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     ―21―


挿絵(By みてみん)






******************************


へやにもどってきたおにいさまは、ユタをしかりました。

ユタはまけずに、ピウラのことをおねがいしました。

ユタがアクリャのやかたにいって、アクリャにあったことをしって、おにいさまはもっときびしくしかりました。

それでも、ピウラをたすけてほしいとたのみつづけるユタに、おにいさまはいいました。


「おまえのばつをゆるすかわりに、もんだいをだそう。くるしんでいるおおぜいの人も、そのアクリャも、どちらもすくうには、どうすればいいのか、かんがえてみるのだ」


そしてユタに、まちのようすをみてくるように、いいました。



ユタははじめて、きゅうでんのそとにでました。

まちは、おおぜいの人がいったりきたりしていて、とてもにぎやかです。

けれど、まずしいみなりをした人や、けわしいかおをした人もいます。

どこからか、けんかのこえがきこえてきて、ユタはこわくなりました。


とおりのすみで、花をうっているおばあさんがいました。


「ねがいごとをかなえてくれる、カントゥータの花はいかが」


すると、男の人がその花をかいにきました。


「むすめのびょうきがよくなるように、カントゥータをおくれ」


「このあいだも、花をかっていったね。まだよくならないのかい?」


「ああ、かわりないよ」


「そうかい。もうすぐ、カパコチャさまがお山にいかれるから、そうしたらきっと、むすめさんもよくなるよ」


男の人は、花をうけとると、おばあさんにおれいをいって、かえっていきました。


そのはなしをきいていたユタは、花うりのおばあさんのところにいってみました。


******************************






     ―22―


挿絵(By みてみん)






***************************


おばあさんがうっている花は、ユタがピウラにであったとき、アクリャのやかたのにわにさいていた、あの花でした。


「おばあさん、その花はカントゥータというの?」


「そうじゃよ。ぼうやもなにか、ねがいごとはあるかい? この花をそばにかざっておけば、それをかなえてくれるよ」


「ねがいごとはないけれど。どうしてその花は、ねがいごとをかなえてくれるの?」


「この花は、カパコチャさまのいのちだからさ」


「カパコチャさまって、なに?」


「カパコチャさまとは、たかいお山にすむ神さまにつかえるかたなんだよ。カパコチャさまにえらばれるのは、この国で、いちばんうつくしいむすめと、いちばんかしこい子どもたちなのさ。

 いま国では、たいへんなことがたくさんおきて、くるしむ人たちがどんどんふえている。それをおさめるために、こんど、あたらしいカパコチャさまが、お山にいかれることになったんだよ」


そのときようやく、ユタは、『カパコチャ』というのが、ピウラのやくめなのだとしったのです。

そして、ピウラをとめることは、とてもできないようにおもえました。

たくさんの人たちのねがいをたくされたピウラは、ユタがひきとめても、お山にいくことをやめることはないでしょう。


しばらくかんがえて、ユタはおばあさんにききました。


「ねえ、おばあさん。カパコチャさまがみんなのためにお山にいくのなら、ぼくたちはカパコチャさまのために、なにをしたらいいの?」


「おもしろいことをきくんだね。そうさな。カパコチャさまが、こうしてみんなにいのちをわけあたえて、しあわせをねがってくださるのなら、この国のみんながしあわせにいきることが、いちばんのおん がえしなんだろうね」


それをきいて、ユタはまた、かんがえこみました。

すると、おばあさんがいいました。


「ぼうや、ねがいごとはないといったが、どうやらたいへんななやみごとをかかえているようじゃの。さあ、このお花をもっておいき。そのなやみがなくなるように、よくおねがいするといいよ」


おばあさんに、赤いカントゥータの花をもらうと、ユタはおれいをいって、きゅうでんにかえっていきました。


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