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127 ヒナと本とジュリア。

《以来、獣の様な〇〇、と謗り言葉として使われる様になりました》


『ジュリアはどう思いますか』

《コレって、実は全員人種の可能性も有るなって思ったの》


『全員ですか』

《うん、異類婚姻譚って、全く違う風習の有る村から来た者とのお話かも知れないじゃない?ネネさんがココに来る、みたいな》


『はい』

《なら、何も知らない分からない場所で生きるには、誰かに頼るのが1番だった》


『でも密林に逃げ出しました』

《そこ、他の村で難しいから、更に他の村に行ったけど。違い過ぎて無理だと悟った、そこに自分とは違う容姿、金髪で色黒の男が現れた》


『虎ですね』

《武器も何も有りません、降伏しますよ、その意味で服を脱いだ》

《若しくは本当に虎で、食べ易い様にと服を脱いだ》


《そして櫛は試練、上手に使えたら合格、虎は暫く村に置き様子を伺う事にした》

《けど都会育ちに田舎暮らしは難しかった》


《そうそう、それも有る。そんな不慣れな生活に疲弊していたので、悪魔が助けた》

『何で家から出しませんか』

《悪魔が家を与えた、だから特別かも知れない》


《それか、もう既に他の虎がちょっかいをかけていたから守った》

《雄であれ雌であれな》


《そして手入れは新たな狩りの知恵だとか、実際の身嗜みを整えてあげていたのかも知れない》

《人種なら髭剃りだとか髪型、服装とかか》


《それに女性の扱い方についても、だから後に人種を真似る様になった、と書かれた》

《まぁ、俺としてはマジの異類婚姻譚だと思うけどな》


《まぁまぁ、で虎は調子に乗って放置した、だから更に他の村人が気に掛けてくれる様になった》

《そこは同意だな、利用するだけ利用して放置して、取られた》


《そして悪魔はこうなる事を知ってた、だから直ぐに仲裁に入った》

《虎と豹の喧嘩なら、必ずどちらかが怪我しそうだしな》


《そうそう、更に悪魔は虎と同等の知恵を授けた》

《虎は獣らしく、そして黒豹は人種らしく、その女に合う生き方で一緒に過ごした》


《そこも、虎の反論が通じないって表現は、言葉は話せても言葉が通じない相手って事にも思える》

《まぁ、実際に通じない相手は居るからな》


《それに、虎と呼ばれていたのは最初の小節だけ、後は獣と書かれてる。本当は、悪魔は分かってた、獣は獣でしか無いって》

《単なる書き分けかも知れないけど、まぁ、そうかもな》


《で、結局は合う合わない、虎は選ばれず黒豹は魔獣種として認められる様になった》

《ほらやっぱり異類婚姻譚だろ》


《置き換え、そこまで無理じゃないでしょうが》

《まぁな》


《それに、女がされた仕打ちって、向こうの既婚女性の愚痴に多いじゃない。家の事は構わず遊び回る旦那さん》

《あぁ、既婚者になった途端にモテる男、既婚者が良く見える女は多いからな》

『何故ですか』


《何で?》

《そりゃ虎と同じく、本来より有能で優秀に見える、しかも実力も有るなら狙った方が得だろ》


《慰謝料を払う価値が有る、って事?メッキなのに?》

《バカだから計算が出来無いか法律を知らない、若しくは直感だけで良さそうだ、とでも思ったか。殆どが失敗して大損するけどな》


《周りに居た?》

《おう、特に同業か、更に夜の方でな》


《あ、いや、後で聞く》

《おう、場合によっては答えてやる》


《意地悪》

《ガキ》


《はいはい、で悪魔の台詞、獣の本能のみを優先させた。コレが浮気をしたヤツに言う代名詞になった》

《魔獣でも人種でも、理性が有るなら相手の嫌がる事はするな、するヤツは獣並みの本能優先クソ馬鹿野郎だ》


《まぁ、そうね》


《で、どう思った》


『私も田舎暮らしをしてみたいと思います』

《成程な》


 そこに着地するか。




《で》

《はいはい、行った事が有るよ》


《何で?モテたんでしょ?》

《その方がややこしい、いざヤってみて相性が悪いのは勿論、それこそ体臭が合わないだとか化粧で化け過ぎてて無理だとか。本人に言うと明らかに傷付くだろう言葉を言う他に無くなる場合も有る、なら、勉強や練習の為にも店の方が良かった》


