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創作背景


 『カントゥータの赤い花』を最後までご覧いただき、ありがとうございました。


 童話版、絵本版、ともに子ども(幼年~低学年)向けに書いてありますので、細かな背景や人間関係を説明するスペースがなく、ただ単にお話の流れを楽しんでいただくことを目的としています。

 大人には「何故?」と思われる部分が多々あるかと思いますので、ここでこの作品の背景や他の作品との関連を説明させていただきたいと思います。


 あくまで余談ですので、ご興味のある方だけご覧ください。

 また、すでに他の作品を読んでいただいている方はご存知の内容かと思います。




 まず、歴史的な背景について。


 ここに出てくる『王さま』とは、インカ帝国第9代皇帝パチャクティのことです。

(一応、パチャクティが即位したA.D.1438年を主人公ユタの生まれた年と設定していますので、その5年後1443年と想定します。しかし、その他の出来事と関連させて考えると矛盾しますので、あくまで15世紀のお話としておきます)


 パチャクティ皇帝は、それまで高原の一部族に過ぎなかったケチュア族を、強大なチャンカ帝国を打ち破ることで勢力圏を拡げ、帝国としての様相を為す大国家『タワンティン・スーユ(インカ帝国の正式名称)』に築き上げた人物です。


 作中に書かれている『戦争』とは、タワンティン・スーユの勢力圏(現ペルー)の南方のチチカカ湖畔(現ボリビア)にあった大国『コヤ』との戦いです。

 このコヤとの大戦は壮絶で長い間続きました。双方ともに多くの犠牲を出し、結果タワンティン・スーユが勝利したのです。


 火山の噴火については、歴史的記録はとくにありません。ただ、この地域には多くの活火山があるので、常にその脅威に晒されていたといえます。




 次に、私の創作の中での設定を説明します。

 

(この作品は、他作品『皇子クシ―太陽の都を築いた若きインカの伝説―』『Shine―ながれる雲の如く―』『稲妻と星の花~カパック・ユパンキの物語~』に繋がっていますので、それらを要約したものです。もしご興味がありましたら、他の作品もご覧いただけると嬉しいです)



 ユタは、パチャクティ皇帝と、前皇帝の側室キヌアとの間に生まれました。キヌアはユタが不義の子であることを知られると皇族として認められないと思い、パチャクティ自身にも彼の子であることを隠し通しました。


 好戦的な部族キリスカチェの王女だったキヌアは、対チャンカ戦争でふたたび戦士として立ち上がり、『ばあや』と『育ての親』の将軍夫妻にユタを託して出征します。

 そして自分が戻らなかったときはユタに母親のことを話さないでほしいと遺言を残します。その後キヌアが戦地から戻ることはありませんでした。


 パチャクティはユタを建前では『弟』としながらも、自分の息子として育てようと決意します。

 将軍夫妻の庇護のもとで育ったユタを自分の宮殿に住まわせ、自ら教育を施そうとするところからこの物語が始まっています。



 上記のコヤとの戦いの原因について、私の設定では、キヌアの故郷である『キリスカチェ』が『コヤ』の侵攻を受け、女王であるユタの祖母と伯母が戦死したことにより、同盟国タワンティン・スーユも参戦することになったとしています。

 パチャクティにとって、ユタの母の故郷を奪還することと、ユタの親族の弔い合戦という意味合いがありました。



 パチャクティが即位してタワンティン・スーユを築いてからも、周囲の多くの国との緊張が続いており、地域的に自然の脅威も深刻で、不安定な情勢でした。

 そのために国家を挙げて『カパコチャの儀式』が行われようとしていたのです。




 この物語を経て、成長したユタは、若いながら将軍に任命されます。

 そして戦いに依らない独自の手法で多くの部族、国をタワンティンスーユに併合していきます。


 結果的に、未開発の地域に進んだ技術を伝授し、貧しい人々に救いの手を差し伸べていくことになるのです。


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