(2) 真の委員長は何か悩んでるけどもふもふのワンコに意識を上書きされた
2話目です。
とりあえず悪友からは連絡来てないってことは
クラス板に書くのは控えてくれてるのかな…
あの橘花さん絡みだし…
でもアレだよなー月曜日に登校したら黒板に
何か書いてるとか…昭和かっ!ないわー
と微妙に耳を赤くしながらセルフツッコミしつつ
家の近くにある駅ナカの書店へ。
まぁ先週も来たし大したものは…と新刊コーナーを
通り過ぎるとふと見たことある顔とすれ違った。
「ん……?」
「なんで攻め…あり得ない…退…それ…」
橘花さんの代わりに成績優秀、黒髪ショートの
メガネ付で委員長に推薦された鶴崎さんが
顔に陰を落としながらぶつぶつと店を出て行った。
「なんだろ…心ここにあらずって感じだけど…」
そして大した成果も得られず書店を後にした俺は
甘い匂いに釣られて移動販売のメロンパンを買いに並んでいた。
たまにはお土産でも買って帰るか…とぼんやり考え事した
視界の隅に何かぼんやり光る白い物体がいた気がした…
気のせいだよな…気のせい…
5分ほど並んで自分の分と自分の分と家族の分を
買ってすぐに帰り…
…つかなかった!
買った途端に路地から白い塊が飛び出して来て
前に立ち塞がった!
「…ハスキーっぽいけどなんか違うか?
精悍より優しげな顔してるなおまえ」
そして白いもふもふの犬が腕を嗅いだかと思えば
まとわり付いてきた。
「こんなにわんこに懐かれた事ないんだけどなー?」
へっへっへっとワンコはご機嫌そうに尻尾を振ってる。
もふもふのアタマを撫でつつ体のホコリを払って
「どっかで暴れてきたのか?
かわいいなーおまえ、ご主人はいないのか?」
と聞くと目をキラキラさせながら何か言いたそうに
口を開いたがきゅるるる〜と可愛い音がお腹から
鳴りひびいた…
ワンコは恥ずかししそうにしゃがみ込んだ。
「なんだよ腹が減ってるから絡んできたのかよ…
仕方ないな…メロンパンしかないぞ?」
と言うと嬉しそうに
「わんっ!」
と一吠してしっぽをこれでもかと振りながら
待機の姿勢になった。
まだ焼きたてのかりかりなのにな…と
ひと口かりかり部分を楽しんだ後、
食べやすいサイズに割いてあげてみた。
「美味しそうに食べてるけどホントはダメなんだからな?
分かってるのか?」
がつがつと一気に食べて口元にカケラをつけて
へらへらしたワンコを撫で回した。
「じゃあご主人様に宜しくな?ちゃんと帰れよ」
きゅううん……と鳴いて駆け出したと思ったら
一瞬振り返って走って行った。
一瞬、礼したと思ったけど見間違いだよな。
またもふもふさせろよー
家のマンションまでたどり着くと思いがけない
人物に遭遇した…
「なんでいるんだよ…」
「あなたが何も言わせずに走って帰るからじゃない!」
何故か腕を組んで仁王立ちの橘花美桜は怒っていた…
「あー……いや、そうだな、ゲームのやり方に
文句つけられてクリアされたんじゃイラッとするわな…」
「なんでそうなるのよ、そこじゃないわよ!」
「じゃあなんだよ、わざわざウチまで来て」
「お、お礼くらい言わせなさいよね…ありがと…」
「お、おぅ…」
「週末明けにクラスでお礼言ったら今よりおかしな事に
なるでしょう?」
「あー…確かにな……って今より?」
「…何人かに話してフォローしたのよ」
…だから誰も騒いでないのか
「やっぱ頭いいな、橘花さんは」
「それよりっ!ああいうのは得意なの?」
思い出したように慌てて橘花さんが聞いてきた。
「ああいうの?」
「戦そ…ゲームのことよっ!」
「ああ、そこまで得意では無いけど、
それなりに色々やってきたかな?」
「…あのね…教えて欲しいんだけど…」
「へ?何を?やってきたゲームとか?」
「違うのっ!戦い方っ!!」
意を決したように叫ばれた…
でもウチの前で物騒な事言わないで欲しいんですが…
あ、何でもないので上から覗き込まないでくださいねー
「うん、いいけど…家の前で叫ばれるのは困るかな…」
「あっ!ごめんなさい…」
恥ずかしそうに縮こまったのは可愛いけども…
「じゃあ明日、朝迎えに行くからっ!」
「分かった、明日ね」
こくこくっと赤くなった顔を縦にふりふりして
逃げて行った…
「あ、部屋番号言ってないや」
と走って曲がった路地を追いかけるとすでに消えていた。
慌てていたとはいえ、どこに迎えに来るつもりなんだろうか…
まぁ起きてごはん食べたら下に降りてこようか……
書く量がまだ整理付いてないので多かったり少なかったりするかもです_φ( ̄ー ̄ )