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古民家カフェで紡ぐ恋〜歳上部下は犬系男子?〜  作者: 暦海


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最初の印象

 ――それから、数年経て。



『……へぇ、こんなところに』



 大学4回生の、ある秋の昼下がり。

 紅葉の色づく鮮麗な山の中で、ふと視界に映ったのは和の雰囲気漂う小さなカフェ。豊かな自然に溶け込むその素朴な佇まいに、ぐっと心が惹かれ足は自然とそちらの方へ。


 扉を開くと、そっと鼓膜を擽る柔らかな鈴の音。そこに広がるは、数少ない灯火と僅かな光が差し込むだけの仄暗い空間。まるで時の止まったような幻想的な景色の中、ゆっくりと奥の1人席へと足を進める。すると、すぐ隣にある窓の外にはさっきまで見ていたあかと緑のコントラストが鮮やかに一面へと広がって……うん、すっごい良いところ。



『…………うまい』



 それから、数十分経て。

 思わず、そんな声を洩らす。注文したのは、白餡のどら焼きとブレンドコーヒー。どら焼きは砂糖不使用とのことだけど、それでも十分に――それでいて、大豆本来の自然の甘さが口の中に広がり後味も抜群。そして、珈琲だけど……香り、味、全てが得も言われぬほど素晴らしく――



『――ありがとうございました、またお越しくださいませ』


 ふと、鼓膜を揺らす澄んだ声。見ると、今出ていったお客さんを見送る店員さんの声のようで。


 ……人形、みたいな子だな――なんて、それが最初の率直な感想で。その整った綺麗な容姿も、ほとんど感情の読み取れないその表情も。失礼は承知ながら、少しばかり近寄りがたい――それが、最初の印象だった。




 


 

 




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