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第96話 色んな思い

理不尽な怒りを2人にぶつけようと心に決めた私は、とりあえず2人にその場に正座してもらった。

一方の私は、腰に手を置いて2人を見下ろす形でお説教を始めた。


「まず皐月ちゃん!知ってたんならなんで教えてくれなかったの!?そりゃ、最初の方は無理でも!この前ここで話した時とか、言おうと思えば言えたよね!?」


「違うの紅葉ちゃん!皐月はなにも…」


「みっちゃんはちょっと静かにしてて!」


「はい…」


「皐月ちゃんは答えて!」


二人同時に怒るなんて、私にはそんな器用なことは出来ないから、とりあえず言いたいことがいっぱいあるみっちゃんは後で!


可愛くしょんぼりしてるけど、そんなことしても許さないんだから!

それに、もっと前に皐月ちゃんから話してくれてたら、私はもっと早くにみっちゃんと色々話せたんだもん!


もちろん、美月ちゃんとはたくさん話したけど、それとこれとはまた別なの!


「美月に黙ってて欲しいって言われてたんだ。私としても、紅葉は当時から好きだった美月を助けてくれた恩人だから、その恩返しをしたいって思ったんだ」


「恩返しがしたかったのなら!なおさらもっと早く伝えるべきじゃないの!?違う?」


「…。その通りだよ。だけど、聞いて欲しい。美月も美月で、紅葉に恩返しがしたいって言っててさ。紅葉に釣り合う女の子になってから前に出て行きたいってさ。それを私も応援したかったんだよ」


「なに釣り合うって!そんなの気にしてるの皐月ちゃん達だけだよ!?しかも、友達で釣り合うってなに?私が良ければそんなの気にする必要ないんじゃないの!?」


ここら辺は完全に八つ当たりだけれど、これまで色々我慢してきたんだ。

数少ない友達だったのに、急に目の前からいなくなっちゃって、私がどれだけ悲しかったか!


あんなに仲良くしてたのに、何の前置きもなく突然!

あの時ほど連絡先を交換しなかったのを後悔したことなんて無いんだもん!


基本的に学校で話すか、近くの公園で待ち合わせてお出かけするとかだったから、特に連絡先を必要としなかったんだよね…。


謝りたいと思っても、学校で私を見つけた瞬間走って逃げちゃうし!


「そう言われると、なにも言い返せない…。でも紅葉は私にとっても、美月にとっても恩人だってことは本当だから!そこだけは、分かって欲しいんだ。秘密にしてたことは、悪いと思ってる。そこは反省してる」


「そんなこと言われても…ピンとこないもん。本当に反省してる?」


「ああ。本当に反省してる。ごめんな」


真剣に頭を下げて謝ってこられたら…完全な八つ当たりでここまで叱ってる私が悪いみたいになるからやめて欲しい…。


でも、とりあえず皐月ちゃんに対して言いたいことはこれだけだったし、とりあえず許すことにする。

八つ当たりなんだから、許すとかじゃ無い気もするんだけど…。


少し泣きながら頭を下げられちゃったら…どうしてもこれ以上言えないし。

そんな状況なのに、隣のみっちゃんはなんでか私をずっと眺めてるし。


「はい。じゃあ次!みっちゃん!」


「っ!はい!」


「ねぇ。なんで嬉しそうなの…?」


「そんなことないよ!うん!別に紅葉ちゃんがカッコいいとか、怒られたいとか思ってないから!」


「そんな笑顔で言われても説得力ありません!分かってる?私がどれだけ悲しかったか!しかも、凄い可愛くなってから同じ高校まで来といて!なんで教えてくれないの!?」


皐月ちゃんに対してのお説教は完全に八つ当たりだったけれど、みっちゃんに関しては本気で怒ってる。


可愛くなったのは別にいいの!

ただ、なんで初めてあったみたいな顔で接して来てたのに、打ち明けてくれなかったのか。


それがただ単にわからなくて、悲しくて、許せない。

なんでだかみっちゃんは私が怒ってるのに嬉しそうだし!

私がどれだけ怒ってるのか分かってるのかな本当に!


