Mission2-8
「白百合!」
と、俺の声届くのは雷が落ちた後だった。白百合は、雷に直撃したーーーかに見えたが、事前に攻撃を読んでいたようで服にかすりはしたものの直撃は受けていなかった。ほぼ無傷ーーー奇跡のような生還だった。
「ほう……今のを避けるとは……お前はこの時代この世界においてもかなりの実力者と見た」
「いきなり女の子に雷落とすなんて、嫌な男ね……」
「悪いね……本来ならば言葉で解決するのが知的であるのだけど、そうもいってられないんだよね……じゃないと、翔琉が殺されちゃうから」
「天野博士が殺される?」
と、白百合が聞き返したところでアマギはライの腕から逃走した。逃走したというよりは、消えた。唐突に……。
「ちっ……逃した」
と、ライはいらっとした顔をしている。同時に白百合も任務達成不可能になってしまったので、いらっとした顔になっている。案外二人は似た者同士なのかもな。
「あー、じゃあライ君。自己紹介させてくれよ。俺の名前は天野ツバサ【コードネーム:ジェット】だ!」
「天野!ツバサ!?」
ライはピクピクっと単語に反応して目を輝かせて俺を見つめる。
「えー!じゃあ、翔琉のいってた弟ってお前のことなのか?じゅるり」
「怪しい効果音つけるな!いやいや、それは俺のお祖父ちゃんだな。お祖父ちゃんのお兄さんが天野翔琉博士だよ」
「ってことは、お前は孫?じゅるり」
「いやいや、じゅるりって効果音止めてよ。怖い怖い」
「あー、このやり取り……翔琉そっくりだわー、落ち着く……」
へへっと笑みを浮かべる虎は、虎と言うより無垢な猫にしか見えなかった。そうか、博士……あなたは、こういう風に見ていたのですね。
「いやいや、自己紹介とか……私さっき雷落とされて死にかけたんだけど」
「あー、すまんすまん。だが、さっきのは直撃してもスタンガン程度のものだぞ?俺が本気でやるなら、雷雲はお前の周りじゃなくてこのフロア全体に展開するぞ……」
「まあ、そりゃそうか……んじゃ、改めまして、私の名前はコードネーム:白百合。特殊工作員だよ。ライ……とりあえず、私たちと一緒に来てもらえるかな?」
「あーあ、いいぜ。さっきの男の話をリークさせたかったとこだし、なにより……聞きたいことあるだろうしな」
「ええそうね……さっきの雷が……魔法なのかしらね」
7人の大魔導士……魔法……様々な思いは、火星にて明らかにしていくことだろう。天野翔琉博士の異世界での活躍を間近で見てきた虎からの語られる物語……。それはこの先の運命を大きく変えるものだろう。