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第38話 お昼ご飯と意外な遭遇



 私たちが電車から降りると、かなり大きい駅みたいでそこら中にいろんな人がいた。ちょっとぼーっとしてたらすぐに逸れてしまいそうで少し不安になってきてしまった。


 電車の中で美月ちゃんとずっと繋いでた手はさすがに話しちゃったけど、私も美月ちゃんも顔が赤い。


「紅葉〜。逸れるなよ〜?美月もほら。顔赤くしてないでちゃんとしな?」


「分かってる!みなちゃん。逸れちゃ大変だし……」


 そう言いながら電車の中でも繋いでた右手を差し出してきた美月ちゃんはさっきよりも顔を赤くしていた。

 私もさっきより少しだけ顔を赤くしながら手を繋いで急いで横を歩いた。


 雫ちゃんでもないのになんでこんなにドキドキするんだろう……。

 美月ちゃんの顔が赤いから私もなんとなく恥ずかしいのかな……。


「ねぇ皐月〜。あの2人あんなんで大丈夫なの?」


「ん〜。まぁ大丈夫なんじゃないか?美月が買い物が終わるまで無事でいられるかは分からんけど……」


「それ大丈夫じゃなくない?」


「まぁそれはそれで面白いから良いんじゃない?それより、今日は凛の服も買う予定なんだからな!?忘れるなよ?」


「だからお金持ってこいって言ってたの!?いや……じゃないよ!うん!買う買う!」


 私と美月ちゃんが2人で歩いてる時に、私たちのちょっと前の方を歩いてた皐月ちゃん達はそんな会話をしてたけど、私は正直それどころじゃなくて……あんまり気にならなかった。


 駅から出ると、目の前にいきなり少し大きめの交差点が見えて、周りにはいろんなお店が並んでいた。

 カフェや映画館……ファストフード店とか……どれくらい電車に乗ってたのかそんなに覚えてないけど……結構遠くまで来たと思う……。


「なぁ美月。そろそろ手離してやれよ……。さすがにもう大丈夫だろ……」


「え?あ!ごめんねみなちゃん!」


「ううん!ありがと!」


「あのさ、見つめあってるとこ悪いんだけど、早く行くぞ〜」


 皐月ちゃんの一言で、少しずつ治まって来てた恥ずかしさが一気に浮上してきて、また顔が赤くなって来てしまった。

 別に見つめあってたわけじゃないもん……。ていうか、そんな言い方しなくても……

 美月ちゃんも顔真っ赤にしちゃってるし……。


 駅の中ほどではないにしても、それなりに人が多いせいなのか、目的地までの距離が思ったよりあるらしく、結構歩いてるせいなのか段々と冷静になって来た。まだちょっと顔は赤いかもしれないけど……

