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143 海辺の雑貨屋。

 妙さんの事が落ち着いてから1週間後、俺達は再び海へ来た。


「確かに、ワカメの匂いですね」

『はい、でもレンズに笑われました』

《仕方無いだろ、良い発想だと思っただけだ》


「確かに良い発想ですね、私なら海の匂いだ、と安直に答えてしまいますから」

《ほらな》

『でも今のネネさんの雰囲気とは違います』


《面白かった》

『分かりません』

「面白さって経験や知識だそうですから、もう少し溜めてみましょうか」


『はい、暑くなったら海で遊んで良いそうです』

「そうなんですよね、川も海も冷たいので、暑くなってからじゃないと入らない。入れない」

《あー、プールはどうなってるんだ?》


「競争しましょうか」

『勝ったら教えてくれますか』


「勿論」

《よーい》

『どんっ』


 よっぽど知りたかったのか、アイツ飛びやがった。


「凄い発想力ですね本当」

《あぁ、だな》


「所で、何故ココなんですか」


《ぶっちゃけると、不思議な雑貨屋が有るんだ》


「ほう」

《いや、コレはマジで心配しての事だと、先に言い訳させて貰う》


「どんな怪しげな店なんですか」

《まぁ、行ってみてからだな》


 ココらには、3つの雑貨屋だか土産屋が有る。

 1つは本当に普通の土産屋。


 けど残り2つには、制限が有る。


『何で歩いてますか』

《いやアレに追い付く方が無理だろ》

「どう、飛んでいるんですか?」


『浮く時はジャンプします、浮いている時は、そのままです』

《成程、言語化が難しいんだな》


『はい、難しいです、習うより慣れろです』

「成程」

《よし、戻って貝殻拾うぞ、今日はネネに雑貨屋の事も教えに来たんだ》


『性別で入れるお店が違います、ネネさんのは向こうの方です』

「ヒナちゃんは行かれましたか?」


『はい、お土産屋さんの人に連れて行って貰いました、お醤油が有りました』

「美食国が直接卸してるらしい」


『ベールを被って入りました、貝みたいな髪の人が居ました』


「人、人種では無く」

『はい、人です』


「成程、じゃあ少し、見学してきますね」

《おう、競争だ、地上でな》

『はい』




 何故、どうしてレンズが案内したかったのか。

 内部に入ったものの全く分からなかったので、店員さんに尋ねる事に。


「あの、友人から紹介されたのですが」

「あぁ、はいはい、少々お待ち下さい」


 どんな違法な品が出されるのかと思ったら、成人用の某でした。


「あぁ」

「あ、もしかして、何も知らずに来ましたか?」


「はい、ただ、心配だとだけで」

「ふふふ、優しいお知り合いさんなんですね。怪我をしない為にも、コレが必要になる事も有りますから」


 成程、本当に体を心配しての事でしたか。


 いや、ですよね。

 無茶をした事は知っているんですし、婚約者が2人も居るんですし。


「あの、この、魔獣印と言うのは」

「魔獣から取れた無害なモノ、と言う意味です、このカードが説明書にもなってまして。コチラをお出し頂くだけで、以降のお買い物がスムーズに行えますよ」


 何と言うホスピタリティ。


「ありがとうございます」

『いえいえ、品物は直ぐに出せますから、ごゆっくりお選び下さい』


「はい、ありがとうございます」


 助かる。

 もろ出しで他のお客さんに来られたら、幾らベールと手袋が有っても、恥ずかしいモノは恥ずかしいですし。


 何故、お醤油や佃煮が売っているのかも、全て納得しました。

 良いですね、ココ。




《おう、どうだった》

「ありがとうございます、素晴らしいホスピタリティの数々でした」


 勘違いはしなかったか、助かった。


《だよな、けどお節介して悪かった》

「いえ、無茶をしたのは事実ですし、ご心配はご尤もかと。と言うか、男性用も有るんですよね」


《おう》


