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伝説の仲裁人

まだ言い足りないとばかりに日向に敵意を向ける唯


そんな唯を引き止める俺を見て日向があきれ顔を浮かべて言い放った。


「何よ、二人とも、下の名前で呼び合っちゃって


あなたたちもそういう関係じゃない、人のこと言えるの?」


「俺と唯はそんな関係じゃない」


「どう見てもそうにしか見えないけれど?


自分だって裏でコソコソとやることやっているじゃない、私だけを責めないでよ」


すると唯の表情が再び怒りに満ち、日向に詰め寄ろうとした


俺は必死で唯の両腕を掴み引き止める、そうして止めなければ殴りかかるほどの勢いであった。


「アンタね、駿介は私に〈彼女を紹介するから〉って私に言ってきたのよ


〈将来日向と幸せな家庭を持つことが夢だ〉とか


しまりのない馬鹿面でノロケ話をしてきたこともあるわ


そんな駿介の思いを踏み躙って……何とも思わないの、アンタは⁉︎」


日向は再び戸惑う仕草を見せるが視線を逸らし反論してきた。


「そ、そんなの、そっちが勝手に言っているだけじゃない、私が望んだ訳じゃないわ」


「何よ、それ……アンタ何様のつもりよ‼︎」


「別に私と駿介は結婚しているわけでも婚約しているわけでもないのだから


不貞行為扱いされては堪らないわ、自分が幸せになるために


最良の相手を探すことは悪い事じゃないでしょう?」


「何よ、それ⁉︎自分にはそれだけの価値があるとでも言いたいわけ?


どれだけお高くとまっているのよ⁉︎」


「別にそんなつもりはないけれど、自分の価値を高め磨くことは悪い事じゃないわ


最良の相手を求めるにはこちらもそれなりのステータスが必要じゃない


こう言っては何だけれど私は青山田学院大学を優秀な成績で卒業して準ミスもとったことがあるわ」


「はあ?何よ、それ、自慢?そんなくだらない見栄に


どれほどの価値があるっていうのよ、ちっぽけなプライドね⁉」


「さっきから随分と偉そうな事を言ってくれるけれど、あなたはどうなのよ?


駿介が連れてきたのかは知らないけれど、ここはビジネスを行う会社で遊び場ではないのよ


そんな所にノコノコとついて来て、どういうつもり?


そんな社会常識もわきまえていない子供が、なにを言っているのよ‼」


「へえ〜社会常識をわきまえた大人はこんな所でキスしているのですか?


それが常識だとは知りませんでした、青山田学院ではそういう教えを受けていたのですね?」


「うぐっ、何よ、偉そうに、あなた見たところ学生みたいだけれど


どこの大学よ、それとも高卒?」


「東京大学の法学部ですけど」


「うぐっ、ちょっといい大学に入っているからって自惚れないでよ‼」


「いや、アンタが聞いたから答えただけで、それで自惚れているとか、頭大丈夫?


自分を磨くと言うのなら少しは頭も鍛えたら?


