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35 日常と懐中時計。

 沢山遊んで、沢山お話して。

 また、いつも通りに戻ります、それが日常だそうです。


 私は寂しいを覚えました。

 私は悲しいを覚えました。


 けど今は大丈夫。

 ネネさんに何か有れば分かる様になったので、少なくとも消えたら分かります。


 それと猫です。

 猫が教えてくれるかもなので、かなり大丈夫になりました。


 それから学校は、色々と騒がしいです。

 多くの貴族が廃位し、庶民落ちとか言う事態になっています。


『庶民落ちって、何でしょうか』


「あ、えっと」

《貴族が私達庶民と、同じになる事よ》

『落ちの説明が無いのですが』


「こう、偶に悪しき貴族は、庶民を下に見てるから」

《あ、ヒナ様は違いますけどね》

『成程、ありがとうございます』


《いえいえ》


 このお2人とは、飾り付けを教えて頂いて以来、友人候補となった方々です。


「ヒナ様、前から思っていたんですけど、少し物知らずですね」

《あっ》

『はい、歴史は得意なんですが、知らない事は多いです』


「貴族としては大丈夫なんですか?」

《あの、ごめんなさい、2人とも少し心配で》

『そこは大丈夫です、皆さん良くしてくれますので』


「へー」

《あの、資質を疑っているワケでは無いんですよ本当》

『分かります、ありがとうございます』


 2人は私が強い事を知っているからか、まだまだ怯えられていますが。

 慣れたら、お友達になれる気がします、多分。




「はぁ」

《もう、溜め息を吐きたいのはコッチよ?》


「ごめん、だって貴族との付き合いなんて分かんないんだもん」

《私もよ、でもほら、何となくは分かるじゃない?》


「媚び諂うの?ヒナ様は何か違くない?」

《それは、そうだけれど》

《ちょっとアナタ達》


「ほら、しかもこうして面倒な事に」

《ちょっと》

《そこの庶民に言っているのよ!アナタ達!!》


「何ですか」

《あの》

《何で御座いましょうか、でしょう》


「あー、お貴族様でしたか、てっきり大声を出したので庶民の方かと」

《何をっ》

《あの、失礼致しました、ご要件をお伺い致しますね?》


《ふんっ、ヒナ様に近付かないで頂戴、高位貴族でらっしゃるヒナ様が穢れるわ!!》

「はーい、分かりました」

《あっ、あ、了承致しましたでは、失礼致しますね》


 こんなんばっか。

 で、ウヴァル先生にチクると秒で庶民落ち、で更に逆恨みして来るんだもん。


 マジでウザい。


「もう、マジでヒナ様と関わるの止めようよ」

《えっ、そんな、先生に言えば》


「元は関わってるせいだし、庶民なんか幾らでも居るんだし、断っても大丈夫でしょ」

《かも知れないけれど、折角、お知り合いになれたんだし》


「貴族に取り入りたいの?」

《違うわよ、こう、お友達って言うか》


「貴族と庶民が?無い無い、無いよ、どうせ何とも思って無いって」

《でも、話し掛けて来てくれるのはヒナ様だけだし》


「物珍しいからでしょ、あの無表情だし、偶々だよ偶々」

《でも》


「あー、好きにして、私知らなーい」

《あっ、待ってよー》




 規則は平等にって言ってるのに、どうしてって思ってたの。

 でもヒナ様は話し掛けて来てくれて、教えたら対価もくれた。


 ヒナ様は平等にしてくれるし、無表情だけれど、正直だし。


 でも、ヒナ様に告げ口するのも、確かに違う気がする。

 うん、やっぱり先生に。


『どうしましたか、アンバー』

《あ、あのね、ちょっと様子をと思ったのだけれど》


『嘘ですね、何故です』

《あ、その。そう、新作の飾り付けをね》


『何か隠してませんか』


《あのね、お付き合いを、するなって》

『誰ですか』


《お名前は、知らないのだけれど》

《ヒナ様》

『何ですかローズ』


《ちょっと、コチラへ、良いかしら?》

