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第33話 中間考査に向けての勉強会

 勉強会当日、珍しく早めに起きた私は、皆が集まってくる11時までに、出来る限り自分の部屋を片付けていた。

 もちろん、リビングで勉強したいって私はお母さんに言ったのに……昨日……


「好きな子が来るんでしょ?だったらあなたの部屋で勉強すればいいじゃない。あなた入れても5人なんだから。せっかく好きな子が来るんだったら自分の部屋をアピールしなさい」


「だから好きな人なんていないってば!前も言ったけど来るの皆女の子だってば!」


「うんうん。明日早めに起こしてあげるから部屋の片付けしなさいね」


「私の話……聞いてる?」


「あ。お母さんは出来るだけ邪魔しないからね!」


「そういう事じゃなくて!」


 みたいな感じで……無理やりというか……なんというか……。

 皆女の子って言ってるのに私の好きな人が来るって……。話をちゃんと聞かないんだから……。


「そろそろ8時よ〜。起きなさ〜い」


 部屋の片付けをしながら昨日のお母さんとの会話を思い出していた時、部屋の前からお母さんの声が聞こえた。

 私が起きたのが7時ちょっと過ぎだったし、下には降りてなかったからお母さんはまだ私が寝ていると思ってるらしい。


 そこで、ちょっとした仕返しを思いついて急いでベットに潜り込んだ。


 ちょっとすると、お母さんが部屋に入ってきて、ベットの中にいる私を揺すりながら、


「今日あなたの好きな人が来る日でしょ?早く起きなさ〜い」


「ん〜。後1時間……」


「あ〜そう。昨日忘れてたけど冷蔵庫にあなたが好きなシュークリームがあるんだけど〜。いらないの?」


「嘘!?食べる!」


「やっぱり起きてたのね。何やってるの……」


 お母さんは私が起きてたことなんてお見通しだったみたいで、シュークリームにつられて思わず飛び起きてしまった私を、呆れたような目で見ていた。シュークリームは……ずるい……。


「あ……。いや違うの!今起きたの!それで?シュークリーム食べていいの?」


「それは、みんなが来てから。ほら。早く部屋片付けちゃいなさい。お母さんは朝ごはん作ってるから」


「わかった!」


 それから10分くらいして、下からお母さんが私を呼ぶ声がして、降りてみると朝ごはんを用意して待っててくれた。


 朝ごはんを食べてる時、すっごくニヤついてたのは、多分だけど私の好きな人がどんな人なのか想像してたんじゃないかな……。

 だからそんな人いないって言ってるのに……。


「それで?部屋の片付けの方はどう?進んでる?」


「片付けって言われても……元々そんなに汚してないもん……」


 そう。私の部屋は多分比較的綺麗な方だと思う。他の人の部屋にあまり入ったことないから分かんないけど……。


 しかも、私の部屋には勉強机とベット。エアコンと……後は……雫ちゃんから貸してもらってる小説。

 中学生時代に友達と一緒にゲームセンターに行った時にとったぬいぐるみが何個かあるだけで……。


「学習机をみんなで勉強しやすいような机に変えないとでしょ?後は……私の部屋に敷いてるカーペット貸してあげるからそれも敷いて……。部屋に掃除機かけたら教えて。そこからは手伝ってあげるから」


「分かった……。後それとさ〜……」


「ん?何?」


「私の好きな人が来るって思ってるみたいだけど、何度も言ってるけど今日来る子皆女の子だからね?」


「分かった分かった。そんなに怖い顔しない」


 そう言ってるお母さんの顔は……相変わらず笑ってて……本当に分かってるのか怪しい……。

 なんだか、みんなに変なこと言いそうですっごく怖い……。


 一応、今日来る予定の雫ちゃん、美月ちゃん、皐月ちゃん、凛ちゃんに、お母さんが変なこと言ったらゴメンね。って言っとかないと……。今日だけでも心配なのに……勉強会は明日もある……。何も起きないといいけど……。


「あ……。来た!」


 11時より5分ほど前に、チャイムが鳴り、私は嬉しくなって相手も確認しないで勢いよく玄関を開けてしまった。


 目の前にいたには、雫ちゃん達じゃなくて、宅急便の配達員さんだった。

 私が勢いよく飛び出したからなのか、配達員さんはすっごく驚いていた。


「あ……。ごめんなさい……」


「え!?あ……いえ。こちらこそ……。お届けものです……」


 配達員さんは、私の顔を見るなり、被っていた帽子を深くかぶり直して、顔が見えないように隠してしまった。

 ちょっと気になったけど別に気にしないでちょっと大きめの荷物を受け取った。

 それにしても……結構若い人だったなぁ……。


「お母さん〜。なんか来た〜」


「ん〜?ああ。お父さんからみたいね。中は後でね。今は〜ほら。もう来てるみたいよ?」


 そう言われて窓の方を見て見ると、確かに雫ちゃんが家の前の道で待っていた。

 多分美月ちゃん達を待ってるんだろうけど……さっきの……見られたかな……。恥ずかし……


「お母さん!この服変じゃないよね!?大丈夫よね!?」


「別に変じゃないから早く行ってあげなさい」


「分かった〜!」


「ふーん…………あの子か……」


「ん〜?どうしたの?」


「なんでも〜?」


 お母さんが小声で何か言った気がしたけど……気のせいだったみたい。

 そのまま私は家から出て、いつもとだいぶ雰囲気が違う雫ちゃんと合流した。やっぱりさっきのは見られてたみたいで、ちょっと笑われてしまった……。


 それにしても……いつもの学校での雫ちゃんはクールでかっこいいいイメージなのに、今はなんだか……どっちかというと可愛いイメージが……。黒っぽい色のセータを着てる雫ちゃんは……背伸びをしてる子供っぽくて可愛い……。


