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きゅうでんには、ユタとおなじくらいのとしのこどもたちが、たくさんいました。
ユタは、おののけいこがおわると、一日じゅうともだちと、きゅうでんの中をはしりまわってあそびます。
とくになかよしなのは、きゅうでんにつかえるめしつかいのこどものオマでした。
王子であるユタは、オマのいえにあそびにいくことはゆるされません。けれど、オマはよく、かぞくのことをユタにはなしてくれました。
としのちかいおにいさんと、けんかもするけどなかよしだとか、おとうさんやおかあさんにあまえて、わがままをいうことなど。
おののけいこのときだけやってくる、としのはなれたおにいさましかしらないユタは、オマをすこしうらやましくおもいました。
ユタとオマは、きゅうでんのすみで、よくかくれんぼをしました。
そのときも、ユタは、オマにみつからないばしょをさがして、きゅうでんのなかを、はしりまわっていたのです。
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かくればしょをさがしているうちに、ユタはいつのまにか、
しらないばしょに、きていました。
石のしきつめられた、にわのまんなかに、
きれいな水がわきでている、石のおけがあります。
石のおけのよこには、赤い花と白い花をたくさんさかせている
二本の木があって、おけの上にえだをのばしています。
えだからおちた花が、おけの水のうえにおちて、ながれていきます。
ユタはうっとりと、そのようすを見ていました。
とつぜん、どこからか、女の子のこえがきこえてきました。
「そこで、なにをやってるの」
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