 もう駅から歩き出して15分くらい経ってる気がする……。


「ねぇ皐月まだ〜?」


「普段から引きこもってるゲームオタクさんはもうキツイのか?」


「そんなこと言ってもさ〜……」


「もうちょっとだから頑張りな?」


 そう言いながらも、もう自力では歩きたくないのか凛ちゃんは皐月ちゃんの手を握って引いてもらっていた。

 電車に乗る前の私もあんな感じだったのかな……。


「さっきはごめんね?皐月が変なこと言ったせいで……」


 ちょっと先を歩いてる2人を見ていると、隣にいた美月ちゃんが突然謝って来た。

 まだちょっとだけ顔が赤いけど……多分2人を見て私みたいにさっきのことを思い出しちゃったんだと思う……。


「ううん!全然大丈夫だよ!私こそごめんね。迷惑かけちゃって……」


「迷惑だなんて!全然……。むしろ……」


「?むしろ……どうしたの?」


「え!?ううん!なんでもない!」


「そういえば、今日の朝ちょっと様子が変だったけど何かあったの?」


「それは……えっと……楽しみだったから……!」


「そうだったんだ!私もすっごい楽しみにしてたんだ〜!でも……本当にお礼がこんな事でいいの?」


「うん!また一緒にどこかに行きたいなって思ってたんだ!」


 すっごく嬉しそうにそう言ってくれる美月ちゃんは、いつもの何倍も可愛い笑顔で笑ってくれた。

 別に……誘ってくれたらいつでも一緒に行くのに……。


「ほら凛。着いたから離れて。さすがにちょっと恥ずかしい……」


「え〜良いじゃんか……。って!ここ駅のすぐ近くじゃんか!なんでこんなに歩いたの!?」


「ちょっと……道間違えた……。ごめん……」


「へ〜。皐月でも間違えるんだね〜」


「うるさいな〜!ほら行くよ!」


 皐月ちゃんが道を間違えるなんて珍しい……。っていうか、私達が出てきた所のすぐ近くじゃん……。

 私でも間違えないと思う……。なんで……。


 モールの中はすごい人で溢れかえっていて、何かの良い匂いもしていた。

 この前みんなで行ったモールより少し小さいけど、中にいる人はこっちの方が多そうだった。

 はぐれないようにしっかり皐月ちゃんの後をついて行った。美月ちゃんももちろん一緒に横を歩いてきてくれた。


「とりあえず、まずはお昼でも食べるか。それで良いか?」


「私は良いけど……。美月と紅葉ちゃんは?」


「私も別に良いよ。お腹空いてるし……」


「うん。私も……」


 全員一致でまずはお昼ご飯を食べることになって、フードコートに向かった。

 2階に上がって左に行ったところにあったフードコートの中には、まだちょっと早いせいか、少しお客さんは少なめだけど、それでもそれなりにお客さんがいてびっくりした。


 私は別になんでも良かったから注文を皐月ちゃんと凛ちゃんに任せて、私と美月ちゃんは座れる席を確保する事にした。


 少し探したらすんなり空いてる席が見つかって、駅が見渡せる窓際の席に荷物を置いたら、美月ちゃんも注文をしに行ってしまった。


 急に1人になってしまった私は、外の景色を見ながらぼーっとしていた。


 そのせいか、皐月ちゃんが目の前の席で私を見ている事に気がつかなくて、気付いた時にすっごく恥ずかしい思いをしてしまった。

 いたなら声をかけてくれれば良いのに……。


「いや……なんかぼーっとしてるから面白くてさ。ほら。買ってきたぞ」


「も〜!あ。たこ焼き?ありがと〜」


「どういたしまして。それで良かったか?」


 なんでも良いって言った私のわがままに何も言わずに買ってきてくれた皐月ちゃんって、凛ちゃんにはあんなだけど実はとっても優しいのかも……。


 そんな皐月ちゃんの手元にあったお皿には、デミグラスソースか何かがかかったオムレツが乗っていた。


「うん!皐月ちゃんは……オムライス?」


「美味しそうだったからラーメンやめてこっちにした。そういや美月は一緒じゃないのか?」


「うん……。荷物置いてお昼ご飯買いに行ったよ?」


「はぁ……。まったく……。せっかく2人にしてやったのに……」


「ん?どうしたの?皐月ちゃん」


「なんでもない。凛は多分もうすぐ帰ってくるだろうけど……美月がどこまで行ったか分からないんじゃなぁ……」


 美月ちゃんが離れる時、すぐ戻るから!って言ってたし、多分すぐ戻ってくると思うんだけど……。


 そして、皐月ちゃんが帰ってきた事に気付いてから3分くらい経った頃、凛ちゃんがラーメンが乗ったお盆を持ちながら帰ってきた。

 そして、凛ちゃんの後すぐに美月ちゃんも帰ってきてくれた。


「美月〜。私に食べたいもの送ってきてくれりゃ買ってきてあげたのに……」


「そんな事言われても……。ちょっと限界だったし……」


「はいはい。ほら。早く座りな?」


 私の隣に座った美月ちゃんは、私と同じたこ焼きを買ってきたみたいだった。

 私のは明太子が乗ったやつで、美月ちゃんのは普通のたこ焼きだったから2人で半分ずつ分け合って一緒に食べた。

 少し美月ちゃんの顔が赤かったのはなんでなんだろう……。


 私と美月ちゃんは凛ちゃんと皐月ちゃんより量が少なかったからすぐに食べ終わって、私はお手洗いに向かった。

 案の定、お手洗いまでの道を教えてもらったのに迷ってしまってちょっと泣きそうになってしまった。


 どうしよう...戻る方向も分かんないし……。案内板を見ても何が何だか全然分かんないし……。


「ん?何やってんだ?こんなところで」


 スマホとかも置いてきちゃったからどうしようか迷っていた時に、聞いたことがある声で話しかけられて振り向くと、そこには鈴音先輩と春奈先輩が立っていた。

 この前商店街で迷ってしまった時に助けてくれた美月ちゃんみたいに、この先輩2人が神様みたいに思えてしまった。


「えっと……友達と一緒に来たんですけど……迷っちゃって……」


「はぁ……。で?その友達はどこにいるんだ?」


「えっと……フードコートに……」


「……。なぁ。ちょっと向こうにフードコートあるの見えてないのか?」


 そう言われて鈴音先輩が指をさした方向を見てみると、確かにフードコートがあって……自然と涙が溢れて来てしまった。

 良かった……。迷子にならなくて……。


「高校生にもなって迷子になるなよ……。じゃあ私達はこれでな。また月曜日にな〜」


「あ!ありがとうございました!」


「私達は何もしてないけどな……」


「そういえば、先輩達は何でここに?このモール……学校から結構遠いですよね?」


「ん〜?春奈がデートしてくださいって言って来たから……」


 そう言われて春奈先輩を見てみると、顔を真っ赤にしながら両手で鈴音先輩の左手を握っていた。

 ちょっと震えてるし……。さっきの美月ちゃんより全然顔が赤い気が……


「邪魔しちゃって……ごめんなさい...」


「全然良いぞ。な?春奈」


「あ...いや...私は...その」


「どうしたんだ?そんな顔して〜」


「もう!先輩のせいじゃないですか!」


「そうだっけ〜?あ〜ほら。そんな顔するなって。ごめんごめん」


「もう!ほんとに...」


「...ほんと春奈って可愛いよな〜」


 その言葉を聞いた春奈先輩は、だんだんと顔を赤くしていって、私は思わず、逃げるようにその場を離れて、まっすぐフードコートに走ってしまった。

 あそこにいたら……私も恥ずかしくなる気がする……。


 少し離れてから改めて先輩たちの方を見てみると、まだ春奈先輩が顔を赤くしながらなにか話してるみたいだった。


 みんなと合流した時、迷子になったことを話したら遅いからそんな気がしてた……。って言われて、今度から1人で行動しちゃダメって言われてしまった……。まぁ……誰かが着いてくれてた方が安心なんだけど……。


 それにしても……鈴音先輩と春奈先輩って休日でもあんな感じなんだ……。

 思い出しただけで少しだけ顔が赤くなって来てしまってるけど、早く忘れないと……。




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