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転生したら、告白されてる真っ最中でした。~断っても何年も求婚され続けてます!?~

掲載日:2026/02/03

初めての短編です!

 




 「ミア・フィリード侯爵令嬢。私と、婚約してください!」

 「…え、嫌です。」



 **






 私は美愛。日本に住んでいる小学四年生。最近誕生日を迎えたばかりでい10才なの。

学校の校外学習で公園に向かって、みんなで空の絵をかいていた。


はずだったんだけど…




目の前には同い年くらいの金髪の髪に藤色の瞳の男の子が座っている。私たちは庭のようなところで向かい合って座っていた。周りには幾人かの大人の人たちが並んでいる。





 きょろきょろしている私を不審に思ったのか、周りの人たちがいぶかしげに目を細めている。

 …だって気になったんだもん。




 すると次の瞬間、前に座っていた男の子が口を開いた。


 「ミア・リファード侯爵令嬢。私と、婚約してください!」


 はい、それでとっさに私の口から出てきたのが…

 「…え、嫌です。」

 なわけね。


 いや、だって!私にとっては初めて見る人なんだもん!そもそもこの状況何!?

 私日本にいたはずなんですけど!ここどこなの…





 するとその瞬間、私の頭にいろんなことが流れ込んできた。


 私の名前は、ミア・フィリード。お父様はラフェイン・フィリード。現リフィード侯爵で、お父様が陛下から賜った地をアテレファンという。

 ここはリペナアード王国。私が住んでいた日本とは似ても似つかない…


 どうしてこんな状況になっているのかって?

 陛下が私と王太子殿下の婚約を結びたいそうで、今日会うことになったらしいです…



 そして、目の前に座っているこの男の子は王太子殿下!


 てことは私、王太子殿下の婚約の申し入れを断ったわけ!?

 すごくピンチじゃない!?そもそも陛下が私と王太子殿下を婚約させたいのよね…


 私、考えなしにとんでもないことを言ってしまったかも…



 私が転生する前にこの体にいたミアさんは、もちろんこの婚約を喜んでいて、絶対に受けよとお父様からも言われていたみたいだけど…




 ここまで私の思考が目まぐるしく動いてるの初めてかも!

 この考えに行きつくまで刹那。周りにいた大人たちが私の言葉を聞いて慌てだした。




 「ミ、ミア!お前なんてことを言ってるんだ!今すぐ撤回しなさい!」

 一番慌てて困ってそうなこの人が私のお父様。



 続いて目の前の王太子殿下も口を開く。

 「ミア侯爵令嬢。理由はなぜですか?」

 

 てっきり怒鳴られるかと思っていたけど…そこまで怖い人じゃないみたい。


 何て言えばいいだろう。まぁ本心からの私の言葉を言えばいいか…

 

 「王太子殿下。わたくしたちは今日初めてお会いしましたわよね。もちろん、書類でお互いのことを知ってはいますが、それはあくまで情報です。さすがにいきなり婚約は…無理なのです。それに、わたくしたちはまだ10才です。あせらずとも、王太子殿下にはそのうち婚約者様がお出来になるでしょうし、まだ時間はあります。お願いします。この話はもう少し待ってくださいませんか。」

 

 よくやった私!なかなかいい言い訳だったんじゃない!?


 しばしの沈黙の後、王太子殿下が口を開いた。

 「…わかりました。つまりは私のことが気に入らなかったと…。私があなたの『理想』になれば、私のことを好きになってくれるということですよね?」


 念押しされるような口調で言われたけど…

 

 「いえ、王太子殿下が気に入らなかったという話ではないのですけど…」

 だってそんなことを言ったら不敬罪で首が飛ばされるだろうし…



 王太子殿下の言葉にお父様たちが騒ぎ出す。


 「殿下!よろしいのですか?もちろんわが娘ですしそりゃあ生き延びて欲しいですが、殿下の婚約を断ったんですよ!?少しぐらい罰をお与えになってもよろしいのではないですか?…なんなら私が後で仕置きしましょうか?」


 こわっ。お父様怖すぎなんですけど。やっぱり王太子殿下の婚約を断るなんてとんでもないことなのね…


 「いや。その必要はないよ、ラフェイン侯爵。…ミア嬢に断られてしまったのは私の落ち度だ。…ミア侯爵令嬢。いつか…あなたが私と婚約してもいいと思ってくれたら、その時は私の婚約を受けてくださいね。」



 そういうと王太子殿下は私の手を取り、指先にキスをした。

 「…っ!」



 「わ、分かりました!分かりましたから、早く手を放して下さいー!」

 「耳まで真っ赤になって可愛いですね。もう少しこうしていたいですが、あなたには嫌われたくないのでここらへんで我慢しておきましょう。」




 「あ、それとミア。私、これから毎日ミアに告白していくから。」

 …はあぁぁっ!?