「それは…色々理由があって、言い出せなかったの。でも、その理由が解決したから、打ち明けようかなって…。自分勝手なことは謝るよ!でも、そんなに悲しい思いをさせちゃったなんて知らなくて…ごめん!」


「…。さっき皐月ちゃんも言ってた気がするけど、打ち明けてくれなかった理由ってなに?」


「それは…まだ詳しくは言えないんだけど…。紅葉ちゃんが私のお願いを聞いてくれるなら…話すよ!」


「なんで私が、みっちゃんのお願いを聞かないといけないの!?私、一人で2年も悩んでたんだよ!?せめて一言、靴箱に手紙でも置いてくれてたら!」


一言で良かった。

私は元気でやってる。あなたは悪くない。

一言でもくれてたら…今こんなに怒ってなかったかもしれない。


自然と私の目からは涙が溢れて来ていた。

そんな私の姿に1番驚いていたのは、みっちゃんだった。

拭っても拭っても、後から涙が溢れてくる。


「ごめん!こんな状況で言うようなことじゃなかった!」


「普通…こんな状況ならみっちゃんが私の質問に全部答えるんじゃないの!?」


「うん…。私が何か頼むって言うこと自体が間違ってた。ごめん」


「別にいいよ…。それで?お願いってなに?」


『いや聞いてくれるの!?』


なんで二人してそんなに驚いてるんだろう…。

だって、お願い聞いたら理由教えてくれるんでしょ?違うの?


「いやそう言うことじゃなくてだな…。今の展開だと、美月に無理やり言わせる流れかなと…」


「私は別に!怒ってるけどみっちゃんを追い詰めたいわけじゃないの!お願い聞いたら教えてくれるって言うなら、聞いてあげるよ!」


「...なぁ美月。前から思ってたけど、紅葉ってちょっと天然入ってるか?」


「今頃気付いたの?紅葉ちゃんは中学の頃から、今ほどじゃないけど抜けてたよ?」


「はいそこ!余計なおしゃべりはしないで!」


私が怒ってるのに、怒られてる側が勝手におしゃべりとかどう言うこと!?

今は私のターンなんです〜!勝手に入ってこないでください!


つい10分前まで静かだった非常階段が、今では私の怒ってる声がうるさいくらいに響いている。


誰かが近くに来たら、絶対に気付かれるような声量だけど、そんなのは些細な問題だから今はスルーする。


「で?みっちゃんのお願いってなに!」


「えっと…文化祭2日目、2人で回らないかなって…」


「え?そんなこと?別に良いけど…2人で文化祭回ったら、打ち明けてくれなかった理由教えてくれるの?」


「軽いなおい!緑川のこととかは良いのかよ!」


「雫ちゃんなら、事情を話したら許してくれるもん!それより、みっちゃんは答えなさい!打ち明けてくれなかった理由は、本当に2日目一緒に回ったら話してくれるの?」


雫ちゃんとまともに話せるようになるのがいつ頃になるのかまだ分かんないけど、事情を話したらきっと分かってくれる。


だいたい、文化祭一緒に回る相手がまだいなかった私にとっては、それだけでいいならむしろ安いものだもん。

雫ちゃんと2人で回るなんて、今の私には絶対無理だし!


2日目は皐月ちゃんがお店に入っちゃうから、みんなで回るってことができないし、雫ちゃんとは上手くいけば3日目で回ればいいしね!


それまでに誤解を解けるかが今の所一番の問題なんだけど…。


「うん!絶対!回ってくれるなら話すよ!」


「じゃあ2日目ね!で次!」


「え…まだあるの…?」


「あるに決まってるでしょ!?いっぱい聞きたいこととかあるんだからね!?」


それからたっぷり30分、私はみっちゃんにお説教した。

終始嬉しそうだったのはなんでだかイマイチ分かんないけど、とりあえず言いたかったことは全部言った。


そのあとはちゃんと仲直りして、無事に対面イベント?は終わった。

無事に終わったかといえば怪しいけれど、私とみっちゃんの間には、前よりも確かな関係があった。


その証拠として、教室に戻るまでずっと私の腕にしがみついて甘えて来てたし。

なんだか、美月ちゃんがすごく甘えん坊になった気がするんですけど…。

皐月ちゃんが凄い微妙そうな目で見つめて来てるから今すぐやめて欲しい…。


最後に美月ちゃんに、どっちで呼べばいいのか聞いたところ、紅葉ちゃんの好きな方で!って言われてしまった。


結局、呼びやすいって理由で美月ちゃんに落ち着いたけど、時々癖でみっちゃんって言っちゃうかもしれない…。


その度にこの…猫みたいに喉を鳴らして甘えてくるのは…どうにかしないと。

次回のお話は10月22日の0時に更新します。


最近前書きも後書きも何も書いてませんけど、持病の悪化で体調が悪いのでお許しを...。


重たい病気とか、命に関わるものじゃないですけど辛いので大目に見てくださいm(_ _)m

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