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第91話 イメチェンブーム?

火曜日の朝、私はこれから来る人をとても楽しみに家の近くにある公園で待っていた。


昨日の夜、学校に来なかった雫ちゃんに今日あったこととかを話してたら、皐月ちゃんのイメチェンに関してなぜだか妙に詳しく聞かれた。


その後、少しだけ返信がこなくなったと思ったら、明日から私もイメチェンする!って急に言ってきた。


そのイメチェンがどんななのか、私はほとんど予想がついている。

必死に頼んだらまたやってくれるかな?とか思ってたし、正直すっごく嬉しい。


「あ!雫ちゃん〜!」


通りの向こうから歩いて来るイメチェン後の雫ちゃんの姿を見つけた瞬間、私は嬉しすぎてつい大きな声で呼びかけてしまった。


だって、鈴音先輩の家に一緒に行ったときの姿とほとんど同じだったんだもん!

違うのは制服を着てるところと、学校のカバンを持ってるところだけだし!


「ごめんね…。ちょっと色々時間かかっちゃって…」


「全然!すごい可愛い!」


「そう…かな?ありがと…」


やっぱり私の思った通り、喋り方とかも色々変えてくれたらしい。

正直に言うと、この話し方の方が私は好き…。こっちの方が可愛いもん!


いつものかっこいい感じの雫ちゃんも好きだし可愛いけど、こっちの雫ちゃんの方が可愛い!


なんか…さっきから私可愛いしか言ってないけど、本当に目の前にいる雫ちゃんが可愛いんだもん!


皐月ちゃんと同じ髪型のポニテになってるし、ちょっと照れてるのもすっごい可愛い!


「良いから…行こ?」


「うん!」


この時の私は、恥ずかしさとかそんな感情がなくなって、ひたすらに目の前の女の子の可愛さに夢中だった。


だから、普段はあんまりできない手を繋いで登校する。なんてことが出来たんだと思う。

隣で歩いてる雫ちゃんはずっと顔を赤くして下を向いてたし、私は嬉しくて鼻歌を歌ってたもん。


なんだか、今まででこの時間が1番幸せって感じてる…。

こんな幸せがずっと続いたら良いなぁ〜。今日だけとか言われたら私拗ねる自信があるんだけど!


