第1話 西暦2058年夏
西暦2058年 8月10日
このような事態に陥ってからから20日くらいたった、「暑いとにかく暑い・・・。」僅かにつぶやくだけで喋る気力もなくなったようだ。
もう水もない食料もないこの状態を呪う元気もなく視線を少しだけ窓の外の風景にやった後、静かに目を閉じた。
かすかに何かの残響のようなものが彼女の耳に響いたが彼女はそのまま眠りに落ちた。
「暑っちー!」甲板に立つ西宮の隣で松尾が叫ぶ、うるさいと思いつつも無視すると
「おまえもそう思わねえか?」と即座に同意を求めてくる。
「昔よりマシだ」冷たく一言で返す。
今年も平年並みの夏が来たがそれでも父が生まれた頃、つまり平成が始まって十年くらいした頃よりずっと涼しくなったらしい。
これも人々が温暖化対策に勤しんだおかげ・・・と言えば聞こえはよいが早い話ガソリンや石炭といった化石燃料がとある原因で全く使えなくなったのだ。
事の始まりは今から44年前小型の隕石が地球に落ちてきた、サイズが小さかった事もあり地表に衝突することもなく高度30000メートル付近で燃え尽きた。
当時はそれなりに騒ぎになったらしいが2週間ほどで収まった、しかしその1ヶ月後中東付近の油田で不可思議ことが起こり始めた。
まず原油が凝固し変質し始めたという話だった、同じような報告はやがて世界中から出るようになり、また石炭も同じ頃から地下で液状化してしまって使えなくなっていることが判明しその上ウランやプルトニウムまでもが反応阻害が起こり始め、世界は未曾有のエネルギー不足となった。
この頃になるとや学者や専門家たちは隕石による影響を指摘し始めた。しかし隕石によるものだとしても何がどうなってどうしたらこうなったのか原理を説明できた人おらずなんの対策も打てなかった。
ある宗教団体はこれは人間に対する最後の審判であるとし支持を集めたが、たとえその通りだとしても祈ったところで問題は解決するはずもなかった。
精製済みの石油は早いところで2年蓄えてところでも5年ほどで使い果たし冬には何百万人もの死者を出すようになりまた経済活動は完全に止まり人々は職を失った、寒冷地ではその日の暖をとるために燃やせるものは燃やし寒さをこらえ人々は絶望感の中で日々を暮らしていた。
暖かいところでは人が大量に流入して人口過密化して伝染病が蔓延してしまったり犯罪が頻発する事態になってしまった地域が出てきた。
日本も厳しい冬に耐えかねて海外や九州より南へ引っ越す人が多くなり、そのうち他のたくさんの国と同じく国家としての機能が麻痺していた。
後に30年あまり続いたこの極度のエネルギー不足を「灰色の絶望の30年」と呼んだ。
小説の類は初めて書きます。できれば完結させるよう努力するのでどうか温かい目で見守ってください。




