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     ―11―


挿絵(By みてみん)




*******************************


アクリャのやかたに、しのびこんだのはいいけれど、

どこへいこうかと、まよっていたユタのみみに、

とん、とん、たん、という、かろやかなおとが、いくつもきこえてきました。

おとのするほうへいってみると、石のかべにかこまれた、おおきなたてものがありました。そとにつまれていた小石の山にのぼって、たかいところにあるまどから、中をのぞいてみると、たくさんのアクリャたちが、はたで、うつくしいぬのをおっていました。


とつぜん、大きなこえがひびきました。

ひとりのアクリャを、おとなの女の人が、しかっているこえでした。

どうやらその女の人がママコーナのようです。


ユタは、がっかりしました。

そのママコーナが、とてもきびしく、いじわるくみえたのです。

ほかにも、アクリャのしごとをみまわっているママコーナが、たくさんいましたが、ユタには、どの人もいじわるそうにみえてしまいました。


この中におかあさまがいたとしたら、きまりをやぶったユタをきびしくしかることでしょう。

それにユタには、その中におかあさまがいるとは、とてもおもえなかったのです。


あきらめて、小石の山をおりようとしていたとき、うしろから、こえがかかりました。


「ピウラさま、こんなところで、なにをやっているんですか?」


ユタはびっくりして、小石の山から、ころがりおちてしまいました。

ぬのをふかくかぶって、かおをかくすと、ころがるように、そのばをはしりさりました。

うしろから、まだ、なにかいうこえがきこえましたが、ユタをおいかけてくるけはいはしませんでした。


******************************




     ―12―


挿絵(By みてみん)




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にげることにむちゅうで、ユタは、じぶんがやってきたみちがわからなくなってしまいました。

かえりみちをさがして、はしりまわっていると、また、とんとんと、はたをおるおとが、きこえてきました。

おとのきこえたへやをのぞいてみると、ひとりのうつくしいアクリャがはたをおっていました。


そのアクリャは、ユタにきづくと、おどろいたかおになって、いいました。


「あなたは、どうして、ピウラのふくをきているの?」



そのとき、だれかがやってくるけはいがしました。アクリャは大きなぬのでユタをつつむと、じぶんのせなかにかくしました。


「クワンチャイさま。ピウラさまをしりませんか。こちらにはしっていくのをみたというものが、いるのですが」


「いいえ。しりません」


そのアクリャは、ユタをかばってくれたのです。

ピウラをさがしにきた人がいなくなると、アクリャはユタにかけたぬのをとって、いいました。


「ピウラがどこにいるのか、おしえてくれないかしら。だいじょうぶ。だれにも、いわないわ」


ユタはしかたなく、じぶんのなまえと、ふくをとりかえたりゆうをはなしました。


「そう。ピウラには、ユタのようなたのしいおともだちがいて、うらやましいわ。

 ねえ、ユタ。わたしとも、おともだちになってくれないかしら。わたしのなまえはクワンチャイよ。いっしょにあそべなくても、いつまでもおぼえておいてくれるだけで、いいのだけど」


ユタは、アクリャをみつめて、おもわず、いいました。


「いいよ。だって、こんなきれいな人は、ぜったい、わすれないもの」


それからクワンチャイは、あの石のおけのある広場までのみちを、おしえてくれました。


「きゅうでんにかえったら、ピウラにすぐにもどるようにいってね。

 やくそくよ、ユタ。わたしのことを、ともだちとして、いつまでもおぼえていてね」


ユタはクワンチャイにおれいをいうと、ともだちになるやくそくをして、石のおけの広場にむかいました。


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