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プライドvs感情

俺は自分の心を確かめる様に頭の中で繰り返す、俺の恋人は日向なのだ


そう、何度でもいう、俺が好きなのは日向だ、唯じゃない‼


心の中でそんなことをさけびながらももう一人の冷静な俺がささやいた


でも俺、今、凄く嬉しかったぞ?どういう事だ、何がどうなって……


「どうしたのよ駿介、急に黙りこくっちゃって?


そうだ、今回のプレゼン成功を祝ってどこか食事にでも行かない?


何なら私がおごっちゃうわよ、どう?」


唯が嬉しそうに話し掛けてくる。


そうだ、これを機会にハッキリさせておこう、俺の彼女は日向だ


そして俺の好きな女も日向だという事を。


「悪い唯、俺この後彼女と食事にいく予定だから」


「ふ〜ん、そう……」


唯は目を逸らしながらそっけなくそう言った。


よし、ここで立場をハッキリと示しておくか。


「そうだ、いい機会だから唯にも俺の彼女を紹介するよ」


「別に、いいわよ、そんなの……」


「そんなこと言うな、いいだろう?俺は自慢の彼女をお前に見せつけたいのだ、付き合えよ」


「駿介の彼女ってあの進行役を務めていた女でしょ?」


「ああ、そうだ、なかなか美人だろ?」


「別に、そんなたいした事ないわよ。強いていえば同性には嫌われるタイプかしらね」


〈強いていえば〉の引用法が間違っているな、それに何だ、(あんな女より自分の方が上)


みたいなその変なプライドは?


