Mission4-1
さてさて、この巨城をどうやって攻略するべきかーーーなにやら、仕掛け盛りだくさんのようで、簡単にはたどり着けないみたいだし。こういうのは、中ボス倒して鍵てにいれてボス部屋に行くのがRPGとかよくあるあるなんだけどね。そんな楽な構造だったらどんなによかったことか……未来の最新技術、未知なる魔法の力ですらこの現状を未だに解決できていないことが、あまりにも情けなく、あまりにも非力を感じさせるこの頃……。
「ふぅ……さて、99階を安全に完全に攻略して天野翔琉博士を救うにはどうするべきか……」と、俺が考え事をしているとディルが近寄ってきた。
なんだなんだ?
「ねぇねぇ、ジェット君……この世界に【ルルイエ】ってとこある?」
「ん?ルルイエ?確かにあるぞ。そこからも天野翔琉博士の生命反応は出ていたけど……残念だけど、今はいけないと思うよ?」
「どうして?」
「ルルイエは、1週間ごとに海に浮き沈みする場所で、丁度今は海の底……もしも、天野翔琉博士を助けに行ったとしても、辛うじてある空気を無駄にして天野翔琉博士を死なせてしまうかもしれない……また、ルルイエ全域では特殊能力を封じる結界みたいなものが貼られているから、魔法も使えないんじゃないかな?」
「あら?なぜ、特殊能力が封印されてるって分かっているのかしら?」
「うーんと、この世界には魔法は無いけど、能力ってのに目覚める人間がたまにいて、その人たちがルルイエに行ったら能力が一切使えなかったんだよね」
「能力?……リュウもそんなの持ってたな……」
リュウ?お仲間の名前かな?
異世界にも能力ってのは、あるのか。全世界共有なのかな?
「ジェットくんは、能力持ってるの?」
「いやいや、俺は努力で戦闘スキルを手にいれたから……そうだな……俺のとこの隊長や、研究者も確か固有能力を持っているんだよな……」
ルート隊長や、ミランダのことだ……。
特にルート隊長の固有能力【神眼】は、世界中でも有名な能力だ。
「とにかく、今のルルイエの攻略は魔法使いや能力保持者にはきついと思うよ」
「そうか……うん、分かった。ありがとう……」
しゅん、と気を落として彼女はふらりふらりとジンライの方へ行くなり、先程の話をそのまましたようで、ジンライ共々落ち込んでいる様子だった。ルルイエに何があるのか?それは、俺たちには明かされていないことだった。彼女たちはルルイエで何をしようとしているのかーーーいずれ、探らなくてはならない。だが今は、現状をクリアすることが先決だ。
この、困難な巨城の攻略をーーー。
「さてと……んじゃあ、ライたちはライたちで、俺たちは俺たちでそれぞれ攻略していこうか」
そういって俺は彼らをあえて泳がせることにした。こいつらが敵か味方か……それとも別のなにかなのかーーーそれを知るために。
俺は白百合の手を引っ張って巨城へと向かった。白百合は、顔が少し赤くなっているが、さっきのジンライの攻撃で熱でも引いたのか?手からも分かるほどのすごい熱だぞ?
「白百合……大丈夫か?」
「うぇ?え?う、うん……」
反応が鈍くなっている。これはますます風邪を引いているとしか思えないな。
ピタッと走るのをやめて、俺は白百合に向かい合っておでこを彼女のおでこに合わせる。
「ん!?ちょ!おま!なにやってるの!」
「いやいや、熱がないか計ってるだけだよ?」
「えっ、ちょ!ちょ!」
「ふむ……38度くらいか……白百合大丈夫か?あれだったら、先に火星基地に戻っていても大丈夫だぞ?」
「カチーン……もう!大丈夫よ!ほっといて!」
バチン、と頬をひっぱたかれたのだが俺……何か悪いことしたか?




