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第67話 唐突なお泊まり

今回は春奈ちゃん視点でのお話になります。


余談ですけど、最近やっとルビの振り方を覚えたので最初らへんの方にとりあえずルビだけ振りました!



「なぁ姉ちゃん。またあの女の人来てるんだけど」


夏休みに入って少しした休日。私は昨日徹夜で全部宿題を終わらせたせいで疲れて、ぐっすり寝ていた。そしたら、急に弟の声が聞こえて来て起こされた。


今が何時なのか分からないけど、まだ全然眠い…。もう少しだけ寝てたいんだけど私…。


「なぁ…結構大きい荷物持ってたんだけど急に泊まってくとか言われても困るぞ?」


「何言ってんの…。誰が来たって…?」


「だからこの前来た人だって!ほらあの〜なんて言うか…可愛い人…」


「ん?なんて?」


「だから!この前来た可愛い女の人がまた来てんだって!早く起きろよ!」


この前来た可愛い女の子…。その正体が分かるまで、寝起きの私には少しだけ時間が必要だった。

っていうかよく考えたら最近私の家に来た女の子って先輩しかいないのに、それが直ぐに分からないなんてよっぽど眠かったらしい。


それが誰か分かった途端、すぐに飛び起きて誠也に少しだけ待ってて欲しいと伝言を頼んだ。

渋々と言った感じで了承してくれたけど…早く軽く化粧して先輩に会う準備整えないと…。


「ん?あの子なんて言った?急に泊まってく…?嘘!?」


それがもし本当だったら…ちょっとどころかかなり不味いんだけど…。

いや、泊まってもらうこと自体は私は別に良い。

だけど…事前になんの連絡もなかったんじゃ心の準備とか色々足りない…。

とにかく、早く準備を終わらせて先輩に確認しないと…!


それから超特急で準備を終わらせた私は、パジャマ姿のまま下の階に降りた。

すると、テレビを見ながら何かをボリボリ食べてる弟の横でスマホをいじりながら先輩は待っていた。


っていうか…本当になんですかその荷物。私の聞き間違いであって欲しかったんですけど。


「ん?ああこれは後で話すな。でもな春菜〜。恋人を待たせるのはもうやめてな〜?」


その言葉を聞いた瞬間、ちょうどお茶を飲んでた誠也が少しお茶を吹いた。

あ…そういえば私と先輩の関係って教えてなかったっけ…。そりゃビックリするよね。

なんか…色々アドバイス貰ったのに最近ギスギスしてて言う機会がなかったって言うのもあるけどさ。


「あ弟君大丈夫?」


「あいや…大丈夫っす…。すいません。俺ちょっと用事思い出したんで出かけて来ます…」


「は!?ちょっとあんた何勘違いしてんの!?」


「いや勘違いとかじゃねぇよ。本当に用事思い出しただけ」


そのまま自分の部屋に戻って行った誠也は、1分もしないうちにドタドタと降りて来て、風のように家の中から出て行った。

なんで変なところで気を使うかな…。むしろ2人きりになった方が私は心配なんだけど。


「春奈の弟君面白い子だな〜」


「急に恋人とか言うからですよ…。話すの忘れてたんです…」


「ふ〜ん。まぁいいや。それでさ〜急だけど今日と明日泊めてくれない?」


「はい!?え急に何でですか!?」


「え〜?春奈と一日中いちゃつきたいから?」


好きな人にそんなこと言われて、顔を赤くしない人がいたら是非教えて欲しい。どうやったらそんなに堂々とできるのか教わりたんですけど…。


この先輩は、いつもこんな感じで笑ってるからこれが本気なのか冗談なのか分からないのがまた怖い…。

本気でそう思ってるなら…私の身が持たないので遠慮したいんですけど…。


「冗談に決まってんじゃんか〜。春奈のその顔私は好きだぞ〜?」


「先輩の場合、冗談のレベルが高すぎるんですよ!今のもちょっとだけ本音入ってますよね!?」


「よく分かったな。実は半分ほんと〜」


「半分は本当なんですか!?泊まるのは別に良いですけど…本当にやめてください…」


「ちょっと笑ってんじゃんか〜。まぁできるだけ頑張るな?」


「期待はしないでおきます…」


先輩は、信用ないな〜なんて冗談っぽく笑ったけど、こう言うことに関しては日頃の行いのせいで信用がないの分かってないんですか!?


