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第22話 昨日の出来事

 昨日夜ご飯を食べずに寝てしまった私は、朝お腹が空いて目が覚めた。

 昨日は迷子になって美月ちゃんに会わなければ、あの後もずっと彷徨ってたと思う。というか絶対に彷徨ってた。


 夢でも迷子になって泣いてたし……

 いい加減方向音痴とマップアプリの使い方を覚えないと友達と遊びに行った時に迷ってしまうかもしれない。

 というか今度は本当に戻れなくなってしまうかも……


 ちょっとばかり怖くなった私は、少し早い時間に起きたとはいえもう一回寝る気にはなれず、リビングへと降りて行った。

 まだ6時30分をちょっとすぎたあたりだけどお母さんは……いない。


 私がリビングのソファで寝る気にはなれなかったのにウトウトし始めていると、慌てた様子でお母さんが上から降りて来た。


「おはよ〜。どうしたのお母さん。」


「おはよ。早いわね。急に会社から呼ばれてさ。朝ごはんとお昼作れないから自分でなんとかして。ゴメンね。」


 それだけ言うとスーツ姿のお母さんは家を出ていってしまった。

 お腹が空いててほとんど料理ができない私に朝ごはんとお昼ご飯を作れと……?

 無理なんですけど!


「どうしよ……。料理なんてできないし……」


 しばらく考えた私は、一瞬美月ちゃんにお弁当を少し分けてもらおうとも考えたけど昨日すっごく迷惑かけたのに今日も助けてなんて言えないし……かと言って雫ちゃんにも頼めないし……


 結局お昼ご飯は適当にコンビニで買うことにした。自分のお金で……


 できるなら自分のお金は極力使いたくないんだけどなぁ……

 別に買いたいものがあるってわけじゃないけど……なんとなく。


 問題の朝ごはんは……目玉焼きを作ろうとしたらなんでか黒焦げになっちゃったり、お湯を沸かそうとしたらスイッチを入れてなくて冷たいままだし……今日の朝ごはんは黒焦げになっちゃった目玉焼きとコーンスープを作ろうとしたらできた謎のスープ?とご飯と海苔……


 お母さんってすごい……。と改めて思った私だったけど、当然と言うか黒焦げの目玉焼きは美味しくなくて、謎のスープもとてもじゃないけど飲めたものじゃなくて……結局ご飯と海苔で朝ごはんを済ませることになってしまった。

 女の子でこれは……ちょっとまずいかもしれない……


 一応食べ終わった食器を水に浸けておいて学校に行く準備を始めた。

 今日はいつもと違ってコンビニに寄らないといけないし早めに出ないと……


 いつもより10分ほど早く家を出た私は、すぐ近くにあるコンビニに向かう。のをすっかりと忘れてそのままいつものように学校に向かっていた。コンビニに寄らないといけないと思い出したのは学校に着く少し前だった。