 **

 一ヶ月後



 あれから本当に王太子殿下は私に毎日求婚してくるようになった。

 

 「ミア、今日も可愛いですね。婚約しましょう。」

 「いやです。」


 数日は即座に切り捨てていたのだけど…


 「ミア、私はあなたがいないとだめなんです。お願いします。私を捨てないでください…」

 …とか言ってくる日もあって。

 しかも捨てられた子犬みたいにキュルキュルこっちを見つめてくるから、こちらとしてもいたたまれない気持ちになってくる。


 「…捨ててなどいません。そもそも私はあなたの飼い主ではありませんわ。」



 仕方がないのでそう返すと、

 「あぁぁ!ミアがいつもより長く会話をしてくれた!ありがとう!今日も大好きだよ!」


 といって走り去っていった。





 **

 六年後



 今日もカイン殿下が私に求婚してきた。

 「ミア、今日も美しいね!あなたの美貌にかなうものは世界のどこにもいないよ!」



 十三歳になると、貴族の子どもは国にある貴族学校に通うようになる。もちろん私やカイン殿下も通っており、数年前からは学校で求婚を受けるようになっていた。



 でも、学校なんだから周りの目を気にしてほしい。

 今も同級生たちが


 (あぁ。今日も求婚か。)


 と思っているような生暖かい視線を向けてくる。


 はぁ。いったい何回この求婚を受けただろう?

 でも今日はとっておきの理由を用意したもんね!


 


 「カイン殿下。お気持ちはうれしいですが…。そろそろ中休みが終わりますわ。わたくし、次の時間が魔法演習なので早く行かなければなりませんの。」


 すると、カイン殿下は見るからに悲しそうな顔をして、

 「そうか…。ではまた後で。」


 とすごすごと引き下がっていった。

 物分かりがいいのはあの人の好い所だ。




 友人たちが一斉に集まってきた。


 「ねぇミア。断っちゃってよかったの?王太子殿下もあなたに飽きちゃうかもしれないじゃない。早く受けた方がいいわよ。」


 「いいの。だって私は、あの方と結婚する未来が見えないのだもの。あの方が私を好きになった理由も知らないし、もしかしたらただの遊び心かもしれないわ。」



 友人たちは不服そうにしていたけど、本当のことだ。私は、彼と結婚なんて…出来る気がしない。




 魔法練習をしていると、友人のマイク・ハードリンが話しかけてきた。


 「ねぇミアちゃん。カインのこと、どう思ってるの?」

 「別に。どうとも思っていないわ。…それに、あの方は出会ってすぐ求婚してきたのよ!?やっぱり私の家柄が目当てなのではないかしら。」


 「えー。そんなことないのに…。そっか、あいつミアちゃんを好きになった理由、ちゃんと伝えてないのか…。ククク…」




 マイクは悪そうな笑みを浮かべてこちらを見た。


 「ねぇミラちゃん。カインがミラちゃんを好きになった理由、教えてあげよっか?」

 「え?別に教えてもらわなくても結構ですけど。」




 マイクはそれでも私にこう言ってきた。

 「あいつはね、陛下が言っているからミラちゃんに求婚したわけじゃないんだ。あいつがミラちゃんに一目ぼれして、陛下に頼んだんだよ。」



 え?


 マイクはいたずらが成功したような顔でニカッと笑った。

 「へへー。あいつには言うなって口止めされてたけど、やっぱり我慢できねぇよ!あとで一応謝っとくか…じゃあねー。ミラちゃん。また後で。」





 私はしばらくその場所から動くことが出来なかった。

 カイン殿下が…私に、一目ぼれしていた…?一体いつ…





 **

 


 その日私はお父様にお願いして、王城に行った。

 そこで陛下に会うためだ。本当なら私が陛下に会うことなど許されないんだけど、お父様が陛下に頼んでくれた。




 陛下が待っている応接室の扉をたたくと、中から返事があった。


 「ミア嬢か。入りなさい。」

 「失礼いたします。」



 中に入ると豪華なソファにリペナアード王国国王陛下、ハイク・リペナアード陛下が座っていた。



 「申し訳ありません。こんな夜分に…」

 「いや、大丈夫だ。お主ほどの令嬢が普通の理由で我に押しかけてくるなどありえんからな。それで、話とはなんじゃ?」



 「陛下、私とカイン殿下の婚約を望まれたのは…陛下ではなかったのですか?」

 「…そうじゃ。あやつが私から言って欲しいと頼んできたのでな。理由は分からなかったが、かわいい息子の言うことじゃから、素直に聞いてやったわい。…して、それは誰から聞いた?」


