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銃の帰還  作者: sniper
入学編
3/22

初めての高校

少しずつ書いてますので、文量的に不満があるかもしれませんが・・・・・・頑張ってます!

手続きの諸々、教科書や制服も揃い、二年遅れの高校二年生への準備が完了した。

───今日は始業式。

入学式に参加できなかったのは、ちょっと損した気分だけど・・・・・・まぁ贅沢は言ってられない。

配属されたクラスを、体育館の端っこから眺める。

・・・・・・確か、二年四組だったはずだ。彼女達の、椅子に座って壇上に立つ先生達を見つめる様子は、随分と大人びて見えた。私よりも年下なのに・・・・・・ね。


始業式が終わり、教室にぞろぞろと向かう集団に混じって、私は教えられた教室の、指定された席に座った。

いつの間にか紛れ込んでいた私は、周囲からは大して目立たず、うまくとけ込むことが出来た。

戦場でも、こうしてスパイまがいのことをやったことが幾度とあった。

周囲を包んでいるのは、喧騒とまではいかない、囁き合い。新しい学年、クラス、同級生に、皆がそわそわと気を散らしている。

───微笑ましい。

自分も同じ立場であるはずなのに、つい傍観者視点で見てしまう。いや、上から目線、て言った方が的を射てるかな?

そんな自嘲を頭の中で繰り広げていると、外側から教室のドアが開けられた。柔らかな物腰の中年女性───このクラスの担任だ。

「皆さん、おはようございます」

『おはようございます』

全員が挨拶を返す。急なことで、私は出遅れてしまった。

「今日から一年間。この教壇から貴女達を見守らせていただく、担任のウスイカオリ、と申します」

黒板に「雨水薫」と書かれた。珍しい苗字だ。

「皆さん。これからよろしくお願いしますね」

なんとも上品な挨拶にこれまた全員が

『よろしくお願いします』

と返した。

「さて。それじゃあ新しいクラスということもありますし、軽く自己紹介でもしてもらいましょうかね」

―――来た。

私は反射的に感じた緊張に、人知れず拳を握り締めた。

名簿番号順に生徒が起立していく。自分の番は十二番目。ちょうど真ん中あたりだ。

どうしよう。こういうことはあちらでは無かったし、六年前のことなんて忘れてるし。

あぁ~・・・・・・どうしましょうねぇ~。

と、ぐずぐず考えてる間に、私の順番が回ってきた。

とりあえず起立する。

えぇ~っと。とりあえず名前と出身中学か。

「山口麗奈です。出身中学は朝日中学。特技は・・・・・・武道を少し嗜んでました。よろしくお願いします」

途中、特技を遠距離射撃と言いそうになって、慌てて中学時代剣道をやっていたことを思い出した。

とにかくこれで事なきを得たわけだ。周囲からの視線も、あまり興味を惹かれたような感じはしなかったし。思惑通り地味に過ごせそうだ。

特に引っ掛かりを覚えることもなく、自己紹介は終わり、その後、プリントやなんやらが怒濤の勢いで配られた。

ふぅ・・・・・・。

プリントに目を通す。どれも私には懐かしい内容のものばかりだ。第一、こんな紙媒体の情報はあの戦場にはほとんど無かった。何故なら、全部燃えてしまったから。

そんな異常な感慨に囚われている間に、私は放課後を迎えた。


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