プロローグ その1
むかしむかし、あるところにストゥルトゥスという国がありました。
王様の名前はフール。フール王は錬金術が大好きでした。
錬金術とはある物を別の物に作り変える力です。
例えば鍋に石と木を入れてかき混ぜると不思議なことに斧ができるのが錬金術というものです。
そんな錬金術が大好きなフール王でしたが、彼は錬金術をすることはできませんでした。
錬金術は才能ある人間にしか使えない力だったのです。
フール王は毎日悩みました。
「どうしたら錬金術が使えるようになるのだろう。」それが彼の口癖です。
しかし、ある時フール王は思いつきました。
「そうだ、世界中から錬金術士を集めよう」
フール王の考えたこと。それは世界中の錬金術士を集めて、誰でも錬金術を扱えるようになる道具を作らせることでした。
フール王は宣言します。
「誰でも錬金術を使えるようになる道具を作れ。完成させた者には褒美を授けよう」
初めは誰もストゥルトゥスには来ませんでした。
フール王が嘘をついていると思ったからです。
それがわかったフール王は一人の錬金術士を呼びました。
その錬金術士は貧乏でまだ未熟でした。
フール王は言います。
「貴殿にアトリエと食事を授けよう」
続けてフール王は宣言しました。
「世界中の錬金術士よ、私は君達を支援しよう。ただし、必ず錬金術を使えるようになる道具を作り出すのだ」
その宣言からストゥルトゥスには世界中から一人、また一人と錬金術士が集まるようになりました。
そうして少しずつ錬金術士が集まっていき、1年後にはたくさんの錬金術士で溢れていました。
ある日からストゥルトゥスはこう呼ばれるようになりました。
「錬金術の国」ストゥルトゥスと。