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エピローグ

もうちょっと引き伸ばしたかったですけど、元々ここで終わる予定だったので終わらせていただきました。

今年22になった私と雫ちゃんは、高校時代の先輩に指定された居酒屋に来ていた。

私と雫ちゃんは、無事?今は同じ家に住んでいる。


この国は同性での結婚を認めていないので婚姻届は出せないけれど、近々そういう話を持ち出そうかなと思っている。


しかも最近皐月ちゃんと凛ちゃんも日本に帰って来たし、みんなに祝ってもらえるならいいかなって!


雫ちゃんは最近お仕事で全然構ってくれないけど…大人になっても変わらない可愛さというか、純粋に可愛くなった。


さらりと綺麗な髪が肩のあたりまで伸びていて、仕事のできる女の人なんて言葉がピッタリ合うような、そんな人になった。


「何名様ですか〜?」


「あ、吉岡で予約してるんですけど…」


「でしたら、あちらの奥のお席ですね。ご案内します〜」


もはや当然のように雫ちゃんと手を繋ぐ…ことはお店の中なのでやめておく。

変な目で見られるのはあれだし、雫ちゃんが嫌がりそうだから…。

私は大人になったから、ワガママは言わない。


そのまま奥の大部屋に案内されると、そこにはすでに見知った顔が揃っていた。

朱音先輩を初めとした文芸部の先輩達。そして、最近日本に帰って来た皐月ちゃんと凛ちゃん。そして美月ちゃん。


この中で唯一、私が日頃から顔を合わせているのは朱音先輩だけだけど、特に凛ちゃんの変化が…。


「でっしょ〜!?私、結構可愛くなっ--」


「雑誌に取り上げられたからって調子に乗らない!久しぶり、紅葉、緑川」


「皐月ちゃん〜久しぶり〜!」


凛ちゃんは昔はただ単に可愛らしい…というか、ちんちくりんって言葉が似合いそうな子だったけど、今はモデルさんみたいな、美人さんになっていた。


皐月ちゃんは、昔よりイケメンになったというか…益々女の子っぽくなくなったというか…。


「ほんと〜。逃しちゃった魚は大きかったよ〜」


「美月ちゃんも〜!お久しぶり!」


「うん紅葉ちゃん。順調そうで何より」


美月ちゃんは今、原宿のアパレルショップで働いているらしい。

なんか、先輩達も含めて美人な人が多すぎて萎縮しそう…。


この中には、そこまで目立つような職業じゃない人もいるはずなんだけどなぁ…。


「よ〜緑川。話は聞いてるぞ〜。お久さ〜」


「…先輩達の話も聞いてますよ。おめでとうございます…」


「あ〜ほんと〜?ありがと〜」


横の春奈先輩の肩に手を回し、ご機嫌な顔でそういった鈴音先輩。

2人は先日、意外なことに鈴音先輩からプロポーズして結ばれたらしい。

まぁ、婚姻届は出せないので、事実婚だっけ?まぁそんな感じの仲らしいけど。


小さい頃からずっと一緒で、そのまま結ばれるって物語の中だけじゃないんだって、呑気に思ったっけ…。

まぁ私も、近々雫ちゃんに切り出す予定だけどさ…。


「せんせ--雫もお疲れ〜。遅かったね〜」


「朱音さん…。仕事してからこいって言ったの誰だと思ってるんですか…」


「だって〜、最近色々あって忙しいじゃん〜。そんな時に同窓会なんてしようとか言われたらさ〜?」


雫ちゃんは趣味で書いていた小説がそのまま仕事になって、今は結構売れてる作家さんだったりする。

朱音先輩は雫ちゃんの担当編集者さんだから、私も頻繁に顔を合わせる。


まさか、朱音先輩が編集者さんになるとは思ってなかったけども…。


ちなみに、春奈先輩と鈴音先輩は医療関係。凛ちゃんは変わらずゲームで食べていってるみたい。

皐月ちゃんは凛ちゃんの周りをお世話する〜メイドとか自分で言ってたっけ?


