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第73話 誕生日会 第2部

後半に雫ちゃん視点でのお話があります。


短めのお話が続きますが御容赦くださいm(_ _)m


文芸部の皆と合流してからなぜか顔が真っ青になってる雫ちゃんは、必死にスマホをスクロールしながら何かを探してるみたいだった。


その様子を哀れむように見ている朱音先輩は、少ししてうなだれた雫ちゃんを見て苦笑していた。

もっとも、苦笑してたのは沙織ちゃん以外の文芸部の先輩たち全員だったけど…。


「どうかしたの…?雫ちゃん」


「いや…なんでもない…。先輩たちは知ってたんですね…」


「昨日鈴音からそういう風な電話が来てね?まぁなんとなくは?」


「本当あの先輩私嫌いです!」


全く話が見えない私は、頭に?マークを浮かべてポカーンとしていた。

今なんの話をしてるのかさえ分からない。沙織ちゃんも私と同じような感じで、ただぼんやりしてる。


沙織ちゃんとはクラスが違うから部活動以外での絡みがほとんど無い。

だから少しは仲良くなっておきたいんだけど、いつも朱音先輩と楽しそうに話してるから邪魔するのも悪いかなって話しかけられないでいる状況で…。


「まぁ文句はあの子に直接言いな?すぐ近くだから」


「別にいいですよ…。悔しいですけど…助かったのは、事実なので…」


その言葉をなぜか私の方を見ながら言った雫ちゃんは、私と目が合うと直ぐに朱音先輩の方に向き直ってしまった。

私何か変なことしたかな?