《何か、凄く、用意された言い訳に感じるんですけど》


《まぁ、考えてたからな》


 私も無理、ネネさんも絶対に嫌がるから。

 だから諦めたのかな。


《あ、相性って何?》

《言うヤツ其々なんだが。1つは自分が下手だと理解せず、相手が喜ばなかった言い訳にしてる場合が有る、それこそ思考停止のキーワードの場合が多い》


《成程》

《それに合わせて上手い下手が分かる、少なくとも素人じゃない、そう思わせたいが為に話題に出す事も有る》


《あー、知ったかぶりかぁ》

《若しくは商売にしているか、そうして利益を得た事が有るから誇示しているか》


《病気持ちかも、は、そう無いのか》

《俺も有るには有ったが、今よりは遥かに気楽に考えてた、コッチさえ気にしてれば大丈夫だろうって。コレばっかりは、性差が有るだろうけどな》


《で、相性って本当に有るの?》

《サイズ差に違いが有り過ぎたら、そりゃ相性は悪いだろ、それに体臭が臭く感じたらココでも良くないんだろ》


《だけ?》


《反応の仕方が合わない》


《何それ》

《獣の様な咆哮型や絶叫型、腹式呼吸式だとか、本当に無反応に近かったり色々と種類が有る》


《ぇえ》

《合わないとマジで無理だ、しかも国毎で違うらしいが、コッチはどうかまでは知らん》


《えぇぇぇ》

《縋るな、もうそこは、お互いに摺り合わせてくしか無いだろ》


《好きでもダメ?》

《俺に聞くか》


《うぅ、ごめん》


《そこはマジで良く話し合え、別に完璧じゃないと無理なワケじゃ無いんだ、ろ?》


《私はね、私は》

《まさか、種属別でも何か有るのか》


《いや、人種系統は大丈夫らしいけど。こう、本にも書かれて無い事って、色々と有るから》

《話し合え》


《でも、本じゃ、話し合って無いし》

《行間でだろバカ。まぁ確かに、話し合いもせず完璧に合ったら、相性が良い事になるかも知れないが。そう手間を惜しんで良いだ悪いだ言うより、ある程度は摺り合わせた方が良くないか?》


《前は?》


《仕事用だ、事前に探りを入れて相手の好みに合わせてた》


《私用は?》


《全部、仕事だと思ってた》


《次、いつかそうなったら、そうする?》


 ネネさんが、レンズに何でも言ったり聞いたりして良いって言ってたけど。

 それ、もしかして、ネネさんだけじゃ。


《相手による、が、やっぱり聞くかもな。きっと虎は何も聞かなかった、そら不満だって募るだろ》

《そして黒豹は言葉を使って尋ねた》


《けど、アレだからな、読める相手とした事が無いから分からん》

《えぇぇ》


《縋るな、崩れ落ちるな》

《だって不安なんだもーん》


《そう言え、話し合え》


《恥ずかしい》

《じゃあ悶々としてろ、ウ〇コしてくる》


《どっち?》

《マジの方、じゃあな》


 何か、知識だけ増えて不安が増しただけな気が。


『ジュリア』

《ひゃおぅ》


『僕に相談したくない?』

《あー、いやー》


『恥ずかしいのに、レンズには話すんだ』

《それは、ほら、ロミオに話すのが、恥ずかしいだけで》


『僕はジュリアの恥ずかしがってる顔も好きだよ』

《それも、恥ずかしいし、嫌われたくないなって、思って》


『僕が嫌うと思う?』

《もしかしたら、ちょっとは、かも、だし》


『レンズの言う通り、良く話し合おうね』

《ふぇい》


 全部聞いてたクセに。

 やっぱり意地悪だ。

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