 「…マイク・ハードリンです。」

 名前を出していいか聞いてなかったけど、私に話したってことはきっと言ってもいいのよね。うん。そういうことにしとこう。



 「そうか。マイクは人のうわさを聞きつけるのがうまいからのう。ミア嬢、単刀直入に言おう。息子のことをどう思っている?」



 これ、本当のこと言っていいのかな…あまり失礼なことを言ったら陛下に対する侮辱になるし…


 「…正直なことを言いますと、まだあまり判断がついておりません。カイン殿下のことは嫌いではありませんが、婚約となると…まだ想像がつかないのです。」

 良かったのかなー。本当のこと言っちゃって…


 「そうか。わが息子はな、お主に出会うまで、笑わない子供だったのじゃ。」

 「そうだったのですか?殿下は昔から笑顔を絶やさないお方だったと記憶していますが…」


 噂だとそんな感じだったはず…



 「あぁ。お主に出会う前までは、何があっても笑みを顔に張り付けたままだったのじゃ。嫌なことがあっても文句ひとつ言わぬ。手のかからない子じゃったが、どうにも気がかりだった。が、ミア嬢と会ってからはくるくると表情が変わっていったのじゃ。」


 そうだったんだ…

 

 「無理に婚約せいとは言わぬ。息子も、お主が心から自分を好いてくれた時、婚約したいと申しておる。…どうか、ゆっくり考えておくれ。」




 「…はい。分かりました。」





 **





 陛下の話を聞いてから、私は、今までの自分の気持ちに気づくことが出来た。

 私は、殿下との未来が見えなかったんじゃない。本当は、殿下と婚約して、一緒に未来を歩みたかった。確かに最初は半信半疑だったけれど、殿下の心の優しさに、とっくに好きになってたんだ。でも、陛下が婚約させたいと思っているだけで、殿下は私のことなんて本当はどうでもいいんだろうと思っていた。だから、婚約を受けたくなかったんだ。


 …ほんと、全然気づいてなかった。

 答えよう、殿下の気持ちに。



 その日の夜、私は殿下に手紙を出した。


 『明日の朝、私の家の前に来てください。お話したいことがあります』





 **

 翌日


 カイン殿下は本当に朝、家の前に来てくれた。


 「ミア。話って何だい?まさか、僕がしつこすぎたとかー」

 

「ち、違います。…私、殿下の気持ちにずっと気づいてなかったんです。陛下が私と婚約するように言ったから、ずっと殿下は告白してきていると思っていました。でも、違いました。あなたは、真実私のことが好きで、ずっと告白してきてくれたんですね。…私、ずっと自分の気持ちに蓋をしてきました。でも、もうやめます。…カイン殿下、私と、婚約してください。」



その瞬間を、私は一生忘れないだろう。

「ミア!ありがとう。ずっと、ずっと大好きだった!でも、私から直接言ってしまったら、侯爵家は断ることが出来ない。私は、ミアが嫌がっているのにそのまま婚約するのだけは嫌だったんだ。だから、ずっと我慢していた。君を私のものにしたい気持ちをこらえていた。でも、もう我慢しなくていいんだね!」

殿下は私を抱きしめ、喜びに満ち溢れていた。



「…あ、あの。私とカイン殿下はあの時が初対面だったと思うのですが…いったいどこで私を好きになられたのですか?」

「あぁ。…幼いころに、一度君が王城に来たことがあっただろう?その時、僕は大人たちのつまらない話を聞いていたくなくて、図書室で本を読んでいたんだ。そうしたら、君が中庭で遊んでいるのが見えて。…とても愛らしくて、好きになったんだ。」

 確かに、お父様に連れられて王城に行ったことはある。その時に、殿下に見られていたとは…




 「何はともあれ、僕たちは両思いになったんだ!これからよろしくね、ミア。」

 「はい。カイン殿下!」



 **

 今日は新しい王と王妃が誕生する日。国民は我先にと王城へ押しかけ、貴族たちも祝いの為に集まった。そんな外の喧騒の中、王と王妃は二人きりで話をしていた。


 「ミア。緊張していないかい?」

 「大丈夫ですわ。陛下。あなたといれば、どんな困難もきっと乗り越えられます。」



 二人はそっと微笑みあった。


 「そうだね。愛してる。ミア。…じゃあ、行こうか。」




 王と王妃がテラスに出ると、国民からワッと歓声が上がった。



 第五十一代カイン・リペナアード国王、ミア・フィリード王妃の誕生であるー。



 ―END―


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