《あ、はい》

『ダメです、大切なお話の邪魔をしないで下さい』


《あ、いえ、私はもう終わりましたので》

《ヒナ様、あまりしつこくしては庶民が》

『コレですか、アンバー』


 そうだけれど、言うのが怖い。

 怒鳴られるのは嫌だし、虐められるのも嫌だけれど。


 でも。


《ヒナ様、実はね、この方が貴族とのお付き合いは嫌だと仰ってて》

《私、そんな事》


《あら、でも少なくとも、お友達の方は仰ってましたわよね》

《それは、あの子は》

『分かりました、ありがとうございましたアンバー、行きましょうローズ』


《はい、では、失礼致しますわね》


 どうしよう。

 もっとハッキリ言えば、でも、あの子が面倒だと言っていたのは事実だし。


 どうすれば。

 どう言えば、良かったんだろう。




『大粛清は面倒を起こす為に有りますか』


《ふぉっふぉっふぉっ、まぁ、そうじゃな》

『まぁ、そうだねぇ』

「うむ」

『いやうむ違う、私は楽しいだけしたいんですが』


《ほう、では楽しく無いか》

『はい、楽しく無いです、不快で不愉快です』

「ふむ、では具体的に頼みます」


『ローズもリリーもデイジーもアイリスも、明けの明星じゃないですか、頭の上に黒い星がクルクルしてます』

「ふむ、ヒナ様にはそう見えておられるか」


『他は違うんですか?』

《まぁ、ワシらは》

『悪魔の勘』

「ですな」


『んんー』

「まぁ、アレです、殺処分前の最後のオークションみたいなモノ。オークションは分かりますかな」


『言葉だけですが、はい』

《まぁ、在庫整理》

『バーゲンセール』

「ですな」


『何となく分かりましたが、迷惑なんですが。あ、一緒に居る事を邪魔されます、虐めようとします』


《ですが、まだ虐められてはおりませんでしょう》

『しかも何故、そうなさるかも分からない』

「であれば、後はヒナ様次第、ですな」


『私、次第』

「ですな」


 私に何か出来る、と言う事なのは分かりますが。

 一体。


『あ、はい』

「はい、では一体、何でしょうか」


『私も大粛清します!』


 あ、違ったんでしょうか。


《まぁ、そう思われたのでしたら、それが正解です》

『そうね、ふふふ』

「では、悪魔貴族の証を授けましょう」


『あ、そう言えば』

《はい、本来はご卒業してからだったのですが》

『この場合は、コレが適切かと』

「使い方は、大丈夫そうですかな」


『はい』


 金色の懐中時計。

 ココを押すと、開く。


 けど。

 中が違う。


《ソチラは、まだ封じられております》

『真にお目覚めになられたら、ですね』

「コチラでも十分かと、コレは女王の証、ですからな」


 そうでした。

 私は女王になるんです。


 東の王はルキフゲ、西の王はアシュタロト。

 南の王はバアル・ゼバブ、北の王はアスモデウス。


 中央は、私。


『はい、頑張ります』


 私は、ココを守る女王になるんですから。

 頑張らないと。




《この道とは、やはり人種が絡むと、こうなってしまうのだろうか》

『まぁ、流れが、そうなってしまいましたからね』

「他の道も、無くは無かったんですがな、やはり人を育てるのは難しい」


 悪魔は、人種へ関わる事を最小限に抑えている。

 関わりたいだろうに、穏便に穏やかに介入するなど、造作も無い事だろうに。


『道を作り出せば良かっただろう』


《まぁ、出来はしましたが》

『稀有なる無垢な無印の子です、寧ろコレが、妥当でしょう』

「放し飼いの良さも有ると言うもの、子飼いは如何様にも出来ますからな」


 時に悪魔は人らしくなる、人種をモノの様に扱えるのは、やはり悪魔だけ。


『もう矢は放たれた、好きにすれば良い』


 悪魔は悪魔らしくすれば良い。

 結局は、元は天使なのだから。

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