので、こそこそと、忍者のごとく、忍び足で進んでいく。ただ、これはどの下水道に対しても言えることだと思うのだが……
「臭い……」
――――酷い臭いだった。何というか、卵の腐ったような臭いが延々と続いている、そんな感じである。
「嫌だな……こんなところ、早く過ぎ去りたいな~」
ぶつぶつと、文句を言いながらも、早歩きになりたいのを我慢しつつ、慎重に進んでいくのであった。片手にサバイバルナイフを装備している。この状態は俗に言う、”警戒している”と言うことを読者に暗示させたいがために行っているのであって、実際は全くと言っていいほど、何事もなく進んでいる。
さてさて、ここで転機が訪れる。
と言っても、人生ではなく、この作戦に対する転機である。
現在、敵本拠地の真下に来たのだが、敵も敵で流石に警備を配置していたらしく、2名ほど出口に人がいる。さすがに機械で、安全地帯である場所を警備するには心もとないようで、ここには機械ではなく、生身の人間がいた。
「面倒だな……さて、どうしたものか?」
警備兵は2人、手元にある装備なら十分に倒せるが、ここで1つ危険性が残っている。
基本的に2人1組と言うのは、戦場ではよくある戦術パターンで、片方が敵と戦っている間に、もう片方が味方に侵入者の報告と援軍の要請をするというのがセオリーである。
また、こういった2人は定期的に連絡を本部と取り合っているので、下手に殺すことは出来ない。もし、してしまえば潜入の事がばれてしまう恐れがある事もあるからだ。
「まとめて殺る→潜入ばれる、気絶させる→潜入ばれる、1人だけ戦う→潜入ばれる。 何この、つみゲー(笑)」
他には、誘導させるという方法くらいしかないな……1かバチかやってみるか‼
俺は懐から、ネズミ型爆弾を取り出し、タイマーを10秒後にセットした。
そして、その爆弾を誘導させて脇にある壁を破壊して、奴らをそこに誘導する……っと、そんな感じでいいかな?
取りあえず実行‼
BooooM‼
なんてアメコミ風な爆発音などではなく、普通に爆発した。
けたたましい音を上げて、壁は木端微塵。
そして近くにいた、警備兵も驚いて駆けつけていった。
アタックちゃーーんす‼
「いまだ‼」
俺は警備兵がいない隙に、一気に外へと繋がる梯子を上った。
そして本部に到着した段階で、俺は敵に拘束された。
上った瞬間に、銃を持った大勢の人がいた。
罠だったのだ。
「やあ、待っていたよ、ジェット君」
そういった敵の指揮官らしき人物に言われた直後に腹を殴られて気絶してしまった―――――