Mission3-3
廃墟なんてものは、この時代この世界ではよく見られる光景だ。かつての文明の名残なんてものは、言うならば過去を忘れないためーーー強いては、人間に対する戒めのため……なんてものも存在するだろう。さて、今回のこの滅び去りし都市【アトランティス】を例にとって考えると、この価値観が吹き飛ばされてしまうかもしれない。神によって滅ぼされた都市【アトランティス】。滅ぼされた……というわりには、滅ぼされて無い様子……と言うのは、この都市はいまだに過去の繁栄を残したままの状態だった。都市も人もーーーまるで歳をとっていない。だが、歳をとってはいないが文明はかなり進化しているようだったーーー。
ついさきほど、深海へとたどり着き、アトランティスの入り口を潜水艦でくぐり抜けた直後のことだった。突然光が覆い尽くし、気がつけばここにいたのだ。この、滅びは虚言だったと言いたくなるこの都市へ。
「これはどういうことなの?」
白百合は、警戒しつつ辺りを見回すが特に変わった様子はない。至って普通の都市となんら変わらなかった。むしろそれが不気味で異常なのではないだろうか。
いや、そもそもーーー
「ここ……空気がある!?」
そうなのだ。深海なのにもかかわらず、ここには普通に呼吸できるレベルの空気が存在している。いやはや、驚いた。
「空気があることもさながら、ここに住んでいる住人は何故生きていると思う?」
そう、ライは俺たちに向かって難問を投げ掛けた。うむむ……難しいな……。
「例えば、不老不死の薬が出来上がっていたとか?」
「違う」
「じゃあ、神によって滅ぼされたのは嘘だった!?キタコレ」
「違う」
「えー、じゃあアマギのせい?」
「違う」
「分からない!正解は?」
「時空決壊だ」
「「時空決壊!?」」
なんだそれ?はじめて聞く単語だ。
「時空決壊……時間と空間が極端にねじ曲げられた空間のことだ。その場所は普通の地上世界での時間軸と違い、ある一定の時間でしか動くことが叶わなくなる……だが、永遠に保管したり、1秒を無限にすることもできる空間を作れるんだ。前に時と空間を司るディルが【悪夢のような修行】を行った際に作っていたんだがーーーまさか、こんなところでお目にかかれるとはな」
悪夢のような修行って……恐ろしい響き……。そしてライは少し驚いたような顔でアトランティスを見ていた。だが、ライのこの説明より、この空間を作り出せるのは時と空間を操るものではないとダメだということが分かった。すなわち、ライの仲間ディルがこの場所を作ったということに流れ的にはなるのだが「なぜこんなことをしたんだろう?」俺は思ってしまう。
なぜこの空間を作り出したーーーのではなく、何故滅びる前のアトランティスの空間を保存できていたのか……それが今回の焦点なのではないかと思うのだ。




