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ボクと君との約束。

作者: 七瀬





ボクは、この国の王子だ!

ボクの父親は、この国の王様で、母親は王妃なんだ。

ボクもいずれは、この国の【王様】になる時が来るのだろう。

でも、それはまだまだ先のお話。



ボクには、“結婚を約束した女の子”がいる。

その子とは、それっきり会っていない。

女の子との出会いは、家族でピクニックに行った時の事。

女の子は、真っ赤な服を着ていてボクの心を釘付けにした。

こんなに可愛い女の子は、今まで見た会った事がない!

ボクは、何処かの国のお姫様だと思い、女の子に直接聞いてみた。



『ねえねえ、君は? “何処かのお姫様なの?”』

『えぇ!? 私が、お姫様? そんなはずがないわ~私は小さな村に

住んでいるルイスよ。』

『君は、ルイスという名前なの? ボクは、サークスだよ。』

『サークス、いい名前ね! ねえ、サークス? 私たち何処かで一度!

会った事があるような、不思議な感覚を今私は覚えているの。』

『ボクもだよ。ルイスと初めて会ったように感じないんだ!』

『ねえ、サークス! 私たちが大人になったら? 私と結婚してくれない?』

『えぇ!? 勿論いいよ。ボクでよければ、、、。』

『サークス! 私たちは運命の出逢いをしたのよ! 私たちは、結ばれる

運命なのよ! ねえ、そう思わない?』

『うん! ボクもルイスと同じ考えだよ。ボクたちは、“運命の出逢い”を

したんだ! 大人になったら、必ず! 結婚しよう!』

『えぇ! “約束よ!”』

『あぁ、分かった! 約束だ!』





ボクとルイスは、【結婚の約束】を交わした。

だからボクは、大人になったら? ルイスを探すつもりでいた。

絶対にルイスを探しだして、ボクはルイスと結婚すると心に決めていた

からだ! ルイス以外の女性ひととは結婚を、考えられなかった。

ボクにとってルイスは、“運命の人”。

ボクは、父上や母上にルイスの事を、ちゃんと話している。

いつか? 彼女を見つけ出して、ボクと結婚する事や彼女はボクの運命

の人だという事、そして何よりもお互い愛し合っている事もすべて話した。

最初は、王様である父上は、【反対】していたが母上が父上を説得して

くれて、今では二人ともルイスの事を分かってくれている。




・・・後は、ルイスを探すだけだ!

だけど? ルイスは初めて会った村にはもう居なかった。

何処に行ったのかもボクには分からない。

誰も、ルイスの行方を知らなかったのだ。

どうして? 何処にいるんだ、ルイス! ずっと君を探しているよ。

ボクの心の声は、ルイスには届いていないのだろう。




 *




その頃、ルイスは別の村に居た。

そこで、知らない男性と二人で暮らしていたんだ。

ルイスは“記憶喪失”になっていたからだ。

馬車に乗って、ルイスは家族と別の村に引っ越す予定だった。

だけど? 馬がいきなり大暴れして、凄い勢いで崖から落ちてしまった。

ルイスの両親は、即死。

馬の手綱を引いていたお兄さんも、意識不明になってしまった。

お兄さんは、事故から1週間後に息を引き取った。

一人、生き残ったルイスは? 見知らぬ男性に知らない村で声をかけら

れて、一緒に住む事になった。

名前も覚えていない、ルイスは? 男性から、【シーラ】と呼ばれるよう

になった。

そして、ルイスからシーラへの第二の人生を歩みだす。

シーラは、助けてくれた男性【レイニー】と婚約もしていた。

不器用だが、優しいレイニーをシーラも好きになっていた。



『もう直ぐ、俺たちの結婚式だな、シーラ!』

『そうね!』

『・・・まだ、昔の事を何も思い出せないのか?』

『・・・えぇ! でも、もう昔の記憶は要らないわ! だって! 私には

レイニーあなたがいるんですもの!』

『そうだな! これから新しい記憶を作ればいい! 俺とシーラの新しい

記憶をな!』

『そうよ! 私は、レイニー! あなたと結婚するのよ!』

『あぁ!』





あの時の私は、記憶を失い。

レイニーとの結婚を待ちわびていたわ。




・・・そう、【サークス】と会うまでは。

何も、記憶を思い出せなくてもいいと思っていたの。

でも? 私はばったりサークスと会ってしまったのよ。

私は、サークスを見ても何も思いだせなかったのだけど? 

なんだか、懐かしい感じを彼に受けたの。

それと? 彼を見てドキドキしてしまった。

サークスは、私を見つけて直ぐにハグをしてくれたわ!



『・・・ル、ルイスなのか? 今まで何処に行っていたんだ! 

随分、君を探したんだよ。』

『・・・えぇ!? 私を知ってるんですか?』

『えぇ!? どういう事なのルイス?』

『・・・私の名前は、ルイスって言うんですか?』

『・・・ひょっとして、ルイス! 君は昔の記憶がないのかい?』

『・・・は、はい。』

『どんな事があっても! ルイス! 君の記憶を思い出させてあげる

からね! ボクと君との大事な記憶も、、、!』

『・・・あなたとの記憶?』

『あぁ! 大事な記憶だよ! ボクたちは、大事な約束を交わした

んだよ、ルイス! 必ず! 思い出させてみせるからね!』

『・・・・・・ううん、』





・・・ボクは、ルイスの居場所を見つけて、何度もルイスに会いに行った。

ルイスには、どうやら? 【婚約者】がいたようだが。

ルイスは、まったく昔の記憶がない。

まだ、ボクにもチャンスがある思ったんだ。



『ねえ、ルイス? ボクたちは、ココで初めて会ったんだよ。』

『・・・ココで?』

『あぁ! 君は、この村の人間だと思う! 君の事をこの村の人に

聞いてみよう! さあ~行こう、ルイス!』

『・・・えぇ!』




私は、初めて会ったサークスに恋心を抱いてしまった。

確かに、以前にもサークスと私は確実に会っていると確信していたわ。

彼の眼の色は、キレイな淡いブルーで髪の色は赤色。

スラッと伸びた逞しい腕。

笑うとえくぼができる。



・・・でも、サークスとの記憶をなかなか思い出せずにいたの。

私がサークスと会って家に帰って来ると? レイニーの姿はなくな

っていたわ。

サークスは、家を出ていったのよ、置手紙を置いてね。



『シーラ 君は本来、俺と居るはずがない女性ひとだ! 本当は

あの彼と君が一緒になるのだろう! 俺との婚約は破棄する! 君を

解放してあげるよ。君は、なくした記憶を思い出して彼と結婚すると

いい! 必ず! シーラ幸せになってくれ! 俺は君の幸せを願って

いるから。』

『・・・・・・』





レイニーは、私の前に二度と現れる事はなかった。

でも? 私の記憶が戻る事もなかった。

それでも、私はサークスと結婚する事を決めたの。

彼とは? 会った時から結婚すると想ったからだ!

それに、後から彼は、ある国の王子様だと知った。

サークスのお父様やお母様も、私の事をよく知ってくれていたみたい。

私とサークスは、結婚して子供も授かったわ。

不思議と? 違和感もなく彼と一緒に居る事が当たり前の事だった

ように感じる。

今では、私はいつも彼の隣に、、、。

記憶は戻らなかったけど、約束は果たされた。

彼との結婚の約束をね。

彼は、私にとって“運命の人”だったんだと今は思うのよ。





最後までお読みいただきありがとうございます。

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