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第8話 お食事会へのお誘い

 私は最近、目覚まし無しで起きれるようになっていた。

 そしてその日も目覚ましが鳴る前に目を覚ました。


 正確には目覚ましは鳴っていたんだけれど気づかずにそのまま寝続けてしまっただけであって……


 朝起きて今が何時か確認するために、まだ覚醒しきっていない意識の中スマホの画面を見ると、8時02分と画面映っていた。


 きっと見間違いだろうと目をこすって見るけれどスマホの画面に映った時刻が戻ったりすることはなく、今8時03分になってしまった。


 いつもは起こしてくれるお母さんの姿がないのは何でだろうと、ちょっとだけ怒りながらリビングに降りてみるとそこにお母さんの姿はなかった。


 代わりに机の上に書き置きが残してあって、そこには「急用で早く家を出ます。家を出る時に連絡ください。鍵ちゃんとかけてね。」


 急用が何かはすっごい気になるけど、そういうことなら納得はした。

 お母さんが朝私を起こしてくれなかった理由もわかったところで、私は急いで自分の部屋に戻って学校に行く準備をする。


 朝ごはんなんて自分では作れないから当然朝ごはんは食べられなかった。

 いやだって……時間がなかったんだもん!作れないんじゃないもん……。


 学校に行く準備ができたのは8時37分だった。そこから急いで家を出て学校までダッシュした。


 途中の横断歩道で鍵を閉めて来たかすっごく不安になっちゃって泣きそうになってしまった。

 だって……覚えてないんだもん。いつもしないことだから余計にしたかどうかわかんないんだもん……


 閉めてなかったら大事になっちゃうし、今日は早く帰ろ……


 学校に着いたのは朝のHRが始まる2分前で、ギリギリ間に合ったけれど息切れがすごくてHRの先生の話は聞いている余裕なんてなかった。こんなにダッシュしたのは初めてだったし……。


 1時間目が終わって、ようやくゆっくりできる時間がやって来て、朝連絡できなかったお母さんに連絡する為にスマホを開くと、奥田さんからメッセージが入っていた。


 内容は後で確認するとして、まずはお母さんに連絡……


 お母さんに朝あった事を話すと、そんな気はしてたとちょっと呆れた風だった。

 だってさ~仕方ないじゃんか……


 お母さんとやりとりしている間に2時間目が始まってしまって、奥田さんからのメッセージを確認することができなかった。


 ちょっとだけしまった……と思っちゃったけど、別に急ぎの用事だったらさっき直接話しに来たと思うし2時間目が終わったタイミングでまた見ればいいやと気持ちを切り替えた。


 2時間目が終わって、携帯を開こうとした時横にいた雫ちゃんが話しかけて来てくれた。


「今日珍しく遅かったけどまさか、道に迷ってたの?」


 心底心配そうに聞いて来た雫ちゃんにその顔は……可愛すぎる……と思いながらもそれを表情に出さないように必死に隠しながら、寝坊しちゃって急いでただけだと伝えると、なら良かった。となぜだか安心されてしまった。


 何で私はこんなに雫ちゃんに心配されてるんだろう。いや、嬉しいけどさ……

 むしろ、もっと心配して欲しいけどさ……なんか複雑な気分になっちゃう。


 そこから3時間目が始まるまで雫ちゃんとおしゃべりしていて、また気付いたら3時間目が始まってしまっていた。


 ちなみに、物理学の授業だったから、その授業の時はたっぷりと寝ました!


 この時は気づかなかったんだけど、学校でまともに雫ちゃんと話せたのは今日が初めてだった……


 3時間目が終わったチャイムの音で目が覚めた私は、今度こそ携帯を取り出して、奥田さんからのメッセージを見る。


「クラスの女の子がみんなでどこかにご飯食べに行こうって言ってるんだけど、みなちゃんもどう?」


 ご飯に誘われたみたい。今日は木曜日で授業は6時間目までだし、ほとんどの子はまだ部活すら決めてないだろうから、部活動がない今のうちにお食事会で気の合う子を見つけたいってことなのかな……


