表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/153

第64話 夏休みらしい事

「みな〜?そろそろ起きないとあの子待たせるわよ?」


プールに行くその日、私はお母さんのその言葉で起きた。

っていうか…あの子って誰のこと?いや大体予想はつくけどさ…。

良い加減その勘違いやめてくれないかなぁ。


「さぁ早く早く〜!今日はプール行くんでしょ〜?楽しみね〜!」


「なんで私よりお母さんがはしゃいでるの…」


「え〜!?可愛い娘のデートなんだから〜はしゃぐでしょ普通〜!」


「だからデートじゃないってば!美月ちゃんや皐月ちゃんも来るんだから!」


「あ〜あの面白い子達ね〜。え〜私も行きたい〜!」


うちのお母さんってもう直ぐで38とかだった気がするんだけど…。

なんでこんなに私より女子高生っぽいの?恋愛が絡むと直ぐこんな風になっちゃうのはどうかと思う…。

普段は普通に優しいお母さんなのに…。


「も〜!本当に来ないでね!?」


「分かってるって〜。娘の恋路を邪魔するもんですか〜!」


「もういいよそれで…」


何を言っても無駄らしいからもう諦めよう…。私は別にそんな気なんて無いんだけどなぁ…。

っていうか、なんで美月ちゃん達のこと面白い子達って覚えてるの…。凛ちゃんは面白いだろうけど、皐月ちゃんはどっちかって言うと雫ちゃんみたいにかっこいい感じだし、美月ちゃんは可愛いし…。


ちなみに、雫ちゃんの事を私の好きな人って認識だけはどうか変えて欲しい。雫ちゃんに変な誤解されちゃうし…。


「本人には内緒なのね。分かった!」


「分かってないでしょ!本当にやめて!」


「私はあなたの好きな人より皐月ちゃんだっけ?あのちょっと変わった子。あの子の方が気になるなぁ〜」


「…。なんでまた」


「え〜?なんか面白そうじゃん!」


もうだめだこの人…。皐月ちゃんと次会わせちゃったら何か大変な事をしそう…。

なるべくもう私の家には呼ばないようにしよう…。そう密かに心に決めた私は、目の前でまだ浮かれてるお母さんを少しだけ呆れた目で見た。なんでこんな歳で恋話にこんなにウキウキできるんだろう…。はぁ…。


私がお父さんを毛嫌いしてる事に気を使って、お父さんと私が家で会う事は極力無いようにお母さんがやってくれてるから朝ご飯は私達2人だけで食べる事ができた。


お昼には雫ちゃんが迎えにきてくれるはずだから、それまでに準備しないと…。

水着は去年お母さんと海に行った時に着てたやつが入ったからそれを持って行く事にした。


せっかくなら新しいの買えば?って言ってたお母さんの目が笑ってたからなんだか怪しくて拒否しちゃったけど…買ったほうがよかったかな?なんて今になって後悔してる。


「みな〜。雫ちゃん来てくれたわよ〜」


「あ〜うん。ちょっと待って〜」


予定の5分くらい前に来た雫ちゃんに少しだけ待ってもらって私も合流した。

雫ちゃんと私の2人は一緒にプールに向かって、他の3人とは向こうで合流って事になってる。

相変わらず私1人だと電車に乗せるのが怖いって理由でこうなってしまった…。

別に毎回迷子になるわけじゃ無いんだけどなぁ…。


「ほとんど毎回迷子になってるから皆心配するのよ…」


「え〜?たまたまだって〜!最初はちゃんと行けたじゃん!」


「昨日皐月さんと話してたんだけど、あれは多分奇跡だったって言ってたわよ?私もそう思うし」


「雫ちゃんまで〜!私もう子供じゃ無いよ!?」


ちょっとだけ頬を膨らませながらそう言うと、雫ちゃんは苦笑いしながら子供だよ〜なんて言って来た。

私もう高校生だから子供じゃないって…。方向音痴なのは…大人でもそういう人いるんだから関係ないじゃん!?


「大人は自分のこと大人だなんて言わないと思うよ…?」


「え!?いや〜でもさ!私子供じゃないから!」


「ん〜。そうやって怒るところが子供っぽいって言われるんじゃない?」


「え…!?あ…なら何も言わない!」


それから納得はしてないけど、その話は終わった。

まだちょっとだけ怒ってる私は、駅までずっと納得行かなかったけど!

ちなみに、今回はちゃんと乗り場まで1人の力で行けたから多分子供じゃないね!うん!


「ここまで来るのに10分近くかかったけどね〜」


「え!?いや...ほら!駅って道が複雑じゃん〜?それでちょっとさ〜」


「…。乗り場向こうとこっちで4つしかないよね?」


「あ〜喉乾いて来た〜。雫ちゃんどう!?」


「それで誤魔化したつもり?はぁ…」


私はサッとその場を離れた。だってさ〜!何個も道があったら迷うじゃん?逆に迷わない人なんかいないと思うの!

