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第90話 すごく変わった友達

「皐月ちゃん…!?どうしたのその髪!」


月曜日、教室に入った瞬間目に飛び込んできた変わり果てた皐月ちゃんを見て、1番最初に出て来た言葉がそれだった。


雫ちゃんは今日は用事があるとかで休みって言ってたから、渋々1人で来たんだけど…。

今ほど雫ちゃんに横にいて欲しいと思ったことは今まで無かったかも。


「変かな?」


「変じゃないけど…どうしたのかなって」


皐月ちゃんの髪は黒髪のツインテールだったのに、今はなぜかポニテになってて髪も銀色?になっていた。


なんで?この土日になにがあったんだろう。

皐月ちゃんは先週の金曜日もなんだか変だったけど、その時は皐月ちゃんより美月ちゃんの変化の方が気になってたからスルーしちゃってた。


美月ちゃんは…なんというか前より可愛くなったような気がするんだよ!

なんでか分かんないけど!


「美月が可愛いのは前からだから。後、美月ってポニテ好きなんだよね〜」


「そうなんだ〜!知らなかった!」


「そうでしょ〜?美月の反応が楽しみだな〜」


皐月ちゃんは金曜日からこんな感じだ。

急に美月ちゃんのことを好きっていうことを隠そうともしないで、むしろ積極的すぎるくらいアピールしてる。


美月ちゃんがそれに照れて顔を赤くしてるところがすっごい可愛いんだよね!

私は春奈先輩達みたいで結ばれたら良いな〜って思ってるけど、どうなるんだろう。


2人は中学校の頃から友達だって聞いてるけど、その時から皐月ちゃんは美月ちゃんのこと好きだったのかな。


「おはよ〜。って!皐月どうしたの!?」


「あ、おはよ〜!どう美月?似合ってる?」


「いや似合ってるけど…なんでまた急に…」


「美月が喜んでくれるかな〜って!葉月の反対押し切って染めちゃった!」


あ、そう言えば皐月ちゃんの話し方もなんだか変わった気がする。

前よりなんだか柔らかくなったというか。こっちの方がなんだか違和感がないっていうか!

前はなんだか男の子っぽかったし!


雫ちゃんもこの前春奈先輩の家に行った時みたいにイメチェンしてくれたらなぁ〜。

もうあの時すっごい可愛かったのに!

なんで私写真とか撮ってなかったんだろう!


必死に頼んだりしたら...またあの格好してくれるかな…?


「皐月?頑張る方向間違えてない?」


「別に〜?私がしたくてやってることだから!」


「なら良いんだけど…あんまり教室内で好きとか言うのはやめてね…。恥ずかしいから」


「は〜い!」


そう言いながら皐月ちゃんが美月ちゃんに抱きついた。

まるで、鈴音先輩が春奈先輩に部室でやってるみたいに笑顔で…。


この場合の春奈先輩にあたる人はもちろん美月ちゃんだから、同じように顔を赤くしてる。


なんだかこの2人、ほっといたら2ヶ月後くらいには付き合ってそうだなぁ〜。

私は…雫ちゃんとどうなってるかな。


別にどうなりたいとかはよく分かんないけど…少なくともこの2人みたいにラブラブになってる想像が全然できない。


「じゃあ…私はこれで…」


「ちょっと!紅葉ちゃん助けてよ!皐月の暴走止めて!?」


私はなんとなく恥ずかしくなって、助けを求める美月ちゃんを置いてその場を離れた。

明日か明後日には二年生の先輩が皆修学旅行に行っちゃうから、こう言う時に行くところが極端になくなるって言うか。


というか、今気付いたけど私友達が少ないせいで、美月ちゃんも雫ちゃんもいない時って1人ぼっち!?


先輩の教室になんて1人でいけるような性格じゃないし、朱音先輩は受験で忙しいだろうし。


部室に行ったらあの2人の先輩が今週はまだイチャついてるかもだし!