結奈先輩はアイドルグループに入ってるんじゃなかったかな。恵先輩と渡辺さんは、あんまり関わり無いからわかんない。


「色々あってって〜?何があるんだ?」


「…言っていいんですか?」


「まぁ〜ここの皆ならいいんじゃ無い?どうせ正式発表来週だし!大丈夫大丈夫!」


「適当極まりないですね…。後で怒られても朱音さんのせいにしますからね」


びちっと親指を立てた朱音さんを見て深いため息をついた雫ちゃんは、近いうちに自分の作品がアニメ化することを発表した。


当の本人はなぜか全然嬉しそうじゃ無いけれど、この場の全員、特に凛ちゃんはかなりはしゃいでいた。


「知ってる人が作るアニメだって!皐月、見ていいでしょ!?」


「…放映される時期によるでしょ。あなたは大会があるんだから、そんな暇ないんじゃ無い?」


「少しくらい大丈夫だって!休憩時間とかに見るだけ!」


「はぁ…。まぁ、私も見たいから許可しましょう」


そう言えば言い忘れてたけど、皐月ちゃん達が海外に行っちゃう時、きちんと気持ちを伝えた美月ちゃんは、そのまま結ばれる事はなかったらしい。


皐月ちゃん本人が好きじゃなくなったとかそういうのではなく、単純に世界を飛び回ってるから寂しい思いをさせる。そんな理由で付き合うまでには至ってないらしい。


さっき美月ちゃんが「逃した」って言ってたけど、気持ちはまだ両想いって捉えてもいいんじゃ無いかな。

ただ、忙しくてそこまでの関係には行けてないって事だと思う。


「じゃあ、皆揃った事ですし、一旦乾杯しましょうか」


今回の幹事は春奈先輩だ。

最近忙しそうにしているけれど、左手に指輪がハマってからどんなことでもできるように感じるって言ってたっけ。

羨ましい…。


私はお酒が飲めないのでウーロン茶で、皐月ちゃんもジンジャーエール。その他の人はお酒を持って、上に掲げる。


それからはほぼ全員が潰れるまで最近の身の回りの話から仕事の愚痴、その他諸々を話していた。


同窓会と言っても、特に親交のあった文芸部員を集めての会。

参加人数は10人もいない。それでも、意外と楽しい会になった。


「ねぇ皐月ちゃん。凛ちゃんは最近どうなの?」


「凛ね…。本業の方はぼちぼちって感じ。調子に乗って雑誌の取材とか受けるから私が忙しいよ…」


「また、すぐ海外?」


「いやしばらくこっちにいると思う。凛のお兄さんの結婚式があるから」


「…え!?結婚したの?」


初耳…というか、招待状来てない気がするんですけど!

え〜!行きたかった!


「私にも来てないよ。親族だけでするんだろうね。ほら、私らのクラスメイトだった子と結婚するらしい。確か…春香さんだっけ?」


「春香…?なんか、聞いたことあるような気がする…」


「私も、正直顔覚えてない。あの人ら、小さい頃一緒に遊んでたらしいよ。詳しくは知らないけど」


「へ〜そうなんだ!」


雫ちゃんが私の肩にもたれかかって幸せそうに寝ている横で、同じく膝の上で寝ている美月ちゃんの頭を撫でている皐月ちゃんとそんな話をする。


皐月ちゃんは近くに車を止めているのでお酒は飲めない。

私は、もともとお酒が飲めない。

だから、2人だけでゆったりと話が出来る。


ちなみに、他の人達も各々で話してるみたい。

春奈先輩と鈴音先輩は酔った勢いなのか平常運転なのか、ずっとイチャついてるし、朱音先輩は渡辺さんと何か話し込んでる。

皆、結構楽しんでいるみたいだ。


「美月ちゃんとは?どうなの…?」


「まぁ、私は生活が安定してないからね。美月の負担にはなりたく無いんだ。情けない話、凛のマネージャーとして響さんから給料もらってるからさ。どこに行くにも一緒にいなきゃ行けないんだよ」


「そうなんだ…」


私たちの周りは軒並み幸せになって行くのに、皐月ちゃん達だけ取り残されているみたいな、そんな感じがする。


余計なお世話かも知れないけど、幸運を祈っておこう…。

早く2人がくっつきますように…。


「はぁ〜。じゃあ、私は帰るよ。美月送って、バカ…じゃないや。凛を休ませないと…」


「そっか。じゃあね〜」


「うん。緑川にもよろしくね〜」


微笑みながら凛ちゃんと美月ちゃんを連れてお店を出ていった皐月ちゃん達3人を見送ると、私も雫ちゃんを連れて帰ることにした。


幸いなことに、今回は鈴音先輩が全部奢ってくれると前もって言われているので代金は置かず、雫ちゃんを抱えながら私も店を後にする。


その数日後、私は雫ちゃんに指輪をプレゼントして、無事に先輩達と同じような環境に身を置くことができた。

拙い文章でしたが、ここまでお付き合い頂いてありがとうございました。

感想等を頂けたこと、本当に嬉しかったです!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 外面はクールな感じだけども内面がめちゃくちゃ女の子な感じの雫ちゃんがめちゃくちゃ可愛かったです! 紅葉ちゃんが美月ちゃんに告白されたときに流されないで雫ちゃんと結ばれてくれて良かったです。…
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