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第81話 計画の初期段階

今回も皐月ちゃん視点でのお話になります。

少し短めですけど...お許しをm(_ _)m

翌日、私は午後の文化祭に向けての話し合いで頭を抱えていた。

やることは決まったし、材料のこととかも昨日決めているから今日は店番のことでの話し合いをしようと言うことになっている。


ただし、それは料理が得意な私を含めて6人だけの話し合いであり、他のメンバーは店の外観をどうするかとか、どんな感じの物を出すか見たいな話をしてもらっている。


頭を抱えているのは、私が思ってた以上に誘導が難しいと思ったからだ。


まず、まともに料理ができるのがクラスの女子だと合計6人。これはまぁ、ちょうど2人ずつで分けられるから良い。

問題は、その関係性にある。


「とりあえず関わったこと無い人もいるから一応紹介。私は霜月あかりね。で、こっちが友達の空崎千夏(そらさきちか)ね」


「よ…よろしくお願いします…」


「この子人見知りだけど、仲良くしてあげてね」


そう言ってぺこりと頭を下げたのは、霜月とは対照的な大人しそうな子だった。

黒髪のショートカットで茶色い目をしてる子だ。


時々霜月と楽しそうに話してるところを見てたから、友達なんだろうなとは思ってたけど…だいぶ対照的な2人だな。


「ちなみに!私と同じでこの子もイラスト描くんだけど!私と違って純粋で可愛いから今度見てあげて!」


「ちょっとあかり…。恥ずかしいからやめて…」


恥ずかしそうに顔を染めた後、霜月の後ろに隠れてしまったその子は、時々後ろから顔を覗かせては引っ込めると言うことを繰り返していた。


なんか…紅葉より子供っぽいな。大丈夫かこの子…


「じゃあ次私ね。一応クラス委員をしてます!奥田美月です。で、横にいるのが友達の皐月です!」


「できれば私のことは名前で呼んでくれ。苗字で呼ばれるのはあんまり好きじゃ無い」


「わかった!そっちは緑川さんでしょ?あなた結構有名だよ?」


「別に興味ないわ。私のこと知ってるなら自己紹介は不要でしょ?最後の人どうぞ?」


紅葉がそばにいないとこうも態度変わるか…。

あからさまに他の人と距離を取ってる。これだと、美月と一緒に店番をして貰うのも一苦労かもしれない。


しかも、霜月とその友達は確実に一緒になるだろう。最悪美月が2日目とかになってしまうかもしれない。


紅葉は私達と違って、最低2日間は自由がきくだろうし、仮に店の手伝いがなかった場合は3日間自由がきく。


2日連続で紅葉と文化祭を回るのはちょっと無理だ。

別に紅葉のことが嫌いってわけじゃないけど、美月の好きな人を連れまわすのは…それ相応の理由があれど、ちょっとキツイ。


「えっと、霧島絢香(きりしまあやか)です。あんまり自信ないんですけど、頑張ります!」


そう言って自信無さそうにモジモジしてるのは、なぜか男子から人気が高いと話題の女子だった。


黒髪でポニテ、しかも陸上部に入ってるからって理由なのか入学してから何回も告白されてるらしい。

まぁ、全部断ってるらしいけど。


ピンクの目はカラコンを入れてるって聞いたけど、真偽は知らない。

クラスの半分の女子と仲が良いらしいけど、私は話したことないし。


「あやちゃんは…ちょっと天然入ってるから、みんなでフォローしてあげてね。とりあえず、当日の当番とか決めない?とりあえず、各々の希望を聞いても良いかな?分かってるかもだけど、2人1組で店番して貰うからそのつもりでね」


「私は最終日でいい。相手は〜霧島さんが良ければ霧島さんが良い。美月ともやりたかったけど、美月も人見知りするところあるからな。霜月さんと空崎さんは一緒にするんだろ?ならこのペアが一番良いと思うが…どうだ?」


「私は誰とでも大丈夫だよ!ただ…最終日は色々したいことがあるから、できれば初日か2日目が良いかなって…」


なんとか理想にペアにはできるかもしれない。ただ、日付に関しては理想通りには行かない...か?


