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     ―9―


挿絵(By みてみん)




********************************


あるとき、ユタはおにいさまによばれて、きゅうでんの大きな広間にいきました。

そこには、とおいばしょでおこなわれている戦争から、いったんかえってきた、せんしたちがいました。

おおぜいのせんしをしたがえている人は、ユタのもうひとりのおにいさまなのだと、王さまのおにいさまがおしえてくれました。

その人は、王さまのおにいさまよりずっと年をとった、こわそうな人でした。

年とったおにいさまは、ユタをみてかけよってくると、かおをなでながら、やさしいこえで、いったのです。


「なんと、大きくなったものだ。このかおは、ははおやにそっくりではないか。りっぱなせんしになるぞ」


ユタはびっくりしたかおになって、おにいさまをみました。すると、おにいさまは、とたんにあわてたようすで、はなしをかえてしまいました。


「ユタ、おとうさまにあいたいだろう。はやく、戦争をおわらせて、おとうさまを、みやこにかえしてやるからな」


ユタをそだててくれたおとうさまも、ぐんたいをしたがえて、戦争にいっているのです。おにいさまは、戦争がおわったら、おとうさまにあわせてくれると、やくそくしてくれました。


ユタはとてもうれしかったのですが、それよりも、きになることがありました。それは、このおにいさまが、ユタのほんとうのおかあさまをしっているということです。きっと、王さまのおにいさまも、しっているにちがいありません。

けれど、なぜおかあさまのことを、おしえてくれないのでしょう。

それから、ユタはそのりゆうを、かんがえるようになりました。


*****************************




     ―10―


挿絵(By みてみん)




******************************


みんながひみつにする、ほんとうのおかあさまのことを、かんがえているうちに、ユタはあることをおもいつきました。


おかあさまは、ユタがあいにいくことのできないばしょに、いるのではないか。それは、ピウラのすんでいるアクリャのやかたなのではないか。


アクリャのやかたには、アクリャたちにいろいろなことをおしえる先生のような、ママコーナという女の人たちがいるのです。

ピウラがよく、ママコーナにしかられたと、はなしていたことをおもいだしたのです。


あるとき、きゅうでんにやってきたピウラに、ユタはおねがいしました。


「ぼくがピウラのふくをきて、ピウラのふりをして、アクリャのやかたにしのびこむことができないかな」


そして、ほんとうのおかあさまをさがしていることを、はなしました。

かぞくのはなしをすると、ピウラはいつも、ふきげんになります。けれど、そのときピウラは、だまってユタのはなしをきいていました。そして、とつぜん、ふくをぬぎだしたのです。そして、いいました。


「さっさと、あんたのふくをぬいで、かしなさい!」


ユタのふくをきたピウラは、じょうずにかみのけをゆいあげ、ほんとうの男の子のようになりました。そしてちかくのそうこから、ぬのきれを出してきて、ピウラのふくをきたユタのあたまにかぶせました。


「ぜったいに、みつからないって、やくそくするのよ! それから、ゆうがたには、もどってくるのよ!」


ユタは、ピウラにやくそくすると、いそいでぬけみちへと、はしっていきました。


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