 突っ込んでくれるなよ。


「だけ、ですか」

《いや、俺は食材だけで、軽く見ただけなんだよ》


 マジだ、信じてくれ。


「突っ込まないでおきます」

《おう、そうしてくれ》


 にしてもやっぱり、少し気まずいな。


「凄い夢中で拾ってますね」

《コレで2回目だからな》


「殺したい」

《あぁ、だよな本当》


 他とは違って、笑顔ってワケじゃないが。

 真剣に、夢中になって貝を選んでるんだ。


 俺も、何発か関係者を殴ってやりたい。


「何か、変化は」

《まだ大丈夫だ、自分には処理能力が無いと分かってるからな》


「それもそれで、どうなんでしょうか」

《落ち込みはしないだろ、強いから蟻とは競わないらしいしな》


「あぁ、寧ろ逆の事を心配すべきなんですよね」

《流石に手を汚して欲しくは無いからな、寧ろそこが、少し悩みどころだ》


 ヒナは簡単に殺せる。

 手を挙げただけで腕が吹き飛び、頭突きをすると、多分頭が吹き飛ぶ。


 強いなんてもんじゃない。


 手加減をしないと、意図せず簡単に、勝手に相手が死ぬ。

 ヒナは挑発するだけで、手を汚さないでも殺せるだろう。


「何か持って走って来るの、本当に可愛いですよね」

《あぁ、だな》


 俺が、簡単に殺せる力を持つべきなんだろうか。


『お買い物しましたか』

「はい、お陰様で、レシピと佃煮を買いました」


『凄く美味しいです、妙さんのお料理みたいにご飯が減ります』

「あ、では妙さんにも教えておきますね」

《あぁ、確かにな》


『はい、宜しくどうぞ』


 本当に、口コミの力って偉大だよな。

 向こうは空いてるらしいが、コッチはそこそこ居たワケで。


 本当、とんでもない商売上手が居るなと、驚かされたんだ。

 そうか、ココでも香水を置いて貰うのもアリか。


《よし、休憩しながら貝を吟味するか》

『はい』




 ネネさんとレンズと貝殻で遊んでいると、貝みたいな女の人と聖獣がお昼ご飯に来ました。


「あぁ、ご夫婦、ですかね」

『だと思います』

《見えないな、俺らと同じだとは》


『何故でしょう』


「どう、しましょうかね」

《俺は子供の無邪気さに賭けるな、聞いてみてこい》

『はい、行ってきます』


 沢山関わる方が良いと聞いたので、どうして姿が違うかを教えて貰う事にしました。


「あら、初めまして」

『いいえ、以前にお土産屋さんの方と一緒にお会いしました。私はヒナです、悪魔です』


 金の時計と指輪を見せましたが。

 信じて貰えるでしょうか。


「そうだったんですね、どうも、クラム・カノンです」

『髪の色と同じ苗字ですね、何故姿を変えましたか、秘密は守ります』


「あぁ、うーん」

『言わなくても構いません、私はあまり知識が無いので、情報収集の最中です』


「成程、悪魔さんでも分からない事が有るんですね」


『私は悪魔と混ざった人です、向こうでは関東に住んでいたと思われます。外に出た事が殆ど有りません、学校に行った事も無いです、暴力や暴言は有りませんでした』


「じゃあ、あの方達は」

『兄のレンズと伯母の様な存在の方です、知られたく無い事は聞きません、言いません』


「そうでしたか」

『外見は簡単に変えられます、ですが2人は変えていません、他の同郷の者もそうです。なので尋ねに来ました、それと髪色についてもです』


「あぁ、コレは彼から変化を頂いたからですよ」

『とても素敵だと思います、珍しいです』


「ありがとうございます。そう、そうですね、お兄さん達と先ずはご挨拶をしても宜しいですか」

『はい、呼んできます』


 年齢は分かりませんでしたが、妙さんの様にウ〇コが漏れた気配はそこまで有りませんでした。

 多分、大丈夫だと思います。


 ウ〇コを漏らさせる事は、私の本意では有りません。

 謝れてはいませんが、少しでもお世話が出来たので、償えたと思います。

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