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錬金術士ククルと妖精の国  作者: ラーメンカレーセット
始まり
11/121

ククル1-6

 懐かしい夢を見た。

 ララさん元気にしてるかな。

 ていうか続き見たいな。もう少しだけ寝ようかな。どうしようかな。

 う~んと唸っていると前方から怒号が飛んできた。

「ククルさん!起きなさい!授業中ですよ!」

 ううっ、その授業が嫌なんだって。

 だが、これ以上怒られるわけにはいかない。

 昨日だって、帰ってそうそう母さんに怒られたばかりだ。


「あんた、学校サボってどこ行ってたの!」


 うう、よみがえる嫌な記憶。

 クスクスと周辺で笑い声も聞こえる。

 最悪だ。ナーバスだ。

「すみません」

 むくりと起き上がる。

 周囲の視線は自分に集まっていた。

 ハァ~と小さくため息をつく。

 肩肘ついて窓から外を眺める。

 今日も歴史の授業だ。

「では、授業を続けます」

 

 4月だっていうのに、教室は蒸し暑くなっていた。

 それなのに小鳥は春を告げるように鳴く。

 そういえば、サラは大丈夫だろうか。

 一応、コリウスを向かわせたから大丈夫だとは思うが心配だ。

 ため息は止まらない。

 一刻も早く帰って錬金術をやりたい。

 こんな授業、本当に必要なのか。

 毎日似たような内容を繰り返し、その理解度を推し量るテストをする。

 それが将来役に立つ。そう言われても私には理解できない。

 だって、私には錬金術が。それが私の将来に必要なのだ。

 学校では教わらない廃れた技。

 それが私の必要なもの。

 なのに、なのに授業。ハァ、めんどくさい。

 それを察したのか否か、先生は私を睨みつけていた。


「ククルさん?話、聞いていましたか?」

 もちろん聞いてない。

「はい、聞いてました」

 もちろん嘘だ。

「では、500年前に起こった戦争の名前、言えますか?」

「えっと…」

 確か記憶では500年前に魔物が初めて現れた。

 魔物は異界と通じている“ゲート”と呼ばれる門からなだれ込んできて、様々な人間を殺戮していった。

 そこからは人間と魔物の戦争だ。

 魔物の拡大を防ぐ戦争。

 人類の存亡をかけた戦争。

 当時は世界人口の3割を失ったらしい。

 逆に3割で抑えられたともいえる。

 それを決定づけた戦争。

 その名前が思い出せなかった。

「第一次ゲヌス防衛戦です、ククルさん」

「それだ!そのダサい名前!」

 第一次でゲート周辺を確保して、第二次でゲートを完全に閉じることに成功した戦争。

 そして第三次と続くが、結局残党狩りで終わる戦争。


「ククルさん、あなたという人は…」

 またクスクスと笑いが起こる。

 それに恥ずかしくなって、そっと席に座った。

 ハァ、本当に今日は憂鬱だ。

 また肩肘をつく。

 今度は黒板を見る。

 せめて、真面目に受けるフリはしようと決めたのだった。


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