8 ココについて2。
休憩を挟み、次は黒縄。
殺生・窃盗を行った者が、主に焼けた鉄によって打たれ・切られ・刺され、時に熱風や大釜で煮られる。
等活の10倍の苦痛。
・等喚受苦処は、偽預言者の地区。
間違いを説いた者や投身自殺した者が、黒縄に縛られ刃物の上に落とされ、獣に食い殺される。
けれど実際は、占い師の学校等が有る地区、庶民は見習いに格安で占って貰うらしい。
・旃荼処は、偽医者の地区。
不必要な薬を投与した者や治療に必要な物を盗んだ者が、生き物に顔面を食い尽くされ、打ち据え突かれる。
ココも、結局は医者を育てる地区。
・畏鷲処は、鷲の地区。
不必要に奪い餓え渇かせた者、鉄の棘の上を追い掛け回され、止まれば殴られ酸を掛けられる。
そしてココはそのまま、動物保護区。
「あの、コレだけ、でしょうか」
《はい、十六小地獄として伝わっているのは、コレだけですが。地獄と付くモノは他にも有りまして、幾つか付随させました。ですので以降は、コチラの黒縄、となります》
「成程」
・黒沙処は、石工所。
奪い放火した者、灼熱の黒沙が吹きすさび体に張り付き身を焼き、後には身すら削り骨すら無くなる。
その名の通り、石材加工場。
・熱灰河処は、レンガ製造所。
幾度も奪い放火した者、沸騰した土石流の河を進むしか無く徐々に足元から焼かれ頭の先まで埋まる事になり、そのままゆっくりと毒虫に噛み千切られ焼き尽くされる。
コチラも名の通り、レンガ製造地区、耐火レンガも作っているらしい。
・寒氷処は、冷凍庫。
仕事の成果により人や獣を害した者、息も凍る猛吹雪によりゆっくりと凍りつき、皮膚や骨さえも暴風により吹き飛んでいく。
向こうで言う氷室、主に氷を保存している地区、貴族其々に所有しているらしい。
・鑊湯処は、冷蔵庫。
意図的に仕事の成果により人や獣を害した者、身が凍らぬ程度の氷水と刃物が入った鍋に入れられ、ゆっくりと凍らされながら切り刻まれる。
ココは雪室、冷凍庫の傍に有り、コレも各貴族が所有しているらしい。
《ネネちゃん、雪室って知ってた?》
「雪中貯蔵のお酒、とか有るので、はい」
《飲めないのに、あ、お母さん?》
「はい、父にするとザルだそうです」
《遺伝子の不思議》
「ですね」
・沸屎処、下水処理場。
重い病を移し奪った者、沸騰した糞尿で出来た球に抱付かされ焼かれながら、同じく沸騰した糞尿をあらゆる穴から流し込まれる。
・膿血処、健康診断センター。
意図的に重い病を移し奪った者、全身の穴と言う穴を開けたままにされ沸騰した膿と血の池で煮られながら、あらゆる毒虫に刺され噛まれ万病の苦しみを与えられる。
・飢餓処、缶詰工場。
食べさせるべきでは無いモノを食べさせ奪った者、焼かれ冷やされ煮られた後に糞尿の塊を食わされるが、更に餓えが増す事になり最後は腹が弾け飛ぶ。
・渇処は、茶葉農園。
飲ませるべきでは無いモノを飲ませ奪った者、焼かれ冷やされ煮られた後に清い水に見える溶けた金属を飲まされるが、更に渇きが増す事になるが最後に全て吐き出しより渇く事になる。
《先生ー》
《はい、何でしょう》
《この、べきでは無いモノって、例えば何でしょう》
『私も気になりました』
《腐り体調を崩してしまうだろうモノ、不必要に味を落としたモノ、毒物や薬物も含みますね》
『お豆腐は腐っても味も匂いも変わらないそうですが、どうですか?』
「ですね、なので賞味期限を守らないといけない意外な食材なんですよね」
《へー、ウチだと直ぐに無くなるから知らなかった》
『そうなんですね、じゃあ腐った食べ物の味や匂いは分かりますか?』
