Mission 1-1
そもそも、殺すだなんて簡単に言うが、現代においてそれはとても難しいことになっている。
何故ならば、人間たちは不老不死と言う、不死身の身体へと変化してしまったからである。
そうなった原因としては、今から数十年前に1人の少年が行方不明になったことが原因になっている。その少年が行方不明になったとされる、とある学校の跡地から、少年が書いた理論や薬品が発見され、当時はこの話題で持ちきりであった。
”少年は宇宙人だった?” ”天才少年の奇跡” ”科学界の大きな損失”
そんな見出しであった。
そして、少年の残した理論や薬品から、人類は不老不死の薬を作り出すことに成功した。
人類は進化した……まあ、所詮は技術が進歩しただけのもので、頭の方は何も変わらない残念な構造をしている。
だから、こんなくだらない戦争をやって、誰も死なないのに地球を滅ぼしかけている。
しいて言うならば、地球を殺す戦争とも言える。
不老不死の相手を殺すには……その方法も少年の残したものから、ヒントを得て作られた薬である。
この薬は別名、不死殺と呼ばれている。この薬を用いると、不老不死の効果を無効化したうえで、対象者のこれまで歩んできた時間の負荷が一気に現れると言う物である。
戦争で用いるのはご法度と言う、条約があるが、俺には関係ない。
だって、戦争してるんじゃなくて、止める側だから、戦争している大人たちの考えなんて知ったこっちゃない。
さて、だいぶ語りが長くなってしまって、場面は変わり、敵の本拠地へと近づいてきた。
だいぶ、見張りの人数が多くなってきた。
俺は、死角になる壁際に身を寄せ、マイクに向かう。
「こちら、ジェット。HQ聞こえますか?」
[こちらHQ、ルート! 聞こえてるわ。何?]
「敵の本拠地へと潜入できる距離に来た。潜入通路を探してくれないか?」
[了解。1分時間をもらうわ]
「了解。なるべく急いでくれ」
通信を切ると同時に、本拠地から警報が流れる。
”緊急警報! 緊急警報! 敵方からのミサイルが接近中! ただちに迎撃せよ! 繰り返す……”
ミサイルか。
ばれたのかと思った……
[もしもし? こちらHQのルート。 潜入通路を見つけたわ]
「まじか! まだ、30秒くらいしかたってないぞ!」
[あんたの上司をなめないでよ。予定より早く済ませるのが、プロってやつよ]
「流石です! 先輩!」
そういうと、手元にある端末に地図が送られてきて、そこに赤く線が入っている場所があった。ここの通路を通って行けば、安全に通ればいいのだろう。
しかし、潜入通路が下水道ってべただな……
そう思いながらも、下水道へと続く道へ向かっていく俺。
このまま、無事に潜入できればいいけどな……