っていうか、何気に泊まるのは良いって言っちゃったけど…やっぱりやめとこうかな…。

なんだか…凄く嫌な予感がする。


「大丈夫大丈夫!変なことはしないって〜」


「当たり前です!いや私が心配してるのはそこじゃなくて…。そもそも、なんで私の家に?」


「ん?ああ〜今うちに従兄弟が来ててさ〜。あんまり得意じゃないから逃げて来たんだよね〜。まぁついでに春奈の家に泊まろうかなって?何気に泊まった事無かったしな!」


「いや朱音先輩の家とかでも良かったじゃないですか…。なんで私の家なんですか…」


「だって朱音は最近勉強しかしてなくて構ってくれないしさ〜。恵はなんか夏休み入ってから冷たい気がするし、結奈は彼氏と旅行中で…春奈もなんか最近構ってくれなかったじゃん…。寂しかったんだぞ?」


そう上目遣いで言われた私は、かなり先輩にドキッとしていた。

一気に夏休みの宿題を終わらせて、いつ先輩に誘われても遊びに行けるように備えてたけど、そのせいで逆に先輩に構ってあげられなかったのは事実だし…。先輩もあと少しで受験のはずなのになぁ…。


「学校で猫かぶって優等生演じてた甲斐があったよな〜。朱音見てるとすっごい大変そうだし〜」


「猫かぶってたんですか…」


「先生の前だけな?部活中とかは素だぞ?正直、推薦貰えてなかったら春奈とこうやっていちゃつけてたか分からなかったしな〜」


「あの...今度からイチャつくってワード禁止にして良いですか…。なんか…すっごい恥ずかしいんですけど」


「その顔の春奈が一番可愛いからやだ〜。ほら早く部屋行こ〜」


顔が少しだけ赤い私と、終始ニヤついてる先輩は一緒に私の部屋に上がった。

先輩は着替えとかが入ったバックを片手に、もう片方の手は私の手を握っていた。


家の中なのに手を繋ぐ必要があるかって言われたら…多分、というか絶対無いけど、こうしてるとなんだか落ち着くから私も強く断れないって言うか…。


部屋について隅の方に荷物を置いても、私の手は離さない先輩にだんだん恥ずかしくなって来た私は、手を離すようお願いした。

ただ、こうしてたほうが落ち着くって私とおんなじような理由で断られてしまった。


それから弟が帰ってくるまでの数時間、私達はずっと手を繋いだままあれこれ話していた。

来年の私の受験の事とか、夏祭りでの事とか、後輩の緑川と紅葉の様子の事とか。


「先輩…今度はあの子達からかうつもりですか?」


「人聞き悪いな〜。面白そうだから卒業までにくっつけたいな〜って思ってるだけじゃんか〜」


「それ…本人達嫌がるんじゃ無いですか?本人達の気持ちがどうなのかとか私達知らないですし…」


「春奈は私が他の女子の為に何かするの…嫌か?」


「別に嫌ってわけじゃ無いですけど…なんかこう…モヤっとするって言うか…。別に嫉妬してるとかそう言うのじゃ全然無いんですけど。なんかこう…落ち着かないって言うか…」


