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むかし むかし。
太陽や 大地や 雨や かみなりや、
高い山や 大きな石や、
しぜんの中にはみな、神さまがいると しんじている国がありました。
大きなその国をおさめるのは わかい王さまでした。
王さまは、国じゅうの人がしあわせにくらせるようにと、いつもねがっていました。
しかしそのころ、
北では、火山が火をふいて村をつぶしてしまいました。
南では、となりの国と大きな戦争がおきてしまいました。
王さまのねがいとははんたいに、たいへんなことがつぎつぎとおこり、くるしむ人がたくさんうまれてしまったのでした。
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王さまのきゅうでんのおくの、小さなへやに、ユタという小さな王子がすんでいました。
ユタはひとりでくらしていますが、たくさんのめしつかいや、やさしいばあやがいつもそばにいて、さびしいとおもうことはありませんでした。
めしつかいの女の人たちは、みのまわりのせわをしてくれるし、ばあやは、おとうさまやおかあさまのかわりに、ユタにいろいろなことをおしえてくれます。
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