「あ……コンビニ寄るの忘れてた!ヤバ……」


 慌ててスマホのマップアプリを開こうとした時、昨日のトラウマが蘇って来てとっさにスマホを閉じた。

 ここら辺にコンビニってあったかな……。よく覚えてない……


 そのままむやみに歩いてまた迷ったりしたら大変だし学校に行くまでにコンビニがなければ今日のお昼ご飯は無しになるかも……なんて不安になりながら学校へと歩いて行った。


「おはよ。早いわねこんな時間に。」


 もうそろそろ学校なのにコンビニの影が見えずに絶望しかけていた私に、突然後ろから聞きなれたような可愛い声が聞こえた。

 振り返ってみるとそこには昨日学校を休んでた雫ちゃんの姿があった。


「雫ちゃんおはよ〜。違うの。コンビニに寄らないとだからちょっと早めに出たんだけど見つからなくて……」


「コンビニ?え……あれじゃなくて?」


 そう言って雫ちゃんが指差した方向を見るとちょっと前の方の反対側に目的のコンビニの看板が立っていた。

 さっきまで見えなかったのに……気がつかなかったのかな……


「あ……。うん。あれ……」


「というか紅葉ちゃんの家の近くにもコンビニ無かったっけ?」


「さっきまですっかり忘れてたの!」


 そう言った私に対して、雫ちゃんは本当に心配そうな顔を向けて来た。

 ……昨日も迷子になって危機感を抱いてるのにそんな顔で見ないでよ……


「そ……そうなんだ。一緒に行ってもいい?」


「うん。いいよ!」


 一緒にコンビニに入ったはいいけど、自分のお金だから極力使いたくはないし、出来れば安く済ませたい……

 あ……このスイーツ好きなやつだ……食べたい……


 安く済ませたかった私だけど、結局コンビニスイーツの誘惑には勝てず、イチゴが挟んであるサンドイッチとチョコのシュークリームを買ってしまった。これだけしか買ってないのに500円を超えた……。悲しい……


 ちなみに雫ちゃんは私がコンビニスイーツに誘惑されてる時にはもうチョコアイスを買ってコンビニの前で美味しそうにパクついていた。

 なんか……ちょっとだけ可愛い……


「おまたせ〜。行こ〜」


「え……。あ、うん。」


 まだ美味しそうにアイスを食べてた雫ちゃんは歩きながら急いで食べ終わろうとしていた。

 まぁ学校にアイス食べながら行くなんて恥ずかしいもんね……。

 しかもまだ4月だけどちょっと寒いし……


「寒いのにアイスなんて食べて大丈夫なの?昨日も体調が悪くて休んだんじゃ……」


「あ……いや……昨日はなんというか……大丈夫……」


 急に気まずそうにした雫ちゃんはそれ以上昨日のことを喋ろうとはしなかった。

 でも体調が悪くて休んだ次の日に元気にアイスなんて食べないか……

 そしたらなんで昨日休んだんだろう……


 学校に着いたらいつもみたいに喋りづらい雰囲気になっちゃったし……

 何回も思うけどなんで雫ちゃんは学校の中と外ではこんなに性格が違うんだろう……


「おはよ〜」


 私達が教室に入って少ししたら美月ちゃんと皐月ちゃんが教室に入って来た。

 私は昨日のお礼が言いたくて、急いで美月ちゃんの所に向かった。


「美月ちゃん……。昨日は……」


 そこまで言って、急に顔を真っ赤にした美月ちゃんはカバンを持ったままどこかに走って行ってしまった。

 なんで私を見ただけで逃げるんだろう……。やっぱり迷惑かけちゃったのかな……


「はぁ……。昨日ああ言ってたのになんでこうなるかね……。あの子はあんまり気にしないでいいよ。多分昨日の事は……まぁ関係無くはないけどあの子が勝手にヒートアップしてるだけだから……」


 悪戯っぽく笑った皐月ちゃんは、私を置いて自分の席にカバンを置いた後、ちょっとニヤつきながら美月ちゃんの後を追うように走ってどこかに行ってしまった。

 勝手にヒートアップしてるだけってなんだろう……


 それからも何回か休み時間のたびに昨日のお礼を言いに美月ちゃんの席に行くと、何かと理由をつけて教室を出て行ってしまって、決まって皐月ちゃんが笑いながら後を追いかけてた。

 私避けられてるのかな……


 3時間目が終わった後も美月ちゃんの席に行って見たけど職員室に呼ばれてるからってサッと教室から出て行ってしまった。

 そして、やっぱり皐月ちゃんはちょっとだけ涙を流して笑いながら後を追っていた。

 私はなんとも言えない気持ちになって……4時間目はいつもは寝る物理学の授業だったけど雫ちゃんに言いたいことがあって珍しく起きていた。


 でも言いたいことがあると言っても、今は授業中だし、なんでかわかんないけど時々こっちを見てくれる雫ちゃんは真面目に授業を受けてるから話しかけづらくて……どうしようか迷っていた。


