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第77話 久しぶりの再会

後半の部分に皐月ちゃん視点でのお話があります。


今回は少し短めです。

私は、夏休みの宿題も昨日なんとか全部終わって、今日久しぶりに美月ちゃん達に会えるとウキウキしながら起きた。

だけど、下に降りてみて、先にご飯を食べていたお母さんを見て少しげんなりした。


お父さんはほとんど会話することも無く帰ったけど、お母さんが変なことを吹き込んだのはほぼ間違いないだろうし…。


「おはよ…」


「おはよう。どうしたの?朝から元気ないけど」


「別に。お母さんのせいで家の前で雫ちゃんと待ち合わせしにくくなったとか思ってないもん…」


「お母さんのことは気にしないで良いのよ?微笑ましいなぁ〜くらいにしか思ってないから!」


「その割にはすごい聞いてくるじゃんか!絶対面白がってるでしょ!?」


そう言うと、お母さんは首を傾げて笑った。

お母さんのせいで最近雫ちゃんを見る目がどんどんおかしな方向に行ってるような気がする…。


この前の先輩の誕生日会の後も、恵先輩と話した時に色々言われたし…。


◇ ◇ ◇


「沙織はともかく、あんた達仲良すぎない?春奈達みたいなイチャイチャカップルがもう1組出来るとかちょっとキツイからね?」


「ちょ!私達は別にそんなんじゃ…」


「結奈も春奈達と同様、彼氏の前だと性格変わるらしいけど、部活内で百合カップルがもう一個なんて出来たらさ、女子校でもないのに変に思われるって…。付き合うこと自体は良いけど、部室でイチャつくのはやめてね?」


「だから私達そんな関係じゃありませんって…」


その時の恵先輩も、お母さんと同じで私と雫ちゃんが好き合ってる。みたいな想像をしてるけど、そんなことはないはずで。


私はともかく、雫ちゃんは絶対そんなことないし。むしろ、私のことをただの友達として見ていると思う。

前に妹みたいって言われたような気もするけど…。


◇ ◇ ◇


そんなことより、今日は久しぶりに美月ちゃんと皐月ちゃんに会えるんだし少し早めに学校に行っときたい!


目の前のニヤついてるお母さんから早く離れたいってこともあった私は、いつもより早く朝ごはんを食べ終わってさっさと家を出た。


もしかしたら雫ちゃんが一緒に行こうって言ってくれるかもしれないけど、その時は先に言ってる!って言えば良いし。


1ヶ月ぶりに学校に行くから、道に迷わないか心配だったけどそんなことはなく無事に着けた私は、安心して思わずため息をついた。

また迷ったりしたら、雫ちゃんや皐月ちゃんにまた心配されるし…。


もう私も高校生なのに、2人とも私のことを子供みたいに扱ってくるし!夏休み明けでもちゃんと学校には着けたから!


「それが普通だと思うけどね…」


教室に上がって先に席に座っていた雫ちゃんに自慢げに言うと、そう言われた。

アプリもなにも使わなくても、やっと1人で通えるようになった!って言ってもそれが普通だと思う…。と呆れられた。


その後に来た皐月ちゃんに同じことを言ったら、同じように呆れながら雫ちゃんと全く同じことを言われた。


「あれ?美月ちゃんは?」


「あ〜美月は今日は休み。1人で考えたいことがあるらしい」


「え〜!久しぶりに会えるって思ってたのに!凛ちゃんも来ないの?」


「あ〜あの子は…復讐が完了した〜!って調子に乗ってたから、今日は来るんじゃないか?どうせ授業中はずっと寝てるくせにな」


少し呆れたようにそう言った皐月ちゃんは、やっぱり前と雰囲気が違った。

前はもっと笑ってたのに、今は全然笑わなくなったって言うか?どこか辛そうに見えるけど…大丈夫かな?


横に座ってる雫ちゃんも、どこか怖い感じがするし…どうしたんだろう。


「あ、そう言えば紅葉。美月から聞いて欲しいって頼まれてたことがあるんだけど、ちょっと来てくれないか?」


「ん?どこに?」


「んぁ〜。ちょっと着いて来て」


そう言われて、雫ちゃんに手を振って別れた私は、皐月ちゃんについて行って雫ちゃんが前によく使っていた非常階段まで来た。


雫ちゃんが使ってたって言うよりか、雫ちゃんに嫌われてる男の子が雫ちゃんと話す時に使っていたって言う方が正しいかもしれないけど。


私が非常階段に座ると、皐月ちゃんは携帯を少しいじってから私の隣に座った。

その顔が少しだけ怖くて、何か怒られるんじゃないかって身構えてしまったけど、皐月ちゃんから言われたことは結構意外なことだった。


「なぁ紅葉。中学の頃、一時期仲良く遊んでた女子のこと覚えてるか?その子がいじめられてた時に助けたのがきっかけで仲良くなったって言う」


「え?なんでそのこと皐月ちゃんが知ってるの?確かに…一時期一緒に遊んだけど、その後急に遊ばなくなっちゃったから…」


「実は、私も紅葉と同じ中学だったんだよ。美月も同じ中学だったけど、今とだいぶ雰囲気が違うし私と紅葉は一回も同じクラスにならなかったから見たことないだけだと思うぞ」


あ〜!最初の頃に美月ちゃんを見たことがあるかもって思ってたのはそれが原因だったんだ!