 先に家の中で待つのかと思ったけど、ここでみんなが来るまで待つって雫ちゃんがいうから……私も一緒に喋りながら待つことにした。


 少しして、美月ちゃんと皐月ちゃんが来て、最後に凛ちゃんが到着した。

 相変わらず一番最後だった凛ちゃんに皐月ちゃんが怒ってたけど……。


 美月ちゃんは、ピンクの可愛いワンピースで、皐月ちゃんは黒いパーカー。凛ちゃんはちょっと大きめの赤いジャージを着ていた。

 なんでジャージ……?と思ったけど……美月ちゃんと凛ちゃんは慣れてるのか何も言ってなかった。

 でも……大きめのジャージをちょっと恥ずかしそうに着てる凛ちゃんはなんだかちょっと可愛かった。


「お邪魔しま〜す」


「皆いらっしゃ〜い。ゆっくりしていってね〜」


 そう言ったお母さんが、一瞬だけ雫ちゃんを見た気がしたけど……気のせい……だと思う。


 とりあえずみんなを私の部屋に案内して、バックをベットの上や床に置いてもらって、部屋の中央に置かれてる大きめのテーブルの周りに座ってもらった。私もジュースを注いで戻ってきてから、雫ちゃんの横に座った。


「お。ありがとな。気になってたんだけどさ、なんで紅葉はあんなメッセージ送ってきたんだ?ほら。お母さんが変なこと言ったらごめん。みたいな」


「あ〜。まぁ……色々あってさ……」


「ふ〜ん。まぁ良いけど。それよりさ、皆気になってると思うから言うけどさ、なんであんたはまともな服買わないの?この前来てたあの服で来れば良いのになんでジャージで来たんだよ……」


「え!?私!?だって……あの服はお出かけ用で……今日は勉強するだけだし良いかな〜って……」


「家でゲームしかしてないから服はいらないって事か?本当に……」


「だってそうなんだもん!仕方ないじゃん!」


 そこから数分間、微笑ましいというか、お姉ちゃんの皐月ちゃんが、妹の凛ちゃんに怒ってるようにしか見えない光景が続いた。


 私は顔を少しだけ赤くして横に座ってる雫ちゃんと、凛ちゃん達の話が終わるまで少しだけ話してた。

 美月ちゃんは……なんでか分からないけど部屋の中を見回してはちょっと嬉しそうにしたり、顔を赤くしたりを繰り返していた。

 あんまりジロジロ見られると、なんだか私も恥ずかしいんだけど……。


「はぁ……。とりあえず、この子の服は後日なんとかするとして、早速勉強するか。まずは何から始める?」


「うーん……。私が一番自信ない物理からでも良い?」


「おお。良いぞ〜。分かんないことあったら美月か緑川さんに聞く。でいいんだよな?」


「ええ。私、物理は人並みだから私も分からないところがあれば奥田さんに聞く」


「えぇ……。私……物理どっちかっていうと苦手なんですけど……」


「良く言うよな〜。小テストで80点近く取ってるのに……」


「私!英語なら多分満点もいける!」


「あんたは英語以外ダメダメでしょうが……。いばるな〜」


 凛ちゃんはやっぱり皐月ちゃんには弱いみたいで、自信満々だったのに皐月ちゃんにそう言われた瞬間、しょんぼりしていた。

 でも……英語なら満点も狙えるってどういうこと……。凛ちゃんは確かに海外とかいっぱい行ってるんだろうけど……それでも……満点は……。

 本当に取れるんならすごい……。


 それから1時間近く物理の勉強をして、まだ1時間しか経ってないのに、すでに私と凛ちゃんはヘトヘトになっていた。

 これからまだ何教科もあるのに……。


 お母さんが皆の分もお昼ご飯を作ってくれて、一旦休憩になった。

 デザートとしてシュークリームが出て来た時は、皆がいるのに思わずはしゃいでしまった……


 お昼ご飯を食べ終わった後は、数学、現代社会、英語と私が特に自信がない教科を中心に勉強した。

 英語の時、凛ちゃんがすごい得意げに皆に英語を教えてたから、ちょっと可愛いって思っちゃった……。


「さっきまで死にそうな顔してたのになんで英語になった途端元気になるんだよ……」


 って皐月ちゃんがボヤいてたけど……。

 凛ちゃんのおかげで、英語はだいぶマシになった。

 それどころか、教え方が上手なのか、ちょっと得意になった……。


「今日はありがと〜。また明日ね〜」


「おう。またな〜」


「紅葉ちゃん。今日はありがとね。でも、夜に少しでいいから今日の復習した方が良いわよ」


「みなちゃん〜また明日ね〜。ほら。凛も」


「もうやだ……。教科書怖い……」


「はぁ……。ごめんな。この子後で叱っとくから……」


「疲れたんだよきっと……。ほどほどにね……。じゃあ気をつけてね〜」


 夕方の5時半ごろに、皆は帰ってしまった。

 凛ちゃんがもう限界みたいで……お開きってことになった……。

 また明日もあるのに……大丈夫かな……凛ちゃん……


 夜ご飯の時、朝以上にニヤニヤしてたお母さんがちょっとだけ不気味だったけど、今日は勉強しすぎて疲れちゃったから、あんまり気にせずに、雫ちゃんに言われた通り少しだけ復習してから眠りについた。


 ちなみに夢でも勉強して、全然眠れなかったのをこの時の私はまだ知らない……。

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