「紅葉ちゃんがそんな反応してくれるなら…毎日でも…」


「ん?そんな反応ってなに?」


「なんでもない!明日もこれで来るからさ…そろそろ手離してくれる?」


「え〜!?良いじゃん!教室までこれで行こうよ〜!」


「恥ずかしいから嫌だって…。帰りも繋いでて良いから…」


耳まで真っ赤にしながらそういう雫ちゃんに、今までで1番ドキッとしてしまった。

本当に帰りも繋いでくれるんだったら…と少しだけ不満そうにしながらも手を離した。


教室に上がった瞬間、雫ちゃんは自分の席に突っ伏して寝てしまった。

寝てる間もずっと耳が赤かったのはなんでだか全く分かんないけど。


「ねぇ。緑川どうしたの?なんかだいぶ雰囲気変わったよね?」


「そう!雫ちゃんね?すごい可愛くなったでしょ!?イメチェンしたんだって〜!」


「へ〜。最近イメチェンって流行ってるのかな?色んな人がイメチェンしてるよね〜。皐月もそうだけど、霜月さんも最近変わったよね?」


「あ〜最近変な絵描いてるところ見ないね〜。っていうか、これでこの教室に同じ髪型の人3人になったな。私と緑川、後霧島さんもポニテだったでしょ?」


なんだか、前の喋り方がまだ完全に抜けてない皐月ちゃんは、目の前の美月ちゃんを見つめながらそう言った。


皐月ちゃんに至っては、髪型だけじゃなくて髪の色もなんだか派手になっちゃったけど、私は結構似合ってると思う。

美月ちゃんも少しうろたえてるけど、似合ってるって言ってたし。


あれ?そういえばその霧島さんがいないけど…どこ行ったんだろう。

私たちが教室に入った時は自分の席で寝てたのに…。


「あ〜あの子は他のクラスの男子に呼ばれてどっか行ったぞ?多分告白でもされてるんじゃないか?どうせ振るんだろうけど」


「そういえば、なんであの子告白される度にやんわり断ってるんだろうね〜」


「美月が知らないなら私が知ってるわけないじゃん。私みたいに女の子の好きな人がいるとかじゃないか?」


「だから教室でその話はしないでって!恥ずかしいから!」


「えっと...私向こうに行ってた方がいい?」


なんとなくそういう雰囲気を感じて、私は昨日みたいに教室の外に出ようとしたところ、2人からは正反対の答えが返ってきた。


美月ちゃんからは「絶対行かないで!」と…

皐月ちゃんからは「ありがと!」って言われた。


どうしたらいいか分からなかったから、とりあえず自分の席に戻って避難した。

美月ちゃんが時々、助けを求めるみたいな目で私を見てきた時は、苦笑いで流しちゃったけど…大丈夫かな?


今日から2年の先輩たちが皆修学旅行でいないから、部活も無いしあの2人…もっともっと距離近付きそう。


以外に、文化祭が終わった後に付き合ってるかも…。

私は…今の雫ちゃんに好きなんて言われたら、深く考えずにオッケーしちゃいそうで怖い。


絶対無いって分かってるけど…こんな可愛い人に好きなんて言われたらさ!しかも相手が雫ちゃんなんだよ!?


「ちょ!何考えてるの私!?」


不意に文化祭の最終日、皆が校庭でいろんなお店を楽しんでる時に、渡り廊下とか非常階段で雫ちゃんに告白されるのを想像してしまった…。


さっきみたいに耳まで真っ赤にしながら…私に告白してくれるなんて…夢見たい…って!


「さすがにそれはダメでしょ…」


絶対にないとは言え、こんなこと考えるのはなんかちょっと…いけない気がする。


雫ちゃんに知られたらすごい怒られそうだし!

いや可愛いから叱られてもっていうのはあるんだけど!


思わず恥ずかしくなって、隣の雫ちゃんと同じように机に突っ伏してしまった私は、授業が始まるまでずっとそうしていた。


なんだかずっと恥ずかしくて…まともに雫ちゃんの顔が見られなくなっちゃったんだけど…!


私が勝手に告白される妄想しちゃって…勝手に恥ずかしくなって顔が見れなくなってるのに、いつもみたいに心配されてなんだか余計にやましい気持ちになってきた…。

告白されたらすっごく嬉しいからこんなことになってるのかな…?


「それでそれで!?やっと自分があの子のこと好きって自覚したの!?」


「だからそんなんじゃないんだってば!」


顔は見れないなりに、必死に雫ちゃんの手を握って帰った私は、夜ごはんの時にお母さんにそのことをつい話してしまった。


そのせいで、夜ご飯を食べ終わった後も色々言われるし…お風呂に入ってても外から何か言われるし!

お母さんは私をどうしたいの!?


「良いじゃん!娘に好きな子が出来たんなら応援したいじゃん!」


「応援の仕方が荒っぽいのはなんで!?っていうか、まだ私雫ちゃんのこと好きなんて言ってないじゃん!」


「でも、その子に告白されたら嬉しいんでしょ?嫌いな人に告白されても嬉しくないでしょ?つまり好きってことじゃん!」


「そんなの屁理屈だよ…」


「お母さん子供のときから思ってたんだけどね?屁理屈って一周回って正論なんじゃない?だってよく考えたら正しいこと言ってるじゃん?」


そんな、どっちが子供かわからないやり取りを何時間もした後、私はうんざりしながらベットに入った。


夢の中でも雫ちゃんに告白された私は、翌日熱を出して学校を休んだ…。

次回のお話は10月7日の0時に更新します。


最近更新ペースギリギリなので、少しだけ気を引き締めていきます。

3日1話ペースは頑張って続けます!

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