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銃の帰還  作者: sniper
入学編
5/22

事情聴取

ちまちま書いてます。

日曜日───。

安っぽい白髪染めが効力を無くし、元の白髪頭に戻った私は、やっと着慣れてきた制服を着込み、警察署に来ていた。

『アシタカ騒動』(ネーミングはリンさん)よりも前に、私が巻き込まれに首を突っ込んだ『コンビニ強盗事件』についてだ。犯人の供述の中に、正体不明の『白髪の麗人』が出てきたからとのことだが、今の私は対外的には黒髪の女子高生。こんな短期間で私を特定するなど、現実的には無視(無理ではない)だろう。

第一、犯人は捕まってるんだから、防犯カメラやらの証拠もあるのだし、立件には事欠かない筈だ。なのにどうして私が喚ばれたのか。

それは事件発生現場であるコンビニが、千流高校の学区内にあったからだ。

私立なので、県外からの入学者もいる千流高校では、歩行通学義務領域(歩行での通学が義務付けられている範囲で、半径二キロの範囲を示す)のことを、俗称的に学区と呼ぶ。

学区内には安全を期すため、あらゆる情報網が構築されている。これは別段変わったことではない。犯罪の多い、中途半端な都市部なんかでは割と常識だ。

当然、現地の警察が知らないわけがない。で、リンさんのもとに情報開示(ちょっと大袈裟か)を要求してきたのだ。私には、彼ら警察の行為が、好奇心を満たすための権力行使に見えたのだが・・・・・・リンさんは根っからの女性だ。そういう穿った見方は、聞くことさえ嫌がるだろう。

案の定、リンさんは私に、警察へ出向くよう言ってきた。任意なので断ることも出来たが、色々と世話を焼いてもらっているし、何より、あの銃について気になってもいたので、髪が白に戻ってから行くことを、リンさんを通じて警察へ伝えた。

その約束の日が今日───ということである。


窓口に名前を告げると、話は通っていたのだろう。私の見た目に対しての驚きを隠しながら、若い婦警さんが案内してくれた。

殺風景な扉が並ぶ廊下を進み、取調室に通された。そのことに意外感を覚えながら、そこにいる男達に目を向ける。

こちらを好奇の入り混じった観察眼で視てくるのは、三十代ぐらいの特筆するべきものが浮かばない刑事だ。その対面には、確かに見憶えのある男が、不貞腐れたような格好で座っている。私に濁った片目だけを向け、危ない雰囲気を醸し出している。

それを確認した後、私を案内してきた婦警に、勧められるままにパイプ椅子に着いた。

「初めまして。県警巡査の高鍋壮治です」

警察手帳をこちらに掲げながら名乗った。それなりの作法は心掛けているらしい。

「こちらこそ初めまして。千流高校二年、山口麗奈です」

こちらも名乗る。座礼を添えて。

婦警さんは調書を作るためだろう。隅っこの机の前にノートパソコンを構えている。

「安達です」

視線に気付いたのだろう。そう短く名乗った。

「では早速ですが、貴女に幾つか質問があります」

「はい。何でしょう」

容疑者の男がピクッと動いた。・・・・・・中々鋭い奴だ。

「貴女はこの男───名を磯利といいます。磯利を、知っていますか?」

「はい」

「では、どのように?」

「名前は今聞くまで知りませんでした。彼はコンビニで初めて見ました。銃を持って脅してきたのです」

「彼は貴女に足を撃たれた、と言っていますが・・・・・・事実ですか?」

「はい」

監視カメラを確認すればわかるだろうに・・・・・・何故そんなことを訊いてくるのか。

高鍋が目配せすると、安達が頷いた。書けたかどうかの確認だろうか。

高鍋が視線を逸らしたのを確認した磯利が、こちらにニヤリと、笑みを向けてきた。

「ちょっといいか?」

磯利が初めて声を発した。高鍋は振り向き、掌を上向けて続きを促した。

「あんた・・・・・・何で俺を撃てたんだ?」

高鍋が隣で、重たい吐息を溢した。私は能面のような作り笑いを返す。

「銃を撃つには、それなりの訓練が必要だ。まして女の細腕じゃあ、反動に耐えるのも一苦労」

高鍋も安達も、何も言わない。彼等も抱いていたんだろう。その疑問は。

「俺はこうして面と向かってみて、改めて思ったぜ。───あんた、恐ぇよ」

磯利が冗談でもなく、本気で言っているのは、目が笑ってないのを見てわかった。

・・・・・・フッ。

「・・・・・・殺しといた方が良かったか?」

安達がタイピングの手を止めた。高鍋がこちらを睨んできた。

「───今のは冗談です。もう帰っていいですか?」

ちっとも緩まない空気を引き裂いて、私は立ち上がった。

「えぇ。ありがとうございました」


寮に戻った私は、思いっきり助走をつけてベッドに飛び込んだ。

「・・・・・・はぁあ」

余計なこと言っちゃったぁ~っ!

枕に何度も頭突きしながら、道中、心の中に雪のように溜めてきた後悔の念を吐き出す。

「あぁあ~・・・・・・絶対眼ぇ付けられたぁ~っ」

一人暮らしをイイことに、ベッドの上で暴れまくる。

結局、昼時を過ぎても同じ様に暴れていた。


続きは書き始めてます。また短くならないように頑張りたいです。

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