表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

104/193

102 ウヴァルとグレモリー。

 白髪、金髪、黒髪。

 赤い目、金色の目、薄い緑色の目。


 三者三様の幼女様方と共に、お茶会をさせて頂いております。

 うん、可愛い。


「私、とてもとても助けて頂きましたの。ヒナ様のお陰で、お祖母様の素晴らしさを再認識させて頂きましたわ」

《ふふふ、私も、先日助けて頂きました》

「そうなんですか?」

『はい、ヴァイオレットはお祖母様が虹の国に行く事を決めました、アンバーには小児性愛者が迫っていたので追い払いました』


「まぁ、それはさぞ怖い思いをなさったのでは」

《いえいえ、過度な贈り物を贈られたり、常に構われたりと。その程度でしたから》

『自分が同学年だと思い込んでいました、送り返されました』

「あぁ、直ぐに戻せる様になったそうで。アンバーさん、悪夢などは見てはいませんか?」


《はい、お陰様で。ただヒナ様にお礼が浮かばず、申し訳無い限りです》

「私もですわ、ヒナ様は欲しい物は全てお持ちになっているからと、何も要らないと仰るんですもの」

『はい、必要なモノは全て揃っています』


 言いたい。


 でも、この愛らしい景色の中、本当に提案して良いのだろうか。

 知る事を恐れるようになったヒナちゃんに、普通の家庭なるモノを体験する提案をして、本当に良いのだろうか。


 いや、知りたいと言うまで今は待とう。

 今までが忙しなかっただけかも知れない。


 ヒナちゃんのペースが、やっと出来上がってきたのかも知れない。


「いつか、必要とする時が来る何かを持つ事になるかも知れません、それまで保留と言う事ではどうでしょうか」

『はい、お婿さん探しのお手伝いを頼むかも知れません』

「是非、協力させて頂きますわ」

《なら、兄達をオススメさせて下さい、兄達は凄く優しいんです》


「羨ましいですわ、私の所は姉ばかりなんですの」

《ふふふ、私もヴァイオレット様が羨ましいです、兄ばかりですから》

「なら私とレンズ、ジュリアさんやロミオさんが居て、ヒナちゃんはお得ですね」

『はい、両方居ます、ですが皆違って皆良いです』


「ふふふ、ですわね」

《そうですね、ふふふ》


 平和。


 もう、正直、知らないでも良いんじゃないかと思ってしまう。

 でも、あのウ〇コの事が有ったからこそ、知らないで済ます事が出来無いのも良く分かる。


 影を落とすと言うより、本当にウ〇コ、ウ◯コのウ◯コが落ちている。

 出来るなら、さっさと拾って消えて欲しい。




《お前が婿になるのかと思ってたんだが》


「使用人と主人ですよ、何を言ってるんですか」

《ダメなのか》


「ダメでは、無いですが」

《なら何がダメなんだ》


「ヒナ様には」

《相応しいって誰が決めるんだ、お前か》


「何を僕に八つ当たりしているんですか」

《八つ当たりも何も、それは流石に言い掛かりだぞ》


「では何がご不満なんですか」

《不満も何も、疑問に思った事を伝えただけだろ》


「ではご自分でしたら」

《使用人が居た事が無いから分からんが、何処の馬の骨かも分からない奴に譲るよりは、何倍も良い》


「ではご理解頂いてから、ご再考下さい」


《ならネネに尋ねるか》

「他の方を巻き込まないで下さい」


《いやアイツの家、使用人を使ってたかも知れないだろ》


「確かに使ってらっしゃったそうですが」

《なら聞いたって良いいだろ》


「勘違いされては困ります、それにそう、無理に方向付けられては困るんです」


《何でだよ、そんなに嫌か》


「ですから」

《ヒナに拒絶されるのが怖いか》


「では僕にどうしろと仰るんですか」

《議論の飛躍、否定、葛藤も何も無いならしない事じゃないのか》


 半ば冗談だったんだが、マジか。


「僕は人種が嫌いです」

《俺もバカは嫌いだ》


「出来るなら、最高の方と一緒になって頂きたいんです」


《例えば何だ》

「ヒナ様を1番に思える方です、そして味方となり、もし間違える様な事が有れば止める事の出来る方です」


《なら、悪魔は》

「72柱の方々は其々をご家族だと認識しております、それは72柱で無くとも、そう認識されていると伺っております」


《なら純粋なユニコーンでも良いのか?アレは結構》

「ヒナ様が好いたなら、僕はお仕えするだけです」


《で解雇されても良いのか》


「ヒナ様が、そう仰るなら従うまでです」


 弟の恋バナは嫌だったが。

 何だろうな、コレは寧ろ。


『揺らぎの波動を感じました、イジメましたか』


 ココまで気に入ってて、コレじゃないとか流石に無いだろう。


《少し意地悪しただけだ、悪かった》

