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第148話 卒業旅行の計画

重い話が続きましたので、今回は春菜ちゃん視点でのお話になります〜。


放置しちゃってごめんなさい...

金曜の卒業式まで残り3日にとなった今現在、私は自分の部屋でお祝いについて考えていた。


結局このあいだの週末には出かけられなかったので、卒業式の次の日に行われる終業式。これが終わったら先輩とどこかに行きたいとは思っている。

だけど、その案が未だに出ていなかった。


(先輩は広島に行きたいとか行ってたけど…どうなんだろ)


心配なのはやはり金銭面だ。

そりゃ1泊や2泊ならどうとでもなるけれど、1週間とか意味のわからないことを言われると、少し怪しい。


先輩の家はお金持ちだから問題ないかも知れないけど…こんなことなら、少しでもバイトしてれば良かった…。


いや、バイトしたらしたで、先輩と遊ぶ時間が減っちゃってただろうし…難しい。


(こうなったら、誰かに聞いてみるか…)


今の時間なら、誠也がいるだろうし、どうすればいいのか聞いてみよう。

一応、花火大会の時にアドバイスくれたし…参考程度にはなるかも知れない。


そう思い、私は部屋から出て向かいにある誠也の部屋をノックする。

すると、すぐに返事が聞こえてきたのでドアを開ける。


「なんだよ…。なんか用?」


「…ねぇ。卒業祝いに何かしたいんだけど、何すればいいと思う?」


「俺に?」


「先輩に!」


あんたは両親からなんか買ってもらえばいいでしょ…。私は何もあげない。

私はそこまで弟思いじゃないし。


「あ〜彼女にね。聞いて見りゃいいじゃん」


「あのねぇ…。聞けないからあんたに聞いてるの」


「…なんで聞けねぇんだよ」


ごもっともなことを言ってきた弟に対し、私は少しだけ顔を赤くしながらも「どうでもいいでしょ!?」と答えた。


実際のところ、聞いては見た。

聞いては見たけど!帰ってきた答えがおかしいんだってあの人の場合!


「私が欲しいものは春奈」とか言われたら、なんて返せばいいわけ!?分からないんですけど!

あの人、絶対私が恥ずかしがるの分かってるんだもん!なんでそんなこと平然と言えるのかね!?


「…顔赤いぞ。なに、どったの?」


「…良いから。何すれば良いと思う?」


「はぁ…。姉ちゃんは何するつもりなんだよ」


「…一応、一緒に旅行に行こうかなって…」


この際、卒業祝いと大学の合格祝いを兼ねているので、行き先は広島でいい。

少し不満だけど、旅費も折半すればいい。

だけど、本当にそれだけでいいのかが分からない。


何かあげたほうがいいのか、それともそれだけで十分なのか…。


「そういうのは、別にあげてもあげなくてもいいんだよ。一緒に旅行行くってだけで十分だろ。姉ちゃん大好きなあの人にすりゃ、むしろ十分すぎる」


「…そう、かな…?」


「あ〜確証はないけど、多分向こうがなんとかしてくれるから心配しなくていいんじゃねぇか?」


「は?どういう意味よ…」


「…だから、そういう意味だよ」


頬をポリポリしながらそう言った誠也は、しばらく気まずそうに私を見ていたけど、意味がわかっていない私を見て心底呆れたようにため息をついた。


実際のところ、弟が何を言おうとしているのか、全く見当がつかないんですが…。


「俺から言わせんなや…。確証ねぇって言ったろ」


「何それ…。余計意味わかんないんだけど」


「勝手に困惑してりゃいいじゃん。俺は知らん。姉ちゃんのそんな事情に興味ねぇし」


なんでか照れている誠也は放っておいて、本当に旅行だけでいいのかもう一度確かめる。

こういうことはもちろん先輩が初めてなので、正解が全然分からない。


「じゃあ聞くけど、姉ちゃんが相手の立場になって考えてみろよ。なんかの祝いで旅行連れてってもらって、そこでなんかまたプレゼントもらったらどうよ。重いだろどう考えても!」


「そ、そうかな…?」


「爺ちゃん婆ちゃんとかの身内なら良い。恋人からそんなことされてみろ。重いだろ?ただでさえ一緒に旅行してんのに、さらに何か貰うのは申し訳なさが先に来るんだよ」


なんか、妙に迫力と説得力のある言い方だけど、実体験でもあるんだろうか…。

まだ高校生にもなってないくせに、なんで私より先にそんな経験をしてるのか…。


まぁ確かに、そう言われてみれば分からなくもないけどさ…。


「相手への土産をプレゼントするとかなら相手も返せるからまだ良い。けどな、装飾品とか送ってみろ?俺たちは大人じゃねぇんだぞ?」


「装飾品…ネックレスとか?」


「そう。大人なら良いだろうけど、学生のくせにそんなことすんな。下手にプレゼントとかするより、相手とイチャイチャしてりゃ良いんだ…って!恥ずいこと言わせるなよ!」


耳まで真っ赤にした誠也は、それ以降だんまりを決めたので私は諦めて部屋を後にした。

言われてみればすぐにそうかと納得できることばかりを言われた気がしたけれど、確かに参考にはなった。


最後の、相手とイチャイチャしてれば良いっていうのは…なんか投げやりに聞こえたけど、結局のところ好きな人と旅行に行ってしたいことといえばそれくらいだろう。


場所は問題ではなくて、そこで何をするかと聞いたことがある…気がする!

そうと決まれば、やることは1つ。


早速先輩に電話をかける。


「お〜春奈。卒業祝いに私にもらわれる覚悟ができたってことか〜?」


「私、まだ何も言ってませんけど…」


「え〜?だって、電話くれたってことはそういうことじゃないのか?」


「もう!話しづらくなりようなこと言わないでくださいよ!」


私がそういうと、電話の向こうから先輩の笑う声が聞こえて来る。

絶対、私が照れてるの分かってるし…。

最近は学校にも来ないけど、相変わらずでなんあか安心する。


「ごめんごめん。で?本題は?」


「…終業式が終わったら、ずっと行こうって言ってた旅行に行きませんか?」


「…2人で!?」


「2人で、です…」


「広島!?」


「そうです…。前に行きたいって--」


私が言い終わる前に、電話の向こうで先輩がはしゃいでいる声が聞こえてきた。


「やった〜!春奈と2人きりで旅行だ〜!も〜春奈大好き!」


「私もです…じゃなくて!分かりやすくはしゃがないでくださいよ!」


「だって〜!私の夢だった春奈と2人きりの旅行だぞ〜!?はしゃがずにいられないって〜!」


それから子供のようにはしゃぐ先輩を宥めつつ、正確な日取りを決めていく。

結局、旅行は3泊4日ということになり、終業式の翌日から早速いくことに決定した。


1週間もないけれど、前々から旅行に行きたいと話が出ていたおかげで、お互い準備にそう時間はかからない。


私があと考えるべきことは、卒業式で泣かないようにする方法だけだ。

それにしても…大丈夫かな…。

なんか、旅行中2人きりで精神が持つか心配になってきた…。

次回のお話は3月26日の0時に更新します。

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