そんなのじゃ自慢のステータスもたかが知れているわね」


「馬鹿にしないでよ、青山田学院のミスコンだってみんながそれなりに努力した中で勝ち取った結果よ


それだって立派なステータスじゃない、何も取ったことがない人が偉そうに言わないでよ‼︎」


「私【国民的美少女コンテスト】で優勝しましたけれど、そんなのでいいのですか?」


その時、相手側の男が唯を指差して叫んだ。


「そうか、この子どこかで見たことあると思ったら、モデルの加納唯だ‼


【佐山製鉄】や【佐山薬品】のイメージポスターをやっている」


「な、何よ、そんなので勝ったつもり?ちょっと頭が良くて可愛いからって……」


すると再び唯が激しい勢いで日向に詰め寄ろうとした。


「そんなの関係ないって言っているでしょ‼︎学歴だとかミスコンだとか


そんなのより大切なものがあるって言っているのよ‼︎


そんなモノいくらあったって大好きな相手に振り向いてもらえるわけじゃないのよ、アンタはそれを……」


必死の形相で訴えかける唯を見て、日向は少し嘲るような口調で言葉を返した。


「何よ、あなた駿介が好きなの?」


「だったらどうなのよ⁉︎」


「じゃあ、あげるわよ、どうぞ」


その瞬間、唯は猛然と日向に殴りかかろうとしたのだ


俺は必死で引き止めるが、うっすらと目に涙を浮かべ俺の腕の中でもがくように暴れる唯


小柄な体のどこにこんな力があるのか?と思うほど、すごい力で俺の腕から逃れようとしていた


その気持ちが痛いほどこちらに伝わってきて、嬉しくもあったが


とてつもなく惨めな気分になった、あまりの情けなさに消えたいような気持ちになる。


そんな時、扉が開いて一人の老人が入って来た。


「遅いと思って来てみれば、何やらえらい騒ぎになっておるの」


小柄で白髪、七十歳前後と思える謎の男性がゆっくりと部屋の中へと入ってきたのだ


殺伐とした雰囲気の中で一瞬空気が止まったかのような不思議な錯覚を覚える、その瞬間唯が叫んだ。


「おじいちゃん⁉︎」


この老人が唯のお爺さんか、でもなぜここに唯のおじいさんが?


それにこの人どこかで見たような……


「どうして来たのよ、外で待っていてと言ったじゃない‼︎」


「いや、あまりに遅いから心配になっての


それにしても大声張り上げて一体何があったと言うのじゃ?」


「別におじいちゃんには関係ないわよ」


「関係ないと言うが、さっきまでもの凄い怒鳴り声が……」


しばらく二人の会話を聞いていた日向がその話を遮るように口を挟んだ。


「いい加減にしなさいよ、ここは学芸会の発表の場じゃないのよ‼


部外者のくせに身内とか連れてきてどういうつもりよ‼︎」


老人は思わず日向を見て不思議そうな顔を浮かべた。


「ワシが来てはダメだったかの?」


「当然でしょう、あなたもいい歳をした大人なのですから常識というものをわきまえてください


いくら孫に誘われたからってここは会社ですよ、公園でも遊園地でもないのです


関係者以外はさっさと出て行ってください‼︎」


小柄な老人に向かって声を荒げ苛立ち交じりの言葉をぶつける日向


唯に言われた事が余程腹に据えかねたのだろう


見たこともない怒りの表情を浮かべ老人に怒鳴りつけた。


その時気が付いたのだが、いつの間にか部屋の外には人だかりができていた


これだけの大騒ぎになっていたならば当然だろう


しかも先ほどまで【企業コンペ】をしていたプレゼンター二人を挟んで


美女二人が大声で罵り合っていたのである。


にわかに周りがざわつき始めどんどん人が集まってくる


そして人混みをかき分けるように一人の男性が入ってきた。


「一体、何の騒ぎだ‼︎」


声を張り上げて入ってきたのは【猪端常務】つまり日向の親父さんである


おそらく〈娘さんが何やら騒ぎをおこしていますよ〉とでも聞いて慌てて駆けつけて来たのだろう


もはや絶体絶命、最悪の事態といえた。俺はこれで彼女に振られた挙句


コンペの負けも確定したようなモノである、もう何もかも……


この状況をつかめない猪端常務はいら立ち交じりに娘である日向に問いかけた。


「一体、何があったのだ、日向、説明しろ⁉︎」


「パパ……じゃなくて常務、いえ部外者が二人も無断で入ってきた挙句


色々と私に難癖を付けてきて……」


「部外者だと?いったいどこのどいつが……」


猪端常務がその老人に視線を向けた時、急に顔から血の気が引き顔面蒼白のまま直立したのである。


「こ、これは佐山会長、ど、どうしてこちらに?


今日来られるとはうかがっておりませんでしたが⁉︎」


そうだ、どこかで見たことがあると思ったが、この背の低い白髪の老人は


佐山源次郎、【佐山グループ】の創設者にして総帥


未だに海外を飛び回り自ら最前線で陣頭指揮を取る絶対君主である。


ビジネスに関してはドライで非情、常に先進的で斬新な手法を取り入れ


裸一貫からのし上がってきた伝説の経営者であり


〈カミソリ源次郎〉と呼ばれた経済界の風雲児である


まさか唯のおじいさんが佐山源次郎だったとは⁉︎


予想もしていない事態に誰もが息をのんだ。


頑張って毎日投稿する予定です。少しでも〈面白い〉〈続きが読みたい〉と思ってくれたならブックマーク登録と本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると嬉しいです、ものすごく励みになります、よろしくお願いします。

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