(4) 選択肢のいいえは無限ループの始まり
4話ー_φ( ̄ー ̄ )
ゆっくり降りて……降りて…こない
止まった?
こそっ…
魔王さまっそろそろ吊り下げるのも限界で…
ええい!あと少しなのだ耐えろっ!
んーーーぁ……
ごしゃっ…!
……落ちた
「いたたた…もう少し耐えよ…」
黒いローブの下で何かがもぞもぞと
うごめきながら文句を言っていた。
と暗くて見えづらいが玉座にの上から
誰かが飛び降りてきた。
「だから普通に待ち構えていた方が
いいって言ったじゃないですかー」
「なっ!おぬしも賛成したではないかっ!」
「だってどうせ聞く耳持たないんですから…」
ローブの下からは深紅の髪をして黒のゴスロリの
様なドレスを着た幼女がもぞもぞと這い出てきた。
髪より違和感を感じたのは、両耳の上辺りから
生えている子供の手くらいの大きさの黒い角だ。
作り物かな?と興味津々に見下ろしていると
見上げる幼女と目が合った。
「「 あ 」」
いそいそとローブを振り払って玉座によじ登った。
さっきロープを引っ張っていた女の子が
スッと背もたれとの間にクッションを置くと
ぽふんと勢いよく持たれてふんぞり返っていた。
「よくぞ召喚に応じてくれた!!」
片手を突き出してカッコ良く決めたつもりだ!
そして初めからやり直すと決めた様だ。
「そして同胞を危機から救ってくれたこと感謝しておる!
その働きに報いそなたを我が軍に迎え入れようと思う!」
ばばーん!という勢いでドヤ顔で話してるけど
多分昨日のゲームのことかな?
「あ、そういうのはいいんで帰して貰えますか?」
「なんでじゃ!!何故即答で断るっ!!
あ、えーといまなら幹部も少なくて配下を
作れば作るほど上納金が…」
「どこのネズミ講だよっ!
そういうのいいので早く帰してくれよ!」
まさか断れると思ってなかったのかおろおろと
手がわたわた動いて何か無いか何か無いかと
あわてて考えている様だ。
「あ、あれじゃろ?その歳ならおなごなどどうじゃ?
この今、側付きをしてい「いやです」
「断られてますよ?断りますけど。」
こちらの言葉にぴくっとしたものの女の子は…
あれ?クラスの橘花…?なんか雰囲気が違うというか
耳の横に黒い羽根みたいなのが付いている。
「唐突に差し出されても知りませんよ、そんな事」
「バカかおぬしはっ!とりあえず引き入れてしまえば
後は誤魔化して知らぬ存ぜぬでいいでは無いかっ!」
玉座でなにかコントが繰り広げられそうだなぁと
ぼんやり眺めてたらもふもふの何かが腕に当たる
感触があった。
そういや一緒にワンコが落ちて来たっけ?
「ってだれ?」
振り返ると犬耳の生えて手足に白いもふもふの毛が
生えてる兵士のような革鎧を纏った女の子が腕に
しがみついていた。
「昨日は助けてくれてありがとーでした!
周りにいっぱい人間がいてやられちゃうところでした!」
あとメロンパン美味しかったです!!」
元気に話して来た女の子は頭を腕にすりすりとしながら
話して来た。
「え?もしかしてさっきのわんこ?」
「一応オオカミですけどわんこでいいですよ?
おそばに置いてもらえるなら」
えへへーと少し垂れた目を細めながら可愛いらしく
飼ってね?ととんでもない宣言して来た。
「マンションなんだから飼えないぞ?
その姿は以ての外だしな」
これ以上面倒な事になってたまるか
絶対拒否だと思ったのだが
「えーーーでもでも自分の食べた物を分け与えるのは
親のやる事なんですよ?
ちゃんと責任とってくれないとー」
「そんなことし…したな…カリカリの誘惑が…」
「ほらーしたじゃないですかー」
絶対に離さないと言わんばかりにしっぽをぶんぶん
振りながらさらに力を入れて腕にしがみついてきた。
そういや助けたって言ってたからあの時の狼のアイコンが
コイツなのか…いまスキル使ってないよね?痛い…
「なんじゃ?主従契約しとったのか、なら決まりだな。
マーナガラムおぬしはソイツの指揮下に入れ…
そうだな参謀とでもしておくか」
「いやいや、勝手に進めるなよ。
契約なんて知らなかったからノーカンだろ!」
とふと軽くなった腕を見ると悲壮な顔をした犬耳娘が
短剣を取り出して耳を切り落とそうと自分の片耳を
掴んでいた…
「そうですよね…気持ち悪いですよね…
せめて耳を切って手足も毛を刈ってしまえば
人間に近づけますかね……」
「うわぁ!やめろやめろ!わかったから!
飼うからなんとかするからっ!!」
少し刃があたって血が出そうになってる手を止めて
「ほんと?ほんとにご主人様になってくれる…?」
「あ、ああっ!わかったから止めろ!
耳を落とさなくていい!短剣を離してっ!」
カラン…と短剣を落として頭から胸に突っ込んできた!
「ごふっ!」
「ありがとうっ!!ご主人様っ!!!!」
意識の遠ざかる中で溜息をついている橘花と
ニヤニヤしている幼女が見えた気がした…