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2 執事。

口語などを改訂しました。

 執事、若しくは侍女長を探しに街へ行きました。


『意外と明るいです』


《ふふふ、あそこだけが常夜ですから》


 執事が指差した方向には、柵が有りました。

 その柵を境に明暗がくっきりと分かれていて、多分ですが、コチラ側の光は通さないみたいです。


 不思議でした。


 それから門をくぐった後、茨のトンネルを通ると、また門でした。


『コレは何ですか』

《秘密の近道です。さ、参りましょう》


 ふわふわのドレスや、シュッとしたの、色んなドレスを着ている人や犬みたいな人。

 それにお城みたいな家も有りました。




『ではコチラが新しい印章と謄本と証書です、ご確認頂けましたら、お受け取りのサインをお願い致します』


『私の名前は』

《先代がお付けになりました、コチラ、ヒナと書いてらっしゃいますよ》


『こう書けば良いですか』

《はい》


『コレで良いですか』

『はい』

《はい、では次ですね》


 次に向かったのは紹介所でした。

 透明なガラス板が、タブレットみたいに使える不思議な場所です。


『こんなに執事になりたがる者が居ますか』

『コレでもご案内出来る者は限られているのですが、そう仰って頂けて助かります』


 後で教えて貰いましたが、人が混ざっていると嫌がる者が多いそうです。

 (ヒト)種は弱くて脆いから、です。


『彼に会ってみます』


 青い目が綺麗だったので選びました。


《では、この者へ案内を》

『はい、では直ぐに手配致しますが、幾ばくかお時間を頂きますので。もう暫く街を回ってみては如何でしょうか』

『はい、そうしてみます』


 少し前に食べたのに、何だかお腹が空いた気がします。


《ふふふ、アレは肩慣らしだと思って下さい。さ、次は空腹の鐘の音を止めに行きましょう》

『はい』


 私の空腹の鐘が鳴ってしまったので、レストランへ初めて行きました。




《次へ参りましょうか?》


 先代から、当主様が気に入るだろう、と教えられていたレストランのメニューを1周してしまわれたので。

 次のお店を、と思っていたのですが。


『いえ、私には知識が足りません、補いたいです』


 新鮮さと驚きに満ち溢れた眼差しで各所を回ってらっしゃったので、もしかすれば、とは思っていたのですが。

 予測通り、先代はお知恵を殆どお授けにはならなかったらしく。


《先ずお知りになりたい事が有れば、私にどうぞ》


『買い食いは出来ますでしょうか』

《勿論、参りましょう》




 私の所属はソロモン72柱、だそうです。


 そしてココは地獄で異世界で、何でも居る世界、だそうです。

 ですが悪魔や精霊は本来、食べ物を必要としないそうです。


『ですが何故、働くのでしょうか』


 何もしなくても良いのに、悪魔は貴族として働いています。


「それが自分のしたい事、だからかと」


 紹介所に戻ると執事候補が来ていたので。

 今、色々と尋ねています。


『何がしたいですか』

「世話全般です」


 先代の執事は、うんうん、と頷いていますが。

 私には良く分かりません。


 爪を磨く事も頭を結い上げるのも、殆ど全てしてくれました。

 でも何が楽しいのか、私には良く分かりません。


《返品は7日以内でしたら受け付け可能ですから、先ずは試用で、どうでしょう》

『うん、はい、宜しくお願いします』

「はい、宜しくお願い致します」




 僕の様なシルキーやブラウニーは、家事をする妖精種。

 コレは基礎中の基礎、なんですが。


『私には常識が欠落しているのかも知れません』


 親の愛が足りないか、敢えてか。

 ヒナ様に問題は無さそうですし、先代に至っては愚かな行為は決してなさらない方で有名ですから、何か意図して知識や記憶を授けなかったのかと。


 以前の執事から、そう聞かされている。


「出来るだけお教え致しますが、教え忘れが出る可能性も有りますので、遠慮せずお尋ね下さい」


『はい、ではこのまま伺わせて頂きますが、私は子供でしょうか』


「はい、そうでらっしゃるかと」


 バルバトス様からも推薦され、浮かれてすらいたんですが。

 (ヒト)種混ざりは兎も角、こう知恵が無い者を産み落とすとは、先代は本当に何を考えてらっしゃるんでしょうか。


 分かりません。

 既に知識の有るモノが殆どの世界で、何故、先代は知恵を敢えて与えなかったのでしょうか。




《では、どうか健やかに》

『はい、ありがとうございました』


 先代の執事が、行ってしまいました。

 この先、また違う誰かの願いを叶える為、行ってしまいました。


「ヒナ様」


『先代に私が混ざり、濁ってしまわれてはいないでしょうか』

「大丈夫かと、先代様はお美しい姿で旅立たれた、と記録されておりますから」


 美味しい物を食べさせてくれた。

 お風呂に入れさせてくれて、お洋服も沢山くれた。


 出来るならお返しがしたいです。

 恩返しをしたいのですが、先代の居場所は分かりません。


『私がすべき事は何でしょうか』


「先ずは、刺繍はどうでしょうか」

『では刺繍をします』


 ココの常識を知るだけでも、かなり時間が掛かるそうです。

 少し聞けば理解する事も有りますが、殆どが知らない事ばかりです。


 なので聞きながら刺繍をしました。

 ココはとても、知る事がいっぱい有りました。

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