意外にも本当に鈴音先輩の家は直ぐ近くで、さっきの公園から2、3分で着いてしまった。

鈴音先輩の家は二階建ての一軒家で、高級住宅街の中にあった。

先輩ってこんなに高そうな家に住んでるんだ…。


「いつ来てもすごいですね。鈴音先輩のお家…」


「まぁ…そうね。メグは何回目だっけ?」


「私と結奈は5回目くらいですかね…。春奈も多分何回か来たことあるんじゃ無いですかね?」


「なんでそこは疑問系なの…。って、ああ。あの子の場合、幼稚園か小学校くらいからの付き合いだっけ?」


そんなに長い付き合いなんだ…。私はそんな幼馴染?みたいな関係の人はいないから、少しだけ羨ましい…。


雫ちゃんはさっきからずっとスマホを眺めながら顔を赤くしてるけど…どうしたのかな本当に…。

時々、「あ〜」とか「はぁあ!?」みたいなことを言ってるけど…大丈夫かな。


「あの子のことは今はそっとしといてあげて。鈴音に会ったら多分落ち着くから…」


「は…はぁ。でも朱音先輩、雫ちゃんはさっきから何してるんですか?」


「ん〜。なんて言ったらいいかなぁ…。強いていうなら、見てるこっちが恥ずかしくなるような...恋バナ?」


「なんですかそれ…」


全く意味が分からない先輩の説明に混乱していると、目の前の門が開いていった。

前にテレビでみたお金持ちの家の門みたいだなぁ〜って思ってると、開いていってる門の右にあるインターホンからいきなり鈴音先輩の声が聞こえて来た。


「明後日くらいまで親いないからゆっくりしてきな〜」


いきなりですっごいビックリした…。

雫ちゃんもビクってなってたし、すごい怖かったらしい。

私と雫ちゃん以外は、同じ一年生の沙織ちゃんも少しビックリしてるみたいだった。


ただ、鈴音先輩の家に何回か来たことがあるらしい先輩たちは慣れているらしく、なんとも無かった。


見たことないくらい広い庭を見ながら先輩たちに着いていくと、綺麗な白いドアの目の前に着いた。

ただ、すごく綺麗なドアなのに、右下の方に薄く黒い何かで書かれたような文字が書いてあった。


なんだろうと思って私と雫ちゃん、沙織ちゃんも一緒に覗き込んでみると、


「私の家」


と小さいけれど綺麗な字でそう書かれていた。

私達3人はお互い顔を見合わせて、全員頭に?マークを浮かべて首を傾げた。

先輩たちにこれは何か聞こうと思ったその時、またいきなり目の前のドアが勢いよく開いた。


ビックリしすぎて、咄嗟に横にいた雫ちゃんに抱きついてしまった。


「よく来たな〜!って何やってんだ?」


そう言われて、私は雫ちゃんに抱きついてることに気がついて、慌てて離れた。

その時の私は、これ以上ないってくらい真っ赤になっていたと思う。


顔は見てないけど、なんとなく鈴音先輩が笑ってるような気がした。


「鈴音?後輩からかうのもそこらへんにしたら?」


「え〜良いじゃん別に〜。ほら入った入った〜」


「はぁ…。そういえば春奈は?」


「ん?ああ。主役にはもう少し後で来てもらう予定」


「ふ〜ん。今日はなるべくあんた達のことには口出さないけど、やりすぎないようにね?」


そう言われた後の鈴音先輩の声は、見違えるほど明るくなった気がした。

私はさっきのことでまだまともに顔を上げられないけど、多分すっごい笑顔なんだろうなぁ…。


いつまでもそんな状態なわけにもいかないから、雫ちゃんに手を差し伸べられてようやく立てた私は、雫ちゃんに手を引かれて鈴音先輩の家に入った。


◇ ◇ ◇


騙された…。やっと気付いたのは、文芸部の人達と合流した公園だった。

皆私がイメチェンしたのに、朱音先輩同様全く反応しなかったからだ。


朱音先輩の反応が軽すぎたところから、まさか…。とは思ってたけど、そのまさかが当たってしまった。


元々このイメチェンは昨日、今日のことをSNSで相談したらいろんな人からアドバイスをもらって、その中で良いなと思った人のを参考にして決行したものだった。


相手も女子高生だって言ってたし、なんだかこの格好、紅葉ちゃんが好きそうだなぁと思ったからその人の言う通りにしたのに、まさかそれが鈴音先輩の罠だったなんて…。


結果、紅葉ちゃんにはかなり受けが良かったから助かったけど、なんだか騙されたみたいで悔しい。

テンションが上がって、電車の中で「イメチェンしたらすごく反応良かったです!」とか報告したのがバカみたいで…。


思えば、私が紅葉ちゃんのことを好きだと自覚したのは、全く同じ状況だったような気がする…。

あの時もSNSの人達に相談して、それは恋だと言われて自覚したけど…。


「うわ…。やっぱりそうだ…」


案の定、今回の件を引き起こしたのと同じ人が、「もうそれは恋ですよ!告白しちゃいましょ!」なんて言ってる。


紅葉ちゃんのことが好きだってことは、なんとなくだけど納得して来た。

ただ、鈴音先輩がきっかけで自覚したってなると…なんだか複雑だった。


さっきのドアのことだって絶対狙ってやってるし、まだ紅葉ちゃんの顔少し赤いし、鈴音先輩はさっきからこっちをチラチラみては笑ってるしで。

今日一日でこの先輩の好感度がかなり下がった。


今私たちは鈴音先輩に案内されて、誕生日会をするらしいリビングに皆で向かってるところだけど、正直今すぐ紅葉ちゃんと一緒にプレゼントだけ置いて帰りたい。

もちろんそんなことする訳には行かないけど...。


だけどさっきのことがあってか、紅葉ちゃんは少しだけ顔を赤くしながらも私の手を離さずに着いてきていた。

この子、小動物感があってすっごい可愛い…。


「お〜い。イチャついてるとこ悪いけどさ〜スマホいじりながら歩くと危ないぞ〜?」


「別にイチャついてるわけじゃ無いです!それに!誰のせいだと思ってるんですか!?」


「なんのことか分かんないけど、歩きスマホ禁止な〜。横の彼女しっかり守ってあげろよ?」


「かっ!かのじょ…!?」


そう言われて、紅葉ちゃんの顔が一気に赤くなっていった。

もちろん、私も同じくらい赤いと思うけど、鈴音先輩は心底楽しそうに笑っていた。


これじゃまるで、少し前に鈴音先輩と春奈先輩が部室でやってた時みたいな感じだ…。確かこんな感じのことが何回かあったはず。


自分が春奈先輩と付き合えたから、今度は私たちをからかおうとしてるの…?今年でこの先輩がいなくなって良かった!

来年もこんな感じだったら…絶対耐えられない…。


「あのね…。あんたと春奈のことについては極力言わないけど、あの子たちのことは程々にしないと怒るわよ?」


「良いじゃん〜。どうせ春奈が来たらずっと春奈といるんだし〜。今だけだって〜」


「いやあの…春奈とあんまりイチャつかれると私達の方が恥ずかしくなってくるので極力控えてもらえると…」


「結奈は彼氏とイチャついてるから慣れてるだろ?メグは…頑張って!」


「でた先輩の謎理論…。結奈は良いとして、私はあんまり濃厚すぎると耐えられないですからね…」


少し疲れたようにそう言った恵先輩は、苦笑してる結奈先輩の方を恨めしそうにみた後、ため息をついた。

私と紅葉ちゃん、あと多分沙織さんも先輩たちのイチャつき具合をみると、結構恥ずかしくなるタイプだからいつまでいられるかわからないなぁ…。


できるだけ早めにプレゼントを渡して、いつ帰っても大丈夫なようにしといた方が良さそう。


「濃厚って言ってもなぁ〜。別に変なことはしないって〜」


「信じられるわけないですよね!?花火大会のこと私忘れてないですからね!」


「ん?なんかあったっけ?」


「もう良いです…。なんか自分が被害を受けそうなので…」


そう言って肩を落とした恵先輩は、隣で歩いてる結奈先輩に肩を叩かれて慰められていた。


それにしても、鈴音先輩って結構お金持ちなんだ…。

さっきから歩いてるこの廊下も、普通の家にしては広いし。


「あの先輩…。1つ良いですか?」


「ん?なんだ結奈?」


「道間違えてませんか…?前に来た時こんなに歩いた記憶無いんですけど…」


「ん?あ…リビング通り過ぎてた。ごめんごめん〜」


「なんか長いって思ってたらそういう事だったんですか!?」


「いや〜予想以上に面白かったからつい〜」


紅葉ちゃんはまだ下を向きながら歩いてるから表情は見えないけど、私達全員おんなじ気持ちだと思う。

鈴音先輩は、多分結構バカなのでは…。ということ。


それにしても、面白いからからかうっていうのは…ちょっと、いや本当にやめてほしい。


それから無事綺麗に飾り付けられたリビングに辿り着いた私達は、春奈先輩が来るまでになぜかお菓子を作ることになった。


その理由は説明してくれないし、たまに私のことをからかって来るしで、クッキーが出来上がったのは春奈先輩が来る10分前だった。


料理とかがあんまり得意じゃない紅葉ちゃん、沙織さん、恵先輩はテレビを見ながらゆっくり過ごしてたけど、私と朱音先輩、結奈先輩の3人は鈴音先輩にすっごいこき使われた…。

次回のお話は、8月14日の19時に更新します。


最近暑さで体調を崩していて、お話を書く時間をなかなか取れないでいるので、どこかでお休みをいただくかもです。

そうなった場合は御容赦くださいm(_ _)m

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