「あの…ちょっと良いですか?」


「え?あ春ちゃんか〜!びっくりした〜」


「今はあのカッコいい人はいないんですか?」


「カッコいい…雫ちゃんのこと?今日はお休みだって〜」


そう言った瞬間、なぜかホッとしたように私より数段大きい胸を撫で下して、敬語から普通の口調に戻った。


なんでか分かんないけど、春ちゃんは雫ちゃんとか他の人が近くにいる時は敬語で話しちゃうらしい。


前の学校でもあんまり友達が多くなかったから、その弊害だって本人は言ってたけど。


「あのね?実は私、人を探してるの!」


「また急だね…。この学校の人?」


「多分…。あんまり自信は無いんだけど、多分この学校だと思うの!」


「へ〜。どんな人なの?」


そう言うと、少しだけ考えるようなそぶりを見せた春ちゃんは、なんでだか少し涙を流しながら続きを話し始めた。


「実は、私って小さい頃も人見知りだったのね?それで、その時に近所のお兄さんがよく面倒見てくれてたの。それで、私が引っ越しちゃって会えなくなっちゃったんだけど、年賀状のやり取りとかはしてたの」


「う…うん。それで?」


「それで…年賀状のやり取りはもうだいぶ前にしなくなっちゃったのね?でも、最後に引っ越すって言ってた住所が変わってないなら、多分この高校に来てるんじゃ無いかって…」


「あ〜だからわざわざ遠いのにこの学校に来たんだ〜」


春ちゃんの家は、この学校まで来るには少し遠すぎる。

往復で1時間ちょっとかかるって前にボヤいてるのが聞こえたし。


でも、その人を探してどうするんだろう。

って言うか、この話前にどこかで聞いたことがあるんだけど…。


皐月ちゃんが話してた春奈先輩と鈴音先輩の話に似てる。

まぁ先輩達はもう本人が見つかってるんだけども。


「それで、名前だけしか分からないんだけど、知ってるかなって思って…」


「私に頼られても…。クラスの人の名前も全然覚えてないのに…」


「知ってる人探してくれるだけでも良いの!お願い…!」


涙目で必死に頼み込んでくる春ちゃんの姿を見たら断りきれず、軽い気持ちで請け負ってしまった。


私もどっちかといえば人見知りするタイプだし、人探しなんて絶対無理なんだけど…。

なんだか、深く考える前にとりあえず動いちゃってることが多いんだよね私って…。


「分かった!どこまで力になれるか分かんないけど!」


「やった!ありがと!」


「それで?その人の名前って?」


「えっとね。私の2つか1つ歳上で、名前は砥綿響(とわたひびき)っていうお兄ちゃんの!知ってる?」


なんか…どこかで聞いたことある気がするんだけどその名前…。でも確証が持てないっていうか。


そもそも、あの人って上の名前なんだっけ?下の名前が響って言うのは確か合ってるけど、上の名前なんて知らないし…。


私が思い浮かべてたのは、凛ちゃんのお兄さんだった。

確かあの人は凛ちゃんの2つ上のお兄さんで、名前が響だったような気がしてるんだけど…。


でも上の名前が砥綿かどうかなんて分かんないし…。


「ん〜。ごめんね。分かんない」


「そっか…。じゃあ見つけたら教えてね!」


それだけ言うと、目元の涙を拭って春ちゃんは教室に戻って行った。

私は教室のすぐ前の廊下で、凛ちゃんの苗字を必死で思い出していた。


思ったけど、よく呼ぶのは名前の方だから友達の苗字って意外と覚えてないよね!

実際、雫ちゃんは分かるけど、皐月ちゃんや美月ちゃん、文芸部の先輩達の上の名前とか覚えてないもん。


皆名前でしか呼ばないし!

皐月ちゃんに聞こうと思っても、ずっと美月ちゃんとイチャイチャしてるからなんだか聞きづらいし!


雫ちゃんも知ってるとは思えないし…。

凛ちゃん本人はいつ返信が来るか分かんないし、そもそも今日学校に来るかどうかも怪しい。


一応メッセージは送ってみるけど、ずっと前に送ったメッセージにすら返信が来てないから実際返ってくるかはかなり怪しい。


春ちゃんにも、まだ確定してない段階で教えるのは…もし違ったら申し訳ないし。

名前が同じってだけで春ちゃんが探してる本人だって決めつけるのは無理があるし…。


とりあえず、この件は私の中で保留ってことにしとこう!

それにしても…明日明後日に修学旅行って、文化祭があともう少しで始まるのに大丈夫なのかな?


来年は私たちもこの時期に行くんだろうなぁ〜。大変なんだろうなぁ…。


そんな呑気なことを考えていたせいか分かんないけど、春ちゃんに頼まれてた件は下校時刻になる頃にはすっかり私の頭から無くなっていた。

次回のお話は10月4日の0時に更新します。


ここに来て色々盛り込み始めましたけど、ごちゃごちゃしないように頑張ります!

あんまり頭は良くないので期待はしないでください(ボソッ)

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