その立ち位置だけはもう立派な大女優だな、おい⁉︎


それに偉そうに〈同性には嫌われるタイプ〉とか言っているが


そもそもお前は友達いないじゃないか⁉︎女って本当に面倒臭い。


「いいから来い、紹介するから」


俺は唯の手を掴みやや強引に連れ出した。


「ちょっと、私会いたいなんて一言も言ってないわよ‼︎」


あまり乗り気じゃない唯を引っ張る様に部屋の外に連れ出す


口では(彼女を紹介したくて堪らない)という感じで説明したが


もちろんこれは本心ではない、唯と日向を会わせても


日向に余計な疑惑と不安を与えるだけだという事もわかっているが


俺自身がハッキリさせておきたい、それだけだった。


だが肝心の日向がどこにいるのかわからない、メールを送っても返事は来ないし


会社的には業務時間内だから電話もしづらい、向こうの会社の人間に聞くのが手っ取り早いのだが。


〈猪端日向さんと面会したいのですが〉と言ったところで〈どのようなご用件でしょうか?〉


と返されるのがオチである。その場合、正直に〈いや〜実はこの子に俺の彼女を紹介したくって〉


などと言ったらただの馬鹿である。下手すれば出入り禁止だ。


俺と唯は宛てもなく社内をさまよい歩いていると


ある部屋の中から小さな話し声が漏れ聞こえてきた。


「ちょっと、やめてよ、こんな所で……」


「いいじゃないか、こんな所だから燃えるのだろう?」


「誰か来たらどうするのよ?」


「この時間、こんな所に誰も来ないさ、それに〈誰か来るかも?〉


という状況が最高に燃えるじゃないか」


「ちょっと、やめ……」


そんな会話が耳に入ってきて思わずニヤつく唯。


「あらら、イケナイ場面に出くわしてしまったようね、これがオフィスラブとかいうやつ?」


興味津々で耳を傾けている唯だったが、俺はその声に聞き覚えがあった


まさか……そんな事はない、でも……


俺は反射的にその部屋のドアノブに手をかけた。


「ちょっと、何をする気なの?止めなさいよ駿介‼︎」


唯の制止も聞かずに俺が勢いよく扉を開けると、そこにはキスをしている男女が立っていた


そしてその女性は、紛れもなく猪端日向、俺の彼女だった。


「おい、日向、これは一体……」


「駿介⁉︎……どうしてここに?」


向こうも驚いている様子だった、それも当然だろう


これ以上ない決定的な浮気現場を見られてしまったのだから


しかも最悪な事にその浮気相手というのが俺とコンペを争った相手側のプレゼンターだったのである。


もう何が何だかわからない、頭が真っ白で何も考えられない


これは夢か?夢なら覚めてくれ、嘘だと言ってくれよ、日向……


日向は慌てて何かを言いかけたがそれを諦め両目を閉じた後、ふう〜と大きく息を吐いた。


「もうこんな場面を見られたら、どんな言い訳をしても無駄のようね


そうよ、私今、この人と付き合っているの」


日向は開き直ったかの様に言い放った。あまりに衝撃的な告白に頭の中がパニックになる


何を言っている?意味がわからない、何だよこれ……


「付き合っているって……どういう事だよ⁉︎お前は俺と……」


「そういうわけだから……ごめんなさい」


「そういうわけって、どういうわけだよ?わけわかんないぞ、ちゃんと説明して……」


「この状況で説明の必要ある?ごめん駿介、私とはもう……」


そう言って俺から視線を逸らし、そそくさと立ち去ろうとした日向


俺は呆然と立ち尽くしてしまい動くことができないでいた、そんな時である。


「待ちなさいよ‼︎」


甲高い声が部屋の中に響く、その声は唯のものだった。


「黙って聞いていれば、何を言っているのよ、アンタ‼︎」


突然の事に驚いた表情で唯を見つめる日向だったが、激しく敵意を向け


自分を睨みつける唯を見て何かを感じたのだろう、思わず言い返す。


「誰よ、あなた?関係ない人は黙っていて」


「黙っていられないから口を挟んでいるのよ、アンタ駿介を、


人の心を何だと思っているのよ⁉︎」


「人の心って……あなたみたいな子供にはわからないわよ」


「アンタがやっている事が人として最低な事だというのは子供でもわかるわよ‼︎


アンタなんか恋人がいるのにところ構わず発情するような雌豚じゃない


子供がどうとかじゃないわ、人間として最低だと言っているのよ‼︎」


「なんで見ず知らずのあなたにそこまで言われなければいけないのよ


関係ない人は黙っていなさいよ‼︎」


「黙っていられないから口を挟んでいるってさっきから言っているじゃないのよ


記憶力も学習能力もないの?さすがさかりのついた雌豚は


いやらしい事以外は記憶に残らないみたいね‼︎」


「何なのよあなた、さっきから言いたい放題、大体あなた完全な部外者じゃない


どうしてこの会社にいるのよ、不法侵入で訴えるわよ‼︎」


「やってみなさいよ、裁判で起訴されるまでまだ時間はあるようね


それまでアンタのその腐れメス豚ぶりをトコトン話し合いましょうか?」


「だったら名誉毀損もつけてあげるわ、謝るなら今のうちよ」


「はあ?誰がアンタみたいなヤリマンエロ女に頭を下げるとか……」


二人の激しい口論の声が嫌でも耳から入ってくるが


俺は目の前で起こっている光景が現実のものとして受け止められない


何だよ、これは……日向と唯が激しく罵り合っている


正直今は混乱していて頭が正常に回っていない、立っていられないほどの不快感


完全に頭に血が上ってしまって激高している唯と


それに真っ向から立ち向かい激しく言い返す日向、日向にもこんな一面があったのか……


唯がこれほどまでに怒っているのは間違いなく俺の為だろう


だが唯が怒りに任せて日向を罵れば罵るほど俺は惨めになっていく


やめろ、もう止めてくれ、これ以上俺を惨めにさせないでくれ……


「大体アンタみたいな‼︎……」


唯がそう言いかけた時、俺は思わずその腕を掴んだ。


「もういい、止めろ、唯」


「だって駿介、この女は……」


「頼むから止めてくれ、お願いだ、唯……」


「駿介……」


そんな俺たちのやりとりを見ていた日向は一瞬戸惑っていたが


次の瞬間、呆れたような口調で語り始めたのである。


頑張って毎日投稿する予定です。少しでも〈面白い〉〈続きが読みたい〉と思ってくれたならブックマーク登録と本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると嬉しいです、ものすごく励みになります、よろしくお願いします。

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