 どうしよう。行きたいけど……このお食事会に雫ちゃんがくるとはとても思えないし、家の鍵のことがすっごい心配なのもあるし、何より私はあんまりお金を持ってない。


 お財布の中身を確認すると、2000円とだいぶ前に従兄弟に貰ったギザ10が一枚あるだけだった。

 これだけで足りるのかな……


 外食なんてお母さんともしたことないしわかんない。

 一応お母さんに連絡してみてから考えると奥田さんにメッセージを送ると、すぐに返信が来て別に今日行くわけじゃないから急がなくてもいいよって返信が来た。


 あれ?今日じゃないの?てっきり今日かと思っちゃった……。

 なら……いつ行くんだろう……。


 とりあえずお母さんに連絡すると快く了承の返事とお小遣いをくれるという話だったから、奥田さんにオッケーの返事をする。

 私のお母さんは何でこんなにいつも返信が早いのか……


 一応雫ちゃ……緑川さんも誘ってみていいか聞いて見ると、良いよと言ってくれたので家に帰ったら誘って見ることにした。

 でもクラスの女の子って誰が行くんだろう。


 私のクラスの女の子は大体半分の15人くらいだし、その中でもそんなお食事会に参加しそうな子は見た目だけでいうなら4人もいないし……


 クラス全員の名前を覚えてるわけじゃないから何とも言えないんだけど……

 そもそも誰がお食事会に行こうなんて言い出したんだろう。スゴい勇気の持ち主だなぁ。とちょっと感心してしまった。


 その後の授業はお食事会のことを少しだけ楽しみにしながら受けていたらあっという間に授業が終わっていた。


 お昼休みに鞄の中からお弁当を出そうとして、そう言えばお弁当がないことに気がついた。


 あ……やってしまった……朝ごはんも食べてない上に急いでたからお弁当をカバンの中にしまうのを忘れてしまった。

 お腹すいた……


 泣きそうになりながら横で美味しそうにお弁当を食べている奥田さんの方を見ると、私がお弁当を忘れちゃったことに気がついたのか、ちょっとだけ顔を赤くしながらお弁当をわけてくれた。


 奥田さんにお礼と大好き!と伝えたら更に顔が真っ赤になってしまってたけど熱でもあるのかな……。

 ちょっと心配……。


 奥田さんのおかげでちょっとは空腹がマシにはなったけど、朝ごはんも食べてなく朝全力疾走したこともあってまだまだ食べたい……


 でもこれ以上食べてしまうと太っちゃう!と必死に自分に言い聞かせて何とか我慢した。

 その後の授業は現代社会の授業や、その日に2回目の物理学の授業って訳じゃなかったけど、あまりにお腹が空きすぎて寝てしまった。


 空腹を忘れるならお昼寝が一番良いって過去の私が言ってた気がするし!


 雫ちゃんが5時間目の終わりに心配して来てくれて、嬉しくてちょっとだけ涙が出ちゃった。

 だって……何でもないのに心配してくれたんだもん。嬉しいじゃん!


 6時間目の授業が終わってからまっすぐ家に帰って鍵を差し込んでみると鍵はしっかりとかかっていた。

 深い息を吐くとだいぶ気持ちが落ち着いた。


 今日奥田さんから言われたお食事会の事も雫ちゃんに連絡しないといけないし……とその前にちょっとだけご飯が食べたい……


 家に入ると朝と同じようにお母さんの靴はなかった。

 まだ帰って来てないみたい。


 お母さんがいない間に何か適当に軽く食べちゃおう……と冷蔵庫を開けてみると、私の大好物のシュークリームが入っていた。

 私は特に何も考えないでシュークリームを食べるとまた更にお腹が空いてくるのを感じた。


 でも、さすがにこれ以上勝手に食べちゃうと怒られるかもしれないと思って、おとなしく自分の部屋に向かった。


 制服を脱いでパジャマに着替えてから空腹を誤魔化すためにベットに入った。

 その数時間後にお母さんが帰って来て、シュークリームを勝手に食べちゃったことがバレて、すっごい怒られてしまった。


 夜ごはんの前にシュークリームを食べちゃったのが悪かったのかもしれないと謝ったら、純粋にお母さんが楽しみにしてたから怒ったって理由だった。


 悪いことしちゃった……


 でも、お弁当が台所に残ってるのを見つけたお母さんは私の頭を撫でて許してくれた。

 許してはくれたけど、その日の私の夜ご飯はお弁当になっちゃった……


 お弁当を食べ終わった私に、お母さんは明日からちゃんと起こしてあげる。と優しい笑顔で言ってくれて、思わず抱きついてしまった。


 お母さんのことが大好きなんだもん!良いじゃん!


 自分の部屋に上がった私は、お食事会のことを雫ちゃんに話すと、予想通り微妙な反応が返ってきてしまった。


 何とか一緒にお食事会に行きたいって説得してみたけど、ちょっと難しいかもしれない。


 あんまり期待はせずにその日の私は眠りについた。

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