初めての時は目の前に同じ方向に行くって話してた人が居たから着いて行っただけで...。


駅の中って、看板はあるけどなんて書いてあるかわかんないし…駅員の人に聞くのもなんかちょっと恥ずかしいしで、少し苦手。


自販機でオレンジジュースとココアを買って雫ちゃんの所に戻ると、なぜかまた苦笑いされた。

さっきの事忘れてもらおうって思ってココア買って来たのに…。


「あ〜いやいや。そっちじゃなくてね?」


「え?どゆこと?」


「ううん。紅葉ちゃん。一緒に写真撮らない?」


「え?うん!いいよ〜」


急に今買って来たオレンジジュースとココアを持ってツーショットを撮らないかと言って来た雫ちゃんに、少しだけビックリしたけど何事もなく、いったって普通に写真を撮り終えた。

なんでさっき苦笑いしてたんだろ…。あこのジュース美味し。


「あ…紅葉ちゃん。ちょっとこっち」


「え?なんで?どうしたの?」


「ほら。あれあれ…」


そう言いながら雫ちゃんは少しだけ後ろに下がって手招きしながら、私がなんの事か分からないでいると、私の後ろを指指した。

雫ちゃんが指差した方向を一緒に見てみると、同じホームの少しだけ向こうに春奈先輩と鈴音先輩がいるのが見えた。


夏休みなのになんで2人とも制服着てるんだろう…。今日って別に何もなかったよね?


「制服デートか〜。いいなぁ〜」


「え?何それ」


「あ…。あ〜そういえば今日の服似合ってるね〜」


「えそう!?ありがと〜!これ昔の友達に貰ったものなんだけど気に入ってるんだ〜!」


「昔の友達って中学生の時の?」


「うんそうだよ?確かね〜これと他にもう一個貰ったんだけど、そっちも気に入ってるんだ〜!」


「そうなんだ…。聞かなきゃよかった…」


「え?何か言った?」


「何も?あ電車きたよ」


電車に乗り込む時、鈴音先輩たちも同じ電車に乗り込んだ所を見たのは、多分だけど気のせいじゃない。

しかも、降りた駅も一緒だった気がする…。なんだか…嫌な予感がするようなしないような?


幸いと言うべきなのか、鈴音先輩たちは駅を出ると私達とは別の方向に歩いて行った。なんでか知らないけど雫ちゃんは寂しそうな感じだったけど…。


「お〜紅葉〜。こっちだこっち〜」


皐月ちゃん達3人と合流したのは、お昼の13時を少しだけ過ぎた頃だった。

駅の近くのカフェで集合って事になってたんだけど…凛ちゃんなんで泣いてるの?すごい涙目だけど…。


「あ〜紅葉ちゃんたすけて…。皐月がね?宿題やれって…」


「凛が明後日来れないとか言うからだろ?ほらここ終わらせたらなんか奢ってやるから」


「紅葉ちゃん…」


「あ〜美月ちゃん今日の服かわいいね〜!」


横目でみた凛ちゃんがすごい悲しそうな顔してたけど…皐月ちゃんの私を見る目の奥が笑ってなくて怖かったんだもん…。

皐月ちゃんの横に座ってる美月ちゃんに逃げるのは自然と思うんだ…。毎回ごめんね凛ちゃん…。


「ありがと!紅葉ちゃんも今日の服かわいいよ!私が〜じゃなくて、うん!可愛い!」


「ありがと〜!」


それからしばらく私と美月ちゃん、雫ちゃんの3人は、凛ちゃんが皐月ちゃんに怒られてる所をあえて見ないようにしながらおしゃべりを続けた。


店内は駅前のカフェだからなのか、それとも夏休み中だからなのか制服姿の人達が多かった。

そういえば、さっきの鈴音先輩達ってどこに行ったんだろう…。


「あの先輩の事だし…どこ行ってても全然不思議じゃないけどね…」


「まぁ...そうだけど。そういえば、なんでここ制服の人がこんなにいるの?みんな部活帰りとかなの?」


「え!?あ〜なんて説明したの?」


「してないわよ!制服デートってポロって言っても分かんないって言ってたし!」


「紅葉ちゃんにはまだ早いかなぁ〜?」


また子供みたいな扱いをされて、少しだけムッと来てしまった。だから私は子供じゃないってば!


あれ?あの人どこかで見たことある気がする…。このカフェの中で制服じゃないのって私達とその子だけだったからなんとなく目に入った、外が眺められるカウンター席に座っていた金髪の女の子。

どこで見たんだっけ…。前もどこかのカフェであったような気がするんだけど…思い出せない。


「終わったぁぁぁ…」


凛ちゃんの心からのため息で私の考えは一瞬で無くなってしまった。

すっごいくた〜ってなっちゃってるけど…この後プールだよね?大丈夫?


「大丈夫じゃない…」


「凛は少し休ませれば復活するからもうちょいだけここにいるか」


「ちょっと!?後3時間くらいここでゆっくりしたいんだけど…」


「はぁ〜本当疲れたな。美月なんか奢って」


「無視ですかそうですか〜」


「凛ちゃんお疲れ様〜」


「紅葉ちゃんってたまに怖いけど優しいよね!皐月なんかとは比較にならないくらい!」


わざとそう言ってる風にしか聞こえないのになんで頭を抑えながら言うのか。

チョップされるのは嫌なんだ…。たまに怖いのは… 巻き込まれたくないせいだから。ごめんね。

そう心の中で謝った私は、凛ちゃんにもう少しだけ優しくしてあげようと密かに思った。


それから凛ちゃんがチョコパフェを美味しそうにパクパク食べてるのを眺めながら、少しの間おしゃべりをして結局美月ちゃんが凛ちゃんの分まで払ってあげていた。


なんというか…いつも通りだなぁ〜って。そう思った。

ここからプールまでは歩いてすぐらしいから、今から楽しみ!

次回のお話は7月18日の21時に更新します。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