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ユタは、こえのしたほうをみました。
赤い花をさかせている木のえだに、女の子がすわって、ユタをにらみつけていました。
「ここは、アクリャのやかたよ。男の子でも、入ったらばつをうけるのよ」
アクリャとは、太陽の神さまにつかえる女の子たちのことです。
アクリャのすむやかたには、男の人も、男の子も、けっして入ってはいけません。
そのきまりをやぶった人がうける、ばつのおそろしさは、小さなユタもきいたことがありました。
ユタは、ひっしにいいました。
「ぼくは、きゅうでんの中でかくれんぼをしていただけだ。ここはきゅうでんの中だよ」
すると、女の子がわらいました。
「どこからか、ぬけみちにまよいこんで、ここへきてしまったんでしょう? まぬけな子ね」
おそろしくなって、だまりこんでしまったユタのまえに、女の子は、木の上から、ひらりととびおりると、いじわるそうなかおをちかづけて、いいました。
「だまっていてあげてもいいわよ。そのかわり、あんたがとおってきたぬけみちをおしえなさい」
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その日からまいにち、ユタがアクリャのやかたでであった女の子は、ぬけみちをとおって、きゅうでんにやってきました。
女の子は、ピウラというなまえです。
ユタよりもすこし年上のようで、しかもとても気のつよいピウラに、きゅうでんの子どもたちは、さからえません。
ピウラはまるで、みんなをしたがえる女王さまのようです。
ピウラにひみつをしられているユタは、はじめはだまってピウラのいうとおりにしていました。
けれど、ピウラも、アクリャのおしごとをさぼって、やかたをぬけだしてくるのです。
「ぼくのひみつをだれかにいったら、ピウラがここにやってくることも、いってやるからな」
そう、つよくいったユタに、ピウラはわらってこたえました。
「それもそうね! わかったわ。これからあたしたちは、おなじひみつをもつ、なかまよ!」
それからも、ピウラはかわらず、きゅうでんにやってきました。
けれど、いつのまにか、ユタにとって、オマよりもなかのよいともだちになっていたのです。
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