「そっか〜。私も春奈が他の女子と楽しそうに話してたらなんかやだな。男子とか特に!まぁ恵とかは別として…そんな事してたら〜お仕置きとして春奈にいっぱい甘えるから」


「それってお仕置きなんですか…?」


少しだけその様子を想像してしまった事にその後すぐ後悔した。

いつもはからかってくる先輩が、子猫みたいに甘えて来てくれるところなんて…幸せ以外の何者でも無い…。

むしろ、いつもよりそのほうが可愛いまであるかもしれない…。


「まぁ…私がして見たいってほうが大きいかもな!なんか面白そう!」


「面白そうで私をからかうのやめませんか…?」


「お!もうこんな時間か〜。そろそろ夕飯の準備しないとだな〜」


「露骨に話逸らしましたね!?」


「まぁまぁ〜。今夜は私が作ってあげるからさ〜」


そう言いながら数時間ぶりに手を離して先輩は下に降りていった。

そのあと直ぐ、弟が部屋に入って来て詳しい説明を求められた。

説明し終えた頃、下から良い匂いがして来たと思ったら先輩の呼ぶ声が聞こえて来た。


「今日は私特製のオムライスだ〜。結構うまいだろ〜?」


「なんで私のだけハートが描かれてるんですか…」


「春奈が好きだからに決まってるじゃん〜」


オムレツにケチャップで描かれたハートを見てそう聞いた私は、何となくわかってた答えが帰ってきて、正直しまったと思った。

こんなやり取りをしてると…


「あ〜じゃあ俺は自分の部屋で食べるんで…ここは2人でどうぞ…」


ほら…。変な気使って2人きりにしてくるじゃん…。

食器とお茶をお盆に乗せて逃げるように二階に上がっていった誠也はともかく…何だろうこの状況…。

2人きりの食卓って…なんかすっごい変な感じがする…。


「このあとのお風呂一緒に入るか?」


「は…はい!?」


結構美味しい先輩が作ってくれたオムライスを食べていると、不意に目の前にいた先輩から爆弾発言が飛んできた。

何を言ってるのこの先輩は…。入れるわけないじゃん…。いろんな意味で無理です。


「別に私も本気で入ろうって言ったわけじゃ無いけどさ…。そんなに驚かれると本当に入りたくなるよな〜」


「本当に無理ですからね!?」


「分かってるって〜。私も子供じゃ無いんだからさすがに恥ずかしいって〜」


「いやそう言う問題じゃ無い気もするんですけど…」


そのあと戻ってきた誠也が、今日俺友達の家に行ったほうがいいですか?とか意味のわからない事言い出すから余計にややこしくなった。普段そんなに気使わないくせに何でこんな時だけ余計なことするの本当に…。


その後、お風呂上がりでほんのり顔の赤いパジャマ姿の先輩を見たときは、本当にやばかった。

なんかその…すっごい可愛くて…もうヤバイ!本当に可愛い!


私は実際に声に出したわけじゃ無いけど、私がお風呂から戻ってきた時、先輩が私と全く同じことを言ってきて、お風呂上がりなのに更に体温が上がった。

なんだか、この姿の先輩を見るのって初めてだから新鮮と言うか…またさらに先輩のことを好きになったと言うか…。


「今日春奈のベットで寝てもいいか?」


「あ…なら私は床で寝ますね?」


「何言ってんだよ〜。春奈もベットで寝るの〜!」


「それ私が無理ってわかってて言ってますよね!?」


「最近構ってくれなかったお仕置き〜。罰として一緒のベットで寝なさい」


笑顔でそう言われたら…私が反論できないことを分かってるんだこの先輩は…。

案の定、先輩の隣で横になった私は、隣に先輩がいるせいで心臓がずっとドクドク言って全く寝れなかった。


先輩の可愛い寝顔が見れるのは最高だけど…それ以上に私がどうにかなっちゃいそう…。

先輩から私と同じシャンプーの香りもちょっとするし…。


そんな時だった。また先輩から爆弾発言?を言ったのは...。


「ん〜。春奈〜好きだぞ…」


「え!?」


多分寝言だろうけど!絶対寝言だけど!何でこの人は夢でもこんなことが言えるの!?

多分、私はお風呂上がりの時より顔が真っ赤になってると思う。頭から少しだけ湯気が出てる気さえする。


そして、先輩が完全に寝てると思ってた私は、普段は言えないけど、相手は寝てるんだから大丈夫と必死に言い聞かせて思い切って言ってみた。


「私も大好きです…。先輩…」


その後直ぐに自分の顔を手で覆ってしまったから、その時先輩が少しだけ笑ったのを私は見逃した。

次回のお話は7月27日の21時に更新します。


今回のお話はかなり私自身気に入ってます!

あと数話先輩達のお話が続きます。

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