表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/16

**9**


     ―17―


挿絵(By みてみん)




******************************


めしつかいたちのはなしで、おにいさまが王さまになるときにも、大きな戦争があったことをしったユタは、金のへやにかざられた、あのたたかいの絵をおもいだしたのです。


金のへやにかざられた、たくさんの絵は、ほんとうにあったできごとを、かいたものなのです。

そして、いちばんあたらしい、たたかいの絵は、ユタがうまれたころのできごとなのでしょう。


たたかいの絵をみながら、ユタは、なくなったおにいさまのことばを、おもいだしました。


『このかおは、ははおやにそっくりではないか。りっぱなせんしになるぞ』


そのことばは、ユタのおかあさまが、せんしだったということではないでしょうか。


ユタは、せのびをして、大きな絵にえがかれた、女のせんしに、手をのばしました。ユタのあこがれた、あの女のせんしです。

ユタは、おもわず、つぶやきました。


「おかあさま」


もしかしたら、このたたかいで、女のせんしは、しんでしまったのかもしれません。

けれどユタは、この人がおかあさまだったら、いいとおもいました。

そうだとしたら、じぶんも、この女のせんしのように、つよくなれるきがしたのです。


******************************




     ―18―


挿絵(By みてみん)




******************************


ユタは、金のへやのさらにおくへとすすんで、あの、花にねがいごとをするせんしの絵のまえにきました。

その絵をみていると、なぜか、大きな力がわいてくるようなきがします。


「そこで、なにをしている」


とつぜんうしろから、こえがしました。

ユタがびっくりしてふりかえると、へやのいりぐちにおにいさまがたっていました。

おにいさまは、こわいかおでいいました。


「ここは、わたしのゆるしなく、はいってはいけないばしょだ」


おにいさまは、まっすぐユタのところにあるいてきました。

ユタは、おどおどとして、すこし、うしろにさがりました。

けれどおにいさまは、そのままなにもいわずに、ユタのよこにたって、せんしの絵をみあげました。


「この絵が、きになるのか」


ユタはうなずいて、おにいさまといっしょに絵をみあげました。

おにいさまは、しずかに、はなしはじめました。


「この花のなまえは、チャスカという。

 むかし、たたかいにまけた王が、たかい山に、にげのびた。

 そこで、いちりんのオレンジいろの花をみつけた。

 その花は、よあけがきても、ひとつだけひかっている星、チャスカのようだった。

 その花にゆうきをもらった王は、山をおりて、ふたたびたたかい、てきをたおすことができたのだ」


これまでも、その絵にゆうきをもらったユタは、そのはなしをきいて、ますますこの絵が、きにいりました。


おにいさまは、ユタをみて、いいました。


「おまえがこの絵にひかれるのは、きっとおまえに、この花とおなじやくめがあるのだ。

 おまえも、この花のように、ひとびとにゆうきをあたえられるようになるのだよ」


******************************




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