もちろん私が2日目でも良いけど、最終日にはそれこそかなりたくさんのイベントがある。


そんなところで私1人になるのは…目立つし外部からも沢山人が来る。

しかも、面倒な自体になる可能性だってある。だからなるべく最終日にしたかったんだけど…。


「私は別に何日目になろうと誰とやろうと興味無いけど、最終日は私もやりたいことがあるから出来れば初日か2日目で」


「うん。最終日は私と千夏がやるから大丈夫だよ!確かに私もやりたい事はあるけど、千夏は私以外の人とは無理だろうし…」


「ごめんねあかり…」


「うん。そう思うなら私の背中から出ない?可愛いけどそんなにくっつかれると恥ずかしい」


「それはやだ…。あかりのここが一番落ち着く…」


そんなラブラブ?な2人を見て私が思った事は、昨日の文芸部での光景と似てるな〜という事だった。


霜月はなんとも思ってないかもだけど、空崎さんの方は…みたいな展開が見える気がする。

こんな考えをするようになったのも、全部あの人たちのせいだ。


「イチャつくなよ…。美月は緑川と一緒でも大丈夫か?」


「え…?あ、うん!大丈夫」


「じゃあ、私と霧島さんは2日目、緑川と美月は初日にして貰うってのはどうだ?それで良いか?霧島さん」


「はい。大丈夫です。それで行きましょう」


はぁ。とりあえず、最低限は達成できた。

一番最悪なのは、緑川と美月がバラバラになる事だった。


そうなると、美月は2人きりのデートを楽しめるかもしれないけど、それは緑川も同じになる。


例えば、初日に美月と私が店番をすることになったとしたら2日目は美月と紅葉は2人で回れる。

ただ、初日は緑川と2人で回ることが出来てしまう。


2人きりで回れる点を考えると、そのプランは別に悪く無い。

ただ、緑川と2人きりの時に何かアクションを起こされると、こっちで対処が出来ないのがもっとも問題な点にもなってしまう。


しかも、初日だから何をしてもおかしく無いっていうのもある。


最終日に行われる体育館での告白祭で告白するのがセオリーだけど、別にそこで告白しない人もいる。


緑川が紅葉に告白する可能性は低いだろうけど、万が一がある。

初日に告白なんてされると、成功しようが失敗しようが、たとえ答えを保留にされようがその後に響く。


ほんと…なんで私はこんなことに頭をフル回転させているのか…。

普通に勉強する方がよっぽど楽だ。

自分でやると決めたことだけど、たまに自分が何をしたいか分からなくなる時がある。


昨日の文芸部での出来事を目にした時がまさにそうだ。


「皐月?どうしたの?大丈夫?」


そんなことを考えていると、心配してくれたのか美月が声をかけてくれた。

考えすぎてぼーっとしてたみたいだ。文化祭が終わるまでしっかりしないと行けないのに…。気をつけないと!


「ありがと。大丈夫だ。それはそうと、2人で店番するのってそもそも大丈夫なのか?初日と2日目はギリギリなんとかなるにしても、最終日はキツくないか?」


「ん〜。正直いうと、キツイと思うんだよね。パンケーキだと焼きあがるまでにそれなりに時間かかるし、歩きながら食べにくいって所もあるから外で売るわけにも行かないでしょ?他のみんなが手伝ってくれるとしても、この教室に何人お客さんが来てくれるか分からないから…どうしてしてもキツくなるかもなんだよね…」


「まぁ、料理系が一番無難だと言ったのは私だからあれだけど、女子とあの男子合わせて全部で15か?その内6人が作るから、まともに手伝ってもらえるのは9人だろ?で、卓球部の女子が2人いるから実質7人だ。この教室でやるんだったら色々キツイかもな」


こんな簡単なことに昨日は気が付かなかったなんて…。

これだと、また1から考え直さないといけない。


緑川と紅葉のことも、文化祭で何をするかも…。

本当にキツイんだけど…。誰か代わってほしい。


「だよね〜。冷静に考えるとそうなっちゃうよね。もっと早く出来て、外でやれる物のの方がいいかもね」


「ねぇ…だったらクレープとかは?美味しいし以外と簡単に作れるよ…?」


そう小声で言ったのは霜月の後ろに隠れているあの子だった。


確かにクレープは良いかもしれないけど、ホイップクリームとかは確か使えないんじゃなかったかな…。

それだと結構キツイんじゃないか?


「生クリームとかカスタードクリームを模擬店とかで使っちゃいけないのは保存とかにあんまり向いてないからです…。だから、保存性の高い、例えば植物かなにかから作られた物。えっと...動物から作られたクリームとかじゃなければ大丈夫なことが多いです…。あくまでお母さんが言ってたことなので先生に言えば使っても大丈夫と言ってくれるかもですけど…」


「この子のお母さんね、凄いところのコックさんなの!まぁとりあえず、先生に聞いてみる?そっち方面は千夏に任せても大丈夫そうだし、頼んだらお母さんもきて来てくれるかもなんでしょ?」


「休みが取れれば行くって昨日言ってくれたけど…あんまり期待しないでね…」


「生地とかは確か売ってるところがあったはずだから、焼かずにそっちを頼れば良いし、人手も最低限いれば大丈夫だからなんとかなりそう?お店の担当も別に変えなくて大丈夫そうだし!」


なぜか緑川は渋そうな顔をしてたけど、他のみんなは賛成みたいで、とりあえず先生に相談に行くことになった。


案の定普通のクリームとかは使えないって言われたらしいけど、使えるクリームとかもあるから、そっちを使えば良いって言われたらしい。


全部空崎さんの言った通りだったらしい。

とりあえずそれで決まりで良さそう。大きく計画がズレなくて安心した…。


「よし。なら向こうのグループにも知らせて、諸々また話し合いだな」


「そうだね。ありがと千夏!」


そう言って抱きついた霜月に、耳まで真っ赤にしながら狼狽えている空崎さんが少しだけ可愛かった。


「ううん…。お母さんから聞いたことそのまま言っただけだから…」


それからはまた女子グループでの話し合いが始まった。

ついでに言うなら、男子は女子が教室使わないならってことで男子たちだけでお化け屋敷をするらしい。

私は全く興味ないけど。

次回のお話は9月7日の19時に更新します。


今更ですが、毎回後書きと前書きを書いてるのって邪魔ですかね...。

連絡帳とかに書いてあった先生の反応を見るのが好きだったので書いてるんですが...。


出来ればなにかご意見をくださると嬉しいです。


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