「申し訳御座いません、少し動揺しましたが問題は有りませんよ」

『アズールにもあげます、コレでしっかり躾けて下さい』


「はい、ありがとうございます」

『では戻ります、仲良くして下さい』

《おう》


「はい」


 嘔吐剤。

 本当に、不味いからな。


《マジで使うなら言ってくれ、不意だと本気で吐く自信しか無い》

「レンズ様がしつこく何かをなさらなければ、僕は何も致しませんよ」


 鬼に金棒だなおい。


《はいはい》


 それににしても、勿体無いな。

 ヒナが失恋だ何だを味わう必要が無さそうな相手が、コレじゃな。


 いや、いっそアンバー嬢に男になって貰うのもアリか。


「あの」

《ん、何だ》


「アナタなら、どんな方が理想だと思われますか。僕は探しに出た事も有るのですが、納得が得られる方に出会う事が出来ませんでした」


《相手は幾つだ》

「似たご年齢の方を、5才から10才程度の方と接触させて頂きました」


《俺だったら、下の年齢だとギリギリ自意識が有ったかどうかなんだが》

「精霊種や魔獣種は、外見の年齢より中身が成長してらっしゃる方が多いので、そこは問題無いかと」


《人種の選択肢は無かったんだな》

「ヒナ様の寿命はほぼ決まっていません、失う経験は出来るだけ抑えるべきだと判断しました」


《なぁ、中身は大人、外見は》

「人種なら排除させて頂きます、成長した後に興味を無くされては困りますから」


《あぁ、年齢差を気にしてるのか》

「いえ全く、ヒナ様はいずれ更に成長なさいますし、そもそも僕とでは住む世界が違います」


《そうか?》

「僕に統治の事は全く分かりません、ですがヒナ様は女王になられるお方、使用人と女王では立場が違い過ぎます」


 なら、自分の身分を上げれば良いだけだと思うんだが。

 そこまで好いてはいないのか、本気で思い至らないのか。


《つまり、同志で有る事も重要だと思ってるんだな》

「はい」


 そもそも、本当にそこは重要なんだろうか。

 もし仮にヒナがほぼ万能なら、寧ろ能力は度外視になる筈。


 ただ愛せる者だけを愛し、愛されるだけ、じゃダメなのか悪魔は。


《少し出掛けてくる》

「はい、行ってらっしゃいませ」


 悪魔の問題は悪魔に、だろ。




《分かりますよ、私達に尋ねに来られた理由も経緯も》

《そうして愛を知る為に、アナタは私達を敢えて指名なさった》


《ですがグレモリー、彼は自身の事では無さそうです》

《そうですね、ですが良いでしょう、彼もまた悪魔の家族なのですから》


 東欧美人とでも言うんだろうか。

 黒髪に焼けた肌、金色の瞳の美女が艶めかしい民族衣装に身を包んでいる。


 確か、サリー、だったか。


 ウヴァルは学園の教師、グレモリーは監督所の指導員だった筈。

 しかもウヴァルについては、先生らしい先生だとヒナから聞いていたんだが。


《随分と、聞いた印象と違うんだが》


《今は私用、今日はグレモリーに私の装いに付き合って頂いております》

《ウヴァルに性別は有りません、好きな時に好きな性別になれるのです》


《便利ですね》


《ふふふ》

《アナタこそ聞き及ぶ態度とは随分と違うご様子、さ、気を楽になさって下さい。我々はもう、家族なのですから》


《なら、いつも通りにさせて貰うが、俺に名が付いたから家族なのか》


《ふふふ、そうですよ》

《名すら与えられぬ雑魚はそこら中に居ます、ですが結局は自称に過ぎない、他者が認めてこそ名となるのです》


《雑魚か》


《ご安心下さい、いずれ悪魔が認める事は寧ろ決定事項でした》

《アナタが要求しなかったからこそ、与えられた素晴らしい名、役目から個へと移行した証》


《俺に個を与える意味は何なんだ》


《ふふふ》

《繁殖する権利を与えられた、番う事を定められた、と言っても差し支えないかと》


《困るんだが》


《あらあら、妖精種を誂っていたとは思えない自信の無さですね》

《アナタは見本、手本となるべく選ばれた存在、アナタが望まぬ道だろうと有るべき道が存在している》


 だとしても、今の俺にはもう望めない。


《分かってるだろう》


《勿論》

《けれど、それは既に封印されている、アナタは新しく出会う事になる》


《違う、俺の事じゃ》

《アナタの思う通りです》

《悪魔は愛し愛されれば良い》


《それだけです》

《もう、全てが揃っているのですから》


 ヒナには、確かにアズールで良い。

 だが、俺には。


《そろそろ、お帰りになった方が宜しいかと》

《アナタの宝がアナタを必要としている》


《では、さようなら》

《またいつか、お会いする時が来るかも知れませんね》

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