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     ―25―


挿絵(By みてみん)






******************************


カパコチャのおまつりから、しばらくたって、おにいさまがユタを、金の絵のへやによびました。

おにいさまは、あのせんしと花の絵のまえで、ユタにききました。


「もんだいのこたえは、みつかったか? ユタ」


ユタは、もう、こたえをみつけていました。

だから、まよわず、こたえました。


「はい。


 お山にいくピウラを、ぼくはとめることはできませんでした。

 カパコチャのおまつりで、ほんとうにたくさんの人が、ピウラたちに、たすけてほしいとさけんでいたのを、みたからです。


 お山にいかないでとぼくがたのんでも、ピウラは、その人たちをすくうために、ぜったいにいくといったでしょう。

 それならピウラは、どうしたらうれしいのだろうとかんがえました。

 それはきっと、ピウラのいのりがとどいて、たくさんの人がしあわせになることなんだとおもいました。


 お山にいるピウラのいのりで、かなしんでいる人や、つらいめにあっている人がへったら、こんどは、まちにいるぼくたちが力をかして、もっとたくさんの人がしあわせになるようにすることが、ピウラのよろこぶことなんだとおもいます。


 ぼくはこれから、たくさんけいこをして、つよくなります。

 たくさんべんきょうして、いろいろなことをしろうとおもいます。

 そして、ピウラのいのりに、すこしでも力をかせるような、おとなになりたいとおもいます。


 ほんの小さな力かもしれないけれど、そうすることが、ピウラもすくって、それから、くるしんでいる人をたすけるほうほうなんだとおもいます」


それをきくと、おにいさまは、ユタのかたに手をおいて、いいました。


「いっしょけんめい、こたえをさがしたのだな。

 そのこたえがただしいかどうか、それは、おまえがおとなになるまで、わからないだろう。

 そのこたえが、ただしかったといえるような、おとなになるのだ、ユタ。そのこたえを、けっしてわすれるでないぞ」


ユタは、おおきくうなずきました。



* * * * *



それからまもなく、おにいさまと、たくさんのへいしが、戦争にいきました。

おおぜいのへいしをみおくる人びとは、カントゥータの花をにぎりしめて、みんな、ぶじにかえってきますようにと、いのっていました。


ユタはこのときも、ピウラたちのやくめのたいせつさを、しったのです。


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     ―26―


挿絵(By みてみん)






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やがて、ユタの国がかって、戦争はおわりました。

おにいさまも、けがをしていたおとうさまも、たくさんのへいしたちも、ぶじにもどってきました。


北の、火をふいた山も、だんだんとおさまり、つぶれてしまった村のあとに、またあたらしい村がつくられました。


まちには、まえよりもたくさんの人がすむようになりましたが、けんかをする人も、どろぼうもいなくなり、にぎやかで、あかるいまちになりました。



* * * * *



7さいになると、ユタはがっこうにはいりました。

チャスカやおにいさまにちかったことをまもろうと、ユタは、おののけいこにも、べんきょうにも、いっしょけんめいです。


10さいになるころには、おののうでまえも、べんきょうも、ユタがいちばんになっていました。


それでも、たくさんの人をたすけられるように、もっとつよくならなくてはいけないと、ユタはひっしです。


そんなユタに、先生は、おのの勝負(しょうぶ)をしようといいました。

がっこうの先生は、むかし、きゅうでんの大ひろまから、ユタをたすけだしてくれたあの男の人です。

もちろん、ユタは先生にかないません。


先生はユタにいいました。


「あせって力をつけても、それはほんとうの力にはならないんだよ。あせらなくても、きみはいずれ、大きな力をつけることができるだろう。あきらめずに、れんしゅうをつづけるのだよ」


ユタは、おもいました。


「ぼくがおとなになるまで、お山の上のチャスカは、みまもっていてくれるかな」

 

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