セッション
何をやっているのか全く見えないが、突然すりガラスのついたての向こうから「カサカサ、カサカサ」と音が聞こえてきた。それは規則的な4音からなるカサカサで、こういう時、私はついそれに合わせて頭の中で音楽を流したり、手を動かしてみたりしてしまう。
やがて音が止む。
突然空中に放り出された自動車のような気分になる私。
一緒に演奏してたじゃん。踊ってたじゃん。なんで急に止めるのさ。今私だけちょっと長くやってたよね。
ああ、なんだか寂しい。
痒かったところが痒くなくなった時とか、しゃっくりが止まった時とか、グラグラの歯が抜けた時とか、こんな気持ちになるよね。余韻⋯⋯に近い感じかなぁ。