でも、今でもかなり可愛い美月ちゃんが、中学校の頃はどんな感じだったのか凄い興味がある…。

きっと、変わらず可愛いんだろうなぁ〜。


「まぁ、中学時代の美月は今は良いとして、その一時期遊んでた子は私の〜友達?なんだ」


「え?そうだったの!?あの子、今どうしてるの?あの時名前とか聞かなかったからどうしてるか心配してたんだ!」


「名前知らないでなんで一緒に遊べてたのか凄い不思議なんだけど、とりあえず置いとくわ。なぁ、例えばその子と会えるなら会いたいか?」


「会いたい!私が何かしちゃったせいで急に遊べなくなっちゃったんだと思うから、ちゃんと謝りたいの!ごめんねって…」


思えば、少なかった友達を失って、その原因がわからなくて数日泣いた記憶がある。

もう一回会えたら、私がなにかしちゃったのか聞いて、ちゃんと謝りたいって思ってた。


ただ、あの時はお互いあだ名で呼びあってて、本名は話したことなかったから、何組にいるのか分かんなかったしクラスも聞かなかったから…。


「あ〜1つ言うと、あの子はそんな理由で遊ばなくなったんじゃなくて…ん〜。説明がムズイな。まぁ、紅葉がなにかしたってことはないから安心しな?」


「そうなの?てっきり、私がなにかしちゃったから離れて行っちゃったんだって思ったんだけど…」


「原因はどっちかって言えばあの子にある。紅葉は気にしなくて良いぞ。ついでに聞くけど、当時はどうやって遊んでたんだ?名前も知らないで」


「えっとね!私がみなちゃんで、あの子がみっちゃんって呼んでたの!色んなところにも行ったよ!」


そう言うと、なんでか複雑そうに笑った皐月ちゃんは、1つ大きなため息をついた。

急になんでこんなことを聞いて来たのか疑問に思っていた私は、次の皐月ちゃんの一言でその理由を知った。


「実はな?この学校にその〜紅葉と遊んでた子がいるんだよ。ただ、本人が紅葉に自分のことを話して良いのかどうか悩んでてさ。自分から一方的に関係を終わらせておいて、今更紅葉の前に出るのは〜みたいな?」


「え?嘘!?この学校にいるの?全然知らなかった…。えそれほんと?」


「ほんとだ。むしろ、これだけ話してて気付かないのかってレベル」


「え?今の話の中にヒントあったの!?」


全然気が付かなかった…。誰だろう。私が知ってる人かな…。

他のクラスで知ってる人って言ったら沙織ちゃんしかいないけど、沙織ちゃんと皐月ちゃんが話してるところなんて見たことないし…。


っていうか、皐月ちゃんは基本的に美月ちゃんと話してるイメージがあるから、他の人とはあんまり話してない気もする。


「まぁ、その子のことはまた今度な。男子が言ってたけど、今日うちのクラスに転入生が来るらしいのな?もちろん今の話とは関係ないけど、紅葉にあの子が会いに行くかは結局本人次第だから、まぁ気長に待っててやって」


「え〜?なら、これだけ伝えてくれる?また一緒に遊びたいから、なるべく早くね!って」


なにか困ったように笑った皐月ちゃんは「分かった。伝えとく」って言ってくれた。


早くその子に会いたいなぁ〜。あの頃のこととか、今まで何してたのとか、話したいことがいっぱいある。

また一緒に遊びたいし、なんでもっと早く教えてくれなかったのかって…怒ったりもしたい。


「あのなぁ…。ここで泣くなよ…」


「ご…ごめん…。嬉しくって…」


皐月ちゃんは私の背中をさすって、ハンカチを貸してくれた。

少しして落ち着いた私は、皐月ちゃんにお礼を言って教室に戻った。


皐月ちゃんはもうちょっとしてから帰るって言ってたけど、教室に戻って来たのはHRが始まるギリギリだった。


◇ ◇ ◇


「まさか泣くとはなぁ〜。なに好きな子泣かせてんだよ美月」


私は少し呆れながら、紅葉と話してる時から繋がっていた電話の相手に話しかけた。


実のところ、今日いきなり中学時代いじめられてた時に助けてもらったのは私です!って言おうとしてた美月を止めたのは私だ。


8月末の全国大会の予選で、凛がこの前負けた相手に完勝してなぜか急にそう言いだした。


なんで急に言い出したのかは分からないけど、とりあえず今日は休ませて、代わりに私が紅葉に話を聞くことでなんとか我慢してもらった。


ただ、紅葉が泣き出してしまうのは予想外だったけど。


「紅葉ちゃんが想像以上に純粋だったんだもん!あれは…予想外だって…」


「いやそれは私も話してて思ったけどさ。でも、いきなり行くのはやばいって分かっただろ?」


「ん〜!分かったけど…。でも、皐月は今日から文芸部に行くんでしょ?絶対あの子と距離近いから…よろしくね?」


「できる限りは頑張るけど、状況によっては無理だからそこは我慢しろよ?」


力なくうなづいた美月は、その後も紅葉のことをひたすら話して来るから、教室に戻るのが少しだけ遅くなってしまった。


プールに行った後から夏休みが終わるまで紅葉に会わないって言ったのは美月なのに、そのせいで紅葉に対しての想いが強くなっている気がする。


これからどうなるか、少しだけ気合いを入れないといけないかもしれない。

次回のお話は8月26日の19時に更新します。


体調崩しているのは変わりありませんけど、だいぶまともな時にばー!って書いちゃってるのでなんとか大丈夫そうです。

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