 少し考えて中学校でよく授業中に男子がやっていたことを思い出した。

 ちょっともったいないけどノートの一番最後のページを破って、そこに「今日一緒にご飯食べない?」と書いた。

 後はこれをどうやって渡すかだけど……


 確か男子は……そのまま投げてたけど……そんなに大胆には出来ない……。

 しばらく考えて、消しゴムのカバーの中に手紙を入れて、雫ちゃんに消しゴムごと渡した。


 最初の方は戸惑ってた雫ちゃんだけど、なんとかジェスチャーでカバーの中に手紙があるのを分かってくれたみたいで、すぐに返事を書いてくれてた。少しして、先生が黒板に何か書いてる隙に消しゴムごと返してくれて、小さい声で「ありがと」って言ってくれた。


 気になる手紙には「良いけどいつも一緒にご飯食べてる子はいいの?」と書かれていた。

 それを見た私は、今が授業中だということも忘れて、思わずやった!って言ってしまった。


 もちろん先生に怒られて……しかも、「いつも寝てるのに何やってるの?」なんて……怒り方がひどい気がする……


 仕方ないじゃんか。私が悪いんじゃないもん。私を襲ってくる睡魔が悪いんだもん……。

 それに、授業中に寝るのは生徒が悪いんじゃ無くて、眠くなるような授業をしてる先生が悪いってネットに書いてたし……だから私が授業中に寝ちゃうのは先生のせいってことで……


 後、今日美月ちゃんは多分だけど一緒にご飯を食べてくれない気がする。

 その事を雫ちゃんにおんなじ方法で伝えると、「分かった。一緒に食べよ!」って書いてくれた。

 嬉しくてまた声が出そうになって先生に睨まれちゃったのは言うまでもなく……


 多分2回目の一緒に過ごしたお昼休みは、いつもの2倍か3倍は早く感じた。

 雫ちゃんのお弁当に入ってたタコさんウィンナーがすっごく美味しかった……。

 雫ちゃんも私が買ったイチゴサンドを美味しいって言ってくれたし……これは私が作ったわけじゃないけど……


「それだけで足りるの?大丈夫?」


「大丈夫!それに、これもあるし!」


 そう言って自慢げに袋から取り出したシュークリームは、ちょっとだけ潰れちゃってて悲しくなってしまった。

 雫ちゃんは慰めてくれたけど……


 6時間目が終わった後、美月ちゃんと皐月ちゃんはやはりというか、すぐに帰っちゃって話すチャンスがなかった。

 私は雫ちゃんと一緒に帰ったけど、帰り道も楽しくて行きはすっごく長く感じるのに、帰りはすごく短く感じた。


「じゃあね。また明日。」


「うん。またね雫ちゃん!バイバイ!」


 笑顔で別れた私は家に入った瞬間、すっごく寂しくなってしまった。

 とりあえず自分の部屋にカバンを置いて部屋着に着替えてからリビングに降りてきて、昨日のことを美月ちゃんに改めてお礼を言ってソファでゆっくりと意識を手放した。


 次に私が目覚めたのは夜ごはんで呼ばれた時で、テーブルにはいつもより豪華な夜ご飯が並んでて……


「今日は急にごめんね。朝ごはんがすごく悲惨だったのは台所みて分かった。」


「ウッ……」


「高校生になったんだからちょっとは料理勉強しない?料理が上手いって好きな人がいるんなら武器になるわよ?」


「だからいないってば!」


「はいはい。でも少しくらい料理は出来といたほうがいいよ?」


「ぶー」


 こうして近いうちにお料理の勉強をすることが決定してしまった……。

 美月ちゃんからは今日の行動の意味は深く考えないでって来てたし……なんか色々おかしいような気がしたけど気の所為かな……。


 そのまま夜ご飯を食べ終えた私は、いつもより早く9時には眠ってしまった。

 私が寝るのが早すぎるのか美月ちゃんや雫ちゃんが遅いのかわかんないけど12時くらいに時々メッセージが入ってるみたいで……これってこんな時間まで起きてるのが普通なのかな……


 誰か教えて……

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