《あるある、外国はそこ凄い雑だから、納豆の匂いがしたり酸っぱかったりだね》
「あぁ、お肉が分かり易いですよね、配送ミスで腐り掛けが届いた事が有りますよ」
《あるある、冷蔵便なのに色が酷く変わってたりとかね》
『お腹が痛くなるのは本当なんですか?』
「私は無いですが、寧ろお肉の食べ過ぎでなる人が居ましたね」
《私は当たったぁ、海外で、ギリピンク色の鶏肉。外側は綺麗な焼き色だったから、ギリ大丈夫だと思ったんだけどねぇ》
『どうでしたか、大変でしたか』
《もう、上から下から、固形物だけで済んだけど。酷いと上からも下からもお水だけ出るらしい》
「良くご無事で」
《早々に上から出したから、けど少量なのにマジでやばかったよ》
『気を付けないといけませんね、良く焼かないと』
「ですね、病気は直ぐに貰ってしまいますから」
『私は殆ど病気しませんでした、少し怖いです』
《知恵熱も?》
『知恵熱?』
《ヒナ様はまだですが、きっといつか出てしまうでしょうね。お知恵をいっぱいに詰め込んでしまうと、出てしまう熱の事です》
『出されましたか?』
「出しました、ココの存在を知り、グルグルと考えてしまって」
《私も、それに向こうのお兄ちゃんも出してたよ》
《ヒナ様は、まだ小さいですから、熱は体に触りますので。出来ればゆっくり、お熱を出さない程度で、とさせて頂いておりますよ》
「では、コレが終わったら」
《はい、今日のお勉強は終わりです。もう少しだけ、お付き合い下さい》
『はい』
・石磨処は、チョコレート工場。
押し退け奪った者、熱された巨大金型の上で押し潰され広げられては折り畳まれ、混ざり合った神経や骨をも研磨材で磨き上げられる。
チョコレートだけでは無く、飴やお菓子も製造し販売している場所。
・量火処は、炭焼き工場。
押し退け邪魔をし奪った者、炭焼き窯の中で真っ赤に焼けた炭を計量させられ、少しでも越えてしまうと息も出来ぬ焼き窯に放り込まれ炭にさせられる。
・釿斧処、鍛冶屋。
擦り付け奪った者、切れ味の疎らな手斧や釿が降り注ぎ徐々に削り取られ骨すら粉々に粉砕されるが、ゆっくりと元に戻され切り裂かれた時の10倍苦しむ事になる。
主に道具の修理や調整をするらし。
・鉄釘処、金物屋。
擦り付け邪魔をし奪った者、真っ赤に熱された鉄の上で手足から徐々に焼けた釘を打たれ、500本打ち込まれると次はゆっくりと取り除かれ元に戻ってしまう。
金属類を主に販売し、特注品もココで頼んだり製造される場所。
・鉄丸処、道具屋。
言葉や文字で邪魔をし奪った者、真っ赤に焼けた大小様々な鉄の玉で満たされた釜の中に放り込まれ、穴と言う穴に焼けた鉄球が入り込み焼かれながら押し擦り潰される。
道具屋街、金物屋や鍛冶屋と隣接し、販売や修理も請け負っているらしい。
《では、以上となりますが、何かご質問は有りますか?》
ヒナちゃんは変なモノを食べさせられて無かったのは、安心したんだけど。
《あのー》
《はい、何でしょう》
《もしかして、こう出来る場所が、不随してるとか有ります?》
《いいえ、出来る場所は王城、中央に御座います》
《有るんだ、実際》
「では、そこに行くには」
《ヒナ様はもう暫く、ですがお2人は可能ですよ》
『楽しみに待っていますね』
あ、コレ行く方向性だぁ。
「では、お先に見学させて頂きます」
『はい、宜しくお願いします』
《では、ヒナ様は今回の感想文を宿題とし、お2人には実際の感想文を頂く事に致しましょう》
《はーい》
ごめんネネちゃん、まさか直ぐに行く方向